この記事の要点
提案書や補助金の申請書に「静岡県は全国◯位」と書くとき、数字の出どころは静岡県統計センターの静岡県の100の指標で確かめられます。100項目それぞれに全国順位と調査日が付いていて、順位の向き(大きい順か、小さい順か)も明記されています。生成AIに順位を直接聞くと、学習時点の古い数字や別の年の順位が返ります。数字は県の統計から人が取り、生成AIには文章の整形と言い換えを任せる。この分担にしておくと、資料の根拠が後から崩れません。
- 全国順位は「静岡県の100の指標」から引く
- 毎月動く数字は「県内主要統計指標」、市町別は「市町勢一覧」
- 生成AIに任せるのは整形・言い換え・要約まで
- 出典は「機関名・資料名・調査日」の3点で書く
「静岡県は全国◯位」を生成AIに聞くと外れる
資料づくりの途中で「静岡県の製造品出荷額って全国何位だっけ」と生成AIに聞く。これが一番危ない使い方です。返ってくる数字は、それらしく整った文章の形をしています。しかし根拠がどこにあるのかは書かれていません。

順位は毎年入れ替わる
全国順位は、他の46都道府県の数字が動けば変わります。自県の実績が横ばいでも順位だけ上下します。静岡県の100の指標を見ると、製造品出荷額等は令和5年の調査で3位です。数年前の資料を見て「2位」と書いてある社内文書が残っていることもあります。どちらが正しいかではなく、どの調査年の順位なのかを書き分けるしかありません。
生成AIは、この「どの調査年か」を自分では選べません。学習した文章の中に混ざっている複数の年の順位から、それらしいものを出します。数字が合っていたとしても、それは偶然です。
順位の向きが指標ごとに違う
もう一つ、生成AIが取り違えやすいのが順位の向きです。「静岡県の100の指標」の注意書きには、順位は各都道府県の数値を大きい順に見たときの本県の順位で、数値の小さい方が望ましい場合は小さい順から見る、と書かれています。
つまり同じ「◯位」でも意味が逆になる指標があります。
| 指標 | 順位 | 調査日・期間 |
|---|---|---|
| 健康寿命 | 男性1位・女性1位 | 令和4年 |
| 防災拠点となる公共施設等の耐震化率 | 1位 | 令和6年4月1日 |
| エコアクション21認証・登録事業者数 | 1位 | 令和7年6月30日 |
| 完全失業率 | (低い方から)23位 | 令和6年平均 |
| 空き家率 | (低い方から)11位 | 令和5年10月1日 |
| 有効求人倍率(新規学卒を除く) | 38位 | 令和6年度 |
| 医師数(人口10万人当たり) | 39位 | 令和4年12月31日 |
完全失業率の「23位」は低い方から数えた順位なので、悪い数字ではありません。逆に有効求人倍率の38位は大きい順から見た順位で、全国では低い方に位置します。この向きを取り違えたまま資料に載せると、話が反対になります。
低い順位を隠す必要もありません。有効求人倍率が全国38位という事実は、県内の採用環境を説明する材料になります。月ごとの動きは静岡の有効求人倍率1.10倍|地域と職種の差の読み方で扱っています。
県が公開している3つの入口を使い分ける
静岡県の統計は統計センターしずおかにまとまっています。資料づくりで使うのは、おおむね次の3つです。

全国順位を知りたいときは「100の指標」
静岡県の100の指標は、人口・産業・労働・住宅・医療・行財政まで100項目の全国順位を一覧にしたページです。項目名をクリックすると、その指標だけのPDFが開いて、表とグラフ、資料の出所が載っています。
年に1回の更新で、掲載内容は静岡県統計協会が「統計ハンドブック」として1冊440円(税込)で販売しています。無料で使えるのはウェブ上の項目一覧とPDFです。
毎月の動きを見たいときは「県内主要統計指標」
県内主要統計指標は、人口、世帯数、景気動向指数、鉱工業生産指数、新設住宅着工戸数、消費者物価指数、観光施設入込数、有効求人倍率、常用雇用指数、企業倒産件数、交通事故発生件数など24項目を毎月まとめたエクセルです。令和8年8月公表分まで並んでいて、過去分もそのままダウンロードできます。
1枚のエクセルに24項目が入っているので、複数の統計を1つずつ探すより早く済みます。四半期の社内報告や、取引先向けの景況メモの下地に向いています。
市町別に比べたいときは「市町勢一覧」
静岡県内市町のすがたには、市町勢一覧のエクセルが置かれています。静岡市と浜松市という2つの政令指定都市に加えて、沼津・富士・磐田・焼津など県内全市町の主要データが1つの表になっています。
静岡県内の話を「静岡県は」で始めると、東部と西部で事情が違う場面をまたいでしまいます。出店や営業所の検討では、県の平均より市町の数字のほうが判断に効きます。
資料の種類ごとに、使う指標を決めておく
毎回ゼロから探すのをやめて、資料の種類ごとに見る指標を決めてしまうほうが早く終わります。

