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【2026年最新】AI推進担当が最初の90日でやること|静岡の中小企業

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【2026年最新】AI推進担当が最初の90日でやること|静岡の中小企業

AI推進担当に任命されたら、最初の1週間はツールを選ばず、社長に「承認の経路」「権限の範囲」「使える時間」「成功の判断基準」の4つを確認して1枚のメモにします。任命の中身が空白のままだと60日目で止まるからです。静岡の中小企業で本業と兼任する方向けに、最初の90日を時間軸で分解します。

最初の1週間は「ツール選び」をしない

「AIやっといて」と言われた直後、多くの人がまず比較サイトを開きます。しかし、中小企業がつまずいている場所はツールの機能ではありません。

帝国データバンクが2026年5月に公表した「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」では、生成AI活用に関する懸念・課題として、中小企業は「情報の正確性」49.7%、「専門人材・ノウハウ不足」40.4%、「生成AIを活用すべき業務の範囲」39.5%、「情報漏洩のリスク」32.1%、「トラブル時の責任所在などのルール整備」25.1%を挙げています。上位に並んでいるのは、どのツールを買うかではなく、どこまでやってよいのか(範囲)と、何かあったとき誰が責任を持つのか(責任)の空白です。

この空白を埋められるのは、担当者ではなく社長です。だから最初の1週間は社長との対話に使います。

質問1:承認の経路を確認する

そのまま使える聞き方はこうです。「新しいツールを試すとき、私の判断だけで進めてよい範囲はどこまでですか。有料契約が必要になる場合と、顧客情報を扱う業務で使う場合は、それぞれ誰の承認が必要ですか」

ここを曖昧にしたまま試行に入ると、成果が出た瞬間に「勝手に契約したのか」という話になります。無料の範囲・月いくらまでなら自分で決めてよいか・顧客情報が関わるときは必ず止まる、の3段階で線を引いてもらいます。

質問2:権限の範囲を確認する

「他部署に協力を依頼するとき、私の名前で頼んでよいですか。それとも社長名で依頼を出していただけますか」

兼任担当が最も詰まるのがここです。営業部長に「業務を教えてください」と言っても、本業の忙しさの前では優先度が上がりません。最初の全体連絡だけは社長名で出してもらい、その後の実務は担当者名で回す、という分担にすると動きます。

質問3:使える時間を確認する

「この仕事に、週あたり何時間使ってよいですか。その分、本業のどの業務を減らせますか」

後半の一文が本題です。時間を足すだけの合意は、残業でしか埋まりません。減らす業務まで一緒に決めておくと、3か月続きます。

質問4:成功の判断基準を確認する

「3か月後に何がどうなっていれば、社長は『進んでいる』と判断しますか」

ここで「全社員が使えるようになっていること」と返ってきたら、その場で交渉します。90日で全社は無理であること、代わりに「2つの業務で前後の数字が出ていること」を提案してみてください。判断基準を先に握れるかどうかが、90日後の評価を決めます。

4つの答えは、その日のうちに1枚のメモにする

口頭の合意は3か月で消えます。ヒアリング当日に、次の項目だけを書いた紙を作って社長に確認してもらってください。

  • この取り組みの目的(社長の言葉のまま書く)
  • 担当者が自分で決めてよい範囲と、承認が必要な範囲
  • 週に使ってよい時間と、代わりに減らす業務
  • 3か月後の判断基準
  • 使ってよい費用の上限
  • 報告の頻度と報告相手

90日の全体像を先に決める

AI推進担当の90日ロードマップ(4つの区切りと到達点)
AI推進担当の90日ロードマップ(4つの区切りと到達点)

90日のゴールは「全社導入」ではありません。次の3か月分の予算と体制を、根拠つきで社長に要求できる状態にすることです。そこから逆算すると、90日はこう分かれます。

期間 やること 終わったと判断する基準
0〜7日 任命の確定 4つの確認事項に社長の回答が入った1枚のメモがある
1〜30日 現状把握 部署別の業務棚卸しシートが埋まり、困りごとの上位10件が並んでいる
31〜60日 小さく試す 対象業務2つで試行が終わり、着手前と後の数字が取れている
61〜90日 広げる準備 ルール1枚が承認され、共有会を1回開き、次の四半期の提案書に数字が載っている

各期間の「終わったと判断する基準」を先に紙に書いておくのがコツです。兼任担当は本業に押されて進捗が見えなくなります。基準が書いてあれば、遅れたときに「何日分遅れているか」を社長に説明できます。

1〜30日:現状把握——まず、すでに使っている人を見つける

個人で使っている社員を洗い出す

会社が何も決めていなくても、無料で使える生成AIを個人アカウントで試している社員はたいてい何人かいます。この人たちが最初の30日で一番の資産になります。

聞くときは、冒頭で「これは注意する場ではありません」と必ず言ってから、3つだけ聞きます。「何を使っていますか」「どの業務で使っていますか」「困っていることはありますか」。禁止から入ると使用が見えなくなり、入力してはいけない情報の周知もできなくなります。

先の帝国データバンクの調査では、生成AIを活用している中小企業のうち17.6%が「AIを使いこなせる社員と使いこなせない社員の間で、能力や成果の格差が拡大した」と回答しています。放置すると差が開く一方なので、まず誰がどこにいるかを把握します。

業務の棚卸しシートを配る

推進担当が想像で埋めてはいけません。各部署の担当者本人に、次の項目を書いてもらいます。1部署あたり15分のヒアリングで十分です。

  • 部署名/記入者名
  • 業務名(「見積書の作成」のように動詞で書く)
  • 発生頻度(毎日・週◯回・月◯回)
  • 1件あたりの所要時間
  • 年間のおおよその件数
  • 作業の種類(書く・読む・調べる・まとめる・訳す、のどれに近いか)
  • 扱う情報の種類(顧客の個人情報・取引条件・社外秘を含むか)
  • 今困っていること(時間がかかる/間違えやすい/属人化している、など)
  • 間違えたときの影響(社内で止まる/社外に出る/金銭的な損失が出る)

最後の2項目を必ず入れてください。31日目以降に試す業務を選ぶとき、この2つが判断材料になります。

困りごとに優先順位を付ける

発生頻度と1件あたりの所要時間を掛けて、年間のおおよその時間を出し、大きい順に並べます。この段階では「AIで解けるかどうか」はまだ考えません。自社にとって重い業務が何かを、全部署共通のものさしで並べることだけが目的です。

30日目に手元に残っているべきものは3つです。業務棚卸しシート、重い業務の上位10件、すでに個人で使っている社員のリスト。社長への中間報告は紙1枚・15分で足ります。

31〜60日:小さく試す——対象業務を2つに絞る

試す業務を2つに絞る3つの基準(すべて満たすものだけを残す)
試す業務を2つに絞る3つの基準(すべて満たすものだけを残す)

絞り込みの3つの基準

上位10件から、次の3つをすべて満たすものだけを残します。

  • 発生頻度が高い:週1回以上あること。月1回の業務では、60日間で効果を測るだけの回数がたまりません。
  • 失敗しても取り返しがつく:社外に出る前に必ず人が確認する工程があること。見積金額の確定や契約条件の判断は、この段階では選びません。
  • 成果が言葉で説明できる:「1件30分かかっていた下書きが10分になった」のように、専門用語なしで社内に説明できること。

残ったものから2つ選びます。1つだけだと、うまくいったときに偶然か再現性かの区別がつきません。3つ以上は、本業を持つ兼任担当の時間では回りません。

試行の設計は4項目だけ決める

  1. 誰が:各業務2〜3人。うち1人は現状把握で見つけた「すでに使っている社員」を入れます。
  2. いつまで:4週間。延長は最初から想定しません。
  3. 何を測るか:後述の3つの指標から選びます。
  4. どうなったらやめるか:撤退条件を先に決めます。「4週間で確認の手間が今より増えたら中止」のように、数字か状態で書きます。

撤退条件を先に書いておくと、うまくいかなかったときに「失敗」ではなく「設計どおりの判断」として報告できます。これは兼任担当が自分を守るための装置でもあります。

効果は3つの指標で測る

  • 時間:同じ作業を、着手前と後で計ります。ストップウォッチで構いません。
  • 件数:同じ時間内に処理できた件数を数えます。
  • 手戻り:差し戻し・修正が発生した回数を数えます。ここが増えていたら、時間が短くなっていても導入は失敗です。

大事なのは、試行を始める前に着手前の数字を取っておくことです。後から思い出しで書いた数字は社内で信用されません。

配るプロンプトは、条件を箇条書きで渡す

「うまく使えない」の大半は、指示に条件が入っていないことが原因です。試行に参加する社員には、次のような型をそのまま配ります。

  • 例:あなたは当社の営業事務です。以下の問い合わせメールへの返信の下書きを作ってください。条件は、敬体で書く/300字以内/価格には触れない/納期は「確認のうえご連絡します」と書く、の4点です。問い合わせ本文:(ここに貼り付け)
  • 例:以下の打ち合わせメモを、決定事項・宿題・次回日程の3項目に整理してください。メモに書かれていないことは推測せず「記載なし」と書いてください。メモ:(ここに貼り付け)
  • 例:以下の作業手順を、初めてこの作業をする人向けに、番号付きの手順書に書き直してください。専門用語には短い説明を添えてください。分からない箇所は質問として最後にまとめてください。手順:(ここに貼り付け)