提案書・営業資料
県外の相手に静岡県の位置づけを説明する場面です。製造品出荷額等3位(令和5年)、県民所得(県民1人当たり)4位(令和3年度)、医薬品・医療機器生産金額2位(令和5年・合計)、企業立地件数5位(令和6年)あたりが、産業の厚みを示す指標になります。営業資料そのものの作り方は静岡の営業が使う生成AI6場面にまとめています。
採用・人材の資料
学生や求職者に県内で働くことを説明する資料では、県内就職率(高校卒業者)9位(令和6年5月1日)、外国人数8位(令和6年12月31日)、月額給与(規模5人以上)8位(令和5年平均)が使えます。有効求人倍率38位(令和6年度)も、あえて出したほうが誠実な資料になります。
補助金や計画書の現状分析
申請書の「現状と課題」の欄では、思い込みではなく統計で書くほど通りやすくなります。医師数39位(令和4年12月31日)や汚水処理人口普及率36位(令和6年3月31日)のように、順位が低い指標は課題の裏づけになります。制度側の入口は静岡のAI導入補助金5選と静岡県のDX・AI支援窓口にまとめてあります。
立地・出店の検討
自動車保有台数(軽自動車含む)10位(令和7年3月末)、温泉数(源泉総数)4位(令和6年3月31日)、住宅用太陽光発電施設設置件数3位(令和5年度までの累計)のように、商圏や設備の前提になる指標があります。ここは県全体の順位だけでなく、市町勢一覧まで下りて確かめてください。
生成AIに渡してよいものと、渡さないもの
数字を人が取ったあと、資料の形にする作業は生成AIが得意です。ただし渡し方を決めておかないと、途中で数字が書き換わります。

渡し方の型
指示は「探して」ではなく「渡した資料の中だけで書き直して」の形にします。
次の数値は静岡県統計センター「静岡県の100の指標」から転記したものです。 この中の数値だけを使い、社外向け提案書の1ページ分の文章にしてください。 数値の追加・変更・四捨五入はしないでください。 渡していない項目については書かないでください。 ・製造品出荷額等 3位(令和5年) ・県民所得(県民1人当たり)4位(令和3年度) ・医薬品・医療機器生産金額 2位(令和5年・合計) ・有効求人倍率(新規学卒を除く)38位(令和6年度)
「渡していない項目については書かない」の一文が要です。これがないと、生成AIは文章の流れを整えるために「人口は全国◯位で」といった一文を勝手に足します。足された数字は、たいてい合っていません。
書き上がった文章は、数値の部分だけを目で追って元の一覧と突き合わせてください。文章の良し悪しより先に、数字と調査年が動いていないかを見ます。
入力しない情報
公表資料は公開されているので、生成AIに貼っても問題ありません。混ぜてはいけないのは自社側の情報です。
- 未公表の売上・原価・見積単価
- 取引先名と取引条件がわかる資料
- 応募者や従業員の個人情報
- 未発表の出店計画や人員計画
公表統計の整形と、自社の内部情報の検討は、別のやりとりに分けます。社内での線引きの決め方はAI推進担当が最初にやることで扱っています。
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出典の書き方を先に決める
数字を載せるより、出典の書き方を先に決めておくほうが後が楽です。
機関名・資料名・調査日の3点
書き方は3点でそろえます。機関名(静岡県統計センター)、資料名(静岡県の100の指標)、調査日・期間(令和5年)。この3つがそろっていれば、読んだ相手が同じページにたどり着けます。
社内資料でも省かないでください。半年後に同じ資料を使い回すとき、調査日が書いていないと更新すべきかどうかの判断ができません。
標本が小さい指標には但し書きを付ける
「100の指標」の用語解説には、実収入と消費支出の数値は県庁所在地(静岡市)および県内政令指定都市(浜松市)の結果であり、集計世帯数は静岡市51世帯、浜松市51世帯であると書かれています。完全失業率についても、労働力調査は都道府県別に表章するよう標本設計をしていないため結果の利用に注意を要する、と明記されています。
こうした但し書きは、資料に転記するときにも残します。生成AIに要約させると、但し書きは真っ先に削られる部分です。削られたことに気づかず社外に出すと、後から指摘を受けます。要約させた文章は、注記が消えていないかを必ず確かめてください。
更新の時期を年間で押さえる
統計は更新の周期がばらばらです。使う予定のものだけ、時期を控えておきます。