「書かれていないことは推測しない」の一文を入れておくと、事実と異なる文章が混ざる場面が目に見えて減ります。中小企業の実務では、この一文の有無が確認工数を左右します。

60日目に残しておくものは、2業務の着手前と後の数字、実際に使ったプロンプト、そしてうまくいかなかった例です。失敗例は次の四半期に対象業務を選び直すときの材料になるので、捨てないでください。

61〜90日:広げる準備——ルール・相談先・共有会

ルールは1枚に収める

この段階で作るルールは3項目で足ります。

  1. 入力してはいけない情報:顧客の個人情報、取引条件、社外秘の資料、未公開の技術情報。具体名で列挙します。
  2. 出力の確認責任は使った人にある:AIが書いたから、は理由になりません。
  3. 業務で使ってよいツール:会社が認めたものを明記します。

国が示している「AI事業者ガイドライン」は2026年3月31日に第1.2版が公表され、別紙としてチェックリストとワークシートも公開されています。自社版を作るときのたたき台として使えますが、そのまま社内に配ると読まれません。A4で1枚に削るところまでが担当者の仕事です。

相談先を3つ用意する

社内に2人、社外に1つ置きます。承認を出せる人(社長または役員)、現場で最初に試してくれる人、そして社外の相談先です。3つそろっていれば、担当者が本業で動けない週があっても取り組みが止まりません。

社内共有会は30分で組む

そのまま使えるアジェンダです。

  • 0〜5分:今日の目的と、今日は決めないことを先に言う(全社導入の可否は今日決めない、と明言する)
  • 5〜15分:試した2業務の、着手前と後の数字を出す
  • 15〜25分:使ったプロンプトを画面で実演し、その場で参加者に1回打ってもらう
  • 25〜30分:次の4週間で試したい業務を、挙手ではなく紙に書いて出してもらう

質疑を最後にまとめないでください。実演の途中で受けたほうが、具体的な質問が出ます。「今日は決めないこと」を冒頭で宣言するのは、参加者が身構えるのを防ぐためです。

次の四半期の提案書に載せる数字

90日目の成果物は提案書です。載せるのは4つ。

  • 試行の着手前と後の、時間・件数・手戻りの実測値
  • 対象を広げたときの想定範囲(対象人数×対象業務数)
  • 必要な費用(ツールの利用料と、教育にかかる費用)
  • 想定されるリスクと、その対策(1枚のルール)

教育の設計まで踏み込むなら、対象者の階層分けや題材の選び方は中小企業の生成AI研修の設計手順にまとめています。研修費用については、要件を満たす場合に国や市の支援制度の対象となる場合があります(要件審査あり)。制度ごとの受付状況は静岡のAI導入補助金・助成金の整理で確認してください。

90日で「やってはいけない」3つ

1. 全社一斉導入

90日で全員にアカウントを配ると、質問が一斉に来ます。答えられるのは兼任担当ひとりなので、対応に追われて試行の数字を取る時間が消えます。帝国データバンクの調査でも、中小企業が挙げた懸念の第2位は「専門人材・ノウハウ不足」(40.4%)でした。答える人が足りていない状態で、使う人の母数だけを増やさないでください。

2. 効果を金額だけで語る

「年間◯◯万円の削減」だけを提示すると、社内では「人を減らす話か」に置き換わって受け取られます。時間・件数・手戻りの3つで語り、金額はその後ろに補足として置きます。金額に換算する場合も、使った時間単価の根拠を必ず併記してください。

なお同調査では、生成AIを活用している中小企業の87.4%が業務への効果を実感していると回答しています。効果そのものは出やすい一方、その中身は文章の作成や情報収集の効率化が中心です。誇張せず、実測した範囲だけを語るほうが次の予算は通ります。

3. 自分ひとりで抱える

兼任である以上、本業が立て込む週は必ず来ます。承認者・現場の協力者・社外の相談先を最初から置いておけば、担当者が動けない週があっても取り組みは止まりません。「自分がやらないと進まない」状態を作らないことが、90日を走り切る条件です。

社内の抵抗は、立場ごとに理由が違う

立場ごとに違う抵抗の理由(現場・ベテラン社員・管理職・経営層)
立場ごとに違う抵抗の理由(現場・ベテラン社員・管理職・経営層)

反対されたときに「必要性を説明する」の一本槍で押すと、たいてい悪化します。理由が違うので、返し方も変えます。

現場:仕事が増えるのが不安

新しい作業を足す形で見せているのが原因です。今やっている作業の一部を置き換える形で提案し、試す題材は本人の担当業務にします。自分の業務が軽くなる体験が先に来れば、説明は要りません。