毎月更新されるのは、県内主要統計指標(24項目)、毎月勤労統計調査地方調査結果、静岡県景気動向指数、住民基本台帳月報などです。月報「静岡県の統計」も毎月出ます。
年に1回更新されるのが「静岡県の100の指標」と静岡県統計年鑑です。提案書のテンプレートに順位を埋め込んでいる場合は、年1回の見直しをカレンダーに入れておきます。
5年に1度なのが国勢調査です。令和7年国勢調査 静岡県の人口(速報値)は2026年7月29日に公表され、市区町別人口及び世帯数の表がエクセルで配布されています。速報値と確定値では数字が変わることがあるので、資料には「速報値」と明記しておきます。
まとめ
「静岡県は全国◯位」を書くときの手順は3つです。数字は静岡県の100の指標から人が取る。順位の向きと調査日を確かめる。生成AIには、渡した数値だけを使った整形と言い換えを頼む。
毎月の動きは県内主要統計指標、市町別の比較は市町勢一覧と、入口を分けておけば探す時間も減ります。出典は機関名・資料名・調査日の3点でそろえ、標本が小さい指標の但し書きは削らない。ここまで型にしてしまえば、資料の根拠を毎回作り直さずに済みます。
よくある質問
Q. 生成AIに「静岡県の全国順位」を聞いてはいけませんか。
数字そのものを聞く使い方は避けてください。順位は毎年入れ替わり、指標によっては大きい順ではなく小さい順で数えます。生成AIは学習した文章から、それらしい年の順位を返します。数字は静岡県統計センターの「静岡県の100の指標」から取り、生成AIには文章の整形を任せてください。
Q. 「静岡県の100の指標」はどこにありますか。
統計センターしずおかの「統計調査から見る静岡県」の中にあります。100項目それぞれに全国順位と調査日・期間が付いていて、項目名をクリックすると表とグラフのPDFが開きます。掲載内容は静岡県統計協会が「統計ハンドブック」として1冊440円(税込)で販売もしています。
Q. 順位が低い指標は資料に載せないほうがよいですか。
課題を説明する資料では、低い順位こそ根拠になります。有効求人倍率(新規学卒を除く)38位や医師数39位は、人手不足や医療体制を説明するときの裏づけです。補助金の申請書の現状分析では、思い込みで書くより統計で書くほうが伝わります。
Q. 毎月変わる数字はどこを見ればよいですか。
県内主要統計指標が便利です。人口、景気動向指数、鉱工業生産指数、消費者物価指数、有効求人倍率、企業倒産件数など24項目が1枚のエクセルにまとまっていて、毎月更新されます。個別に深く見たいときは、毎月勤労統計調査地方調査結果や静岡県景気動向指数のページに進みます。
Q. 市町ごとの数字はどこにありますか。
「静岡県内市町のすがた」に市町勢一覧のエクセルがあります。静岡市と浜松市の2つの政令指定都市を含め、県内全市町の主要データが1つの表になっています。出店や営業所の検討では、県平均より市町の数字のほうが判断材料になります。
Q. 生成AIが要約すると注記が消えてしまいます。
要約は、短くするために但し書きから削ります。実収入・消費支出のように集計世帯数が静岡市51世帯・浜松市51世帯と少ない指標や、結果の利用に注意を要すると明記されている完全失業率では、注記が消えたまま外に出すと問題になります。要約後は、注記が残っているかを最後に確認してください。
参考・出典
- 静岡県統計センター「静岡県の100の指標」(全100項目の全国順位・調査日、順位の数え方と用語解説)
- 静岡県統計センター「県内主要統計指標」(24項目・毎月更新・令和8年8月公表分まで掲載)
- 静岡県統計センター「静岡県内市町のすがた」(市町勢一覧)
- 静岡県統計センター「統計センターしずおか」(統計データの入口)
- 静岡県統計センター「令和7年国勢調査 静岡県の人口(速報値)」(2026年7月29日更新)
- 静岡県統計センター「毎月勤労統計調査地方調査結果(令和8年6月分)」
- 静岡県統計センター「静岡県景気動向指数(令和8年6月分)」
- 静岡県統計センター「住民基本台帳月報(令和8年8月1日現在)」
- 静岡県統計センター「静岡県統計年鑑」