ベテラン社員:これまでの経験が否定されるのが不安

使わせようとせず、出力の良し悪しを判定する役を頼みます。「この文章、お客様に出せる水準ですか」と聞ける相手は社内にそう多くありません。判断基準を持っているのはベテランです。役割を渡すと立場が変わります。

管理職:品質と責任が不安

確認責任は使った人にあることをルールで明文化し、既存の承認フローは変えないと伝えます。「チェックの工程が減るわけではない」と最初に言い切ったほうが、かえって話が進みます。

経営層:投資判断ができないのが不安

90日の実測値と、やめるときの条件をセットで出します。撤退条件が書いてある提案は、書いていない提案より通りやすいです。金額の大小より、判断の材料がそろっているかどうかが見られています。

一人で抱えないための、外部の使いどころ

静岡県内には公的な相談先があります。いずれも2026年8月時点で公開されている情報です。

  • 静岡県よろず支援拠点:国が全国に設置している経営相談所です。相談は無料で何度でも可能、1回1時間・事前予約制で、県内の出張相談会場でも相談を受け付けています。何から手をつけるか整理したい段階に向いています。
  • 静岡県産業振興財団「中小企業DX化支援事業」:DX推進アドバイザーを無料で派遣し、現状分析、改善計画の策定、ITベンダーへの提案依頼書(RFP)の作成支援、ベンダーとのマッチングまで伴走する事業です。ただし令和8年度は募集5社・申込期限が令和8年5月22日で、すでに受付は終了しています。次年度の募集時期は公式ページで確認してください。
  • 静岡県「中小企業AI・IoT導入促進事業」:AI・IoTアドバイザーが製造現場の課題を診断し、導入提案と伴走支援を行う事業です。静岡・沼津・浜松の3拠点にAI・IoT推進ラボが置かれています。

いずれも年度ごとに募集枠と締切が変わります。申し込む前に、必ず各機関の公式ページで最新の受付状況を確認してください。県・市の支援施策の全体像は静岡県・市のDX支援施策ガイドで整理しています。

外部を使うときのコツは、丸投げしないことです。棚卸しシートと上位10件のリストを持って相談に行くと、初回から具体的な話になります。手ぶらで行くと、一般論の説明で1時間が終わります。

よくある質問

専任ではなく兼任です。週にどれくらい時間を確保すればいいですか

90日の設計で回すなら、週2〜4時間が現実的な下限です。ただし時間を確保する前に、最初の1週間で社長と「使える時間」と「代わりに減らす業務」を合意しておいてください。合意なしに自分の残業で埋めると、本業が立て込む60日目前後で止まります。

情報システム部門ではありません。技術が分からなくても務まりますか

90日でやることの大半は、業務の棚卸し、関係者への説明、数字の記録です。技術知識より、社内の誰がどの業務をどう回しているかを知っていることのほうが効きます。帝国データバンクの調査でも、中小企業が挙げた懸念の上位は「情報の正確性」49.7%と「生成AIを活用すべき業務の範囲」39.5%で、技術そのものではありません。

最初から有料プランを契約すべきですか

最初の30日は、無料で始められる範囲で十分です。60日目の試行結果を持って、必要な人数分だけ有料に切り替える判断を社長に上げるほうが、承認も通りやすくなります。契約の判断は、着手前と後の数字が出てからで遅くありません。

社員が個人アカウントで勝手に使っています。止めるべきですか

まず洗い出してください。禁止から入ると使用が見えなくなり、何が入力されているかも把握できなくなります。入力してはいけない情報だけ先に周知し、業務で使ってよいツールを決めてから移行してもらう順番が安全です。

90日で成果が出なかったらどうすればいいですか

撤退条件を試行の設計時に決めてあれば、それは失敗ではなく判断です。報告では「対象業務の選び方」「使い方」「確認の工数」のどこで詰まったのかを分けて書いてください。原因が切り分けられていれば、それ自体が次の3か月の材料になります。

参考・出典

まとめ:90日後に残っているべきもの

90日が終わったとき、手元にあるべきものは4つです。

  1. 社長と合意した1枚のメモ(目的・権限・時間・判断基準)
  2. 業務棚卸しシートと、重い業務の上位10件
  3. 試した2業務の、着手前と後の数字
  4. 承認された1枚のルール

導入したツールの数でも、開いた研修の回数でもありません。この4つがそろっていれば、次の3か月の予算と体制を、根拠を示して社長に要求できます。逆に、ツールだけ増えて数字が1つもない状態は、90日目に最も評価されにくい形です。

静岡県内で、推進担当者の立ち上げ支援や社内向けの研修設計についてご相談がある場合は、お問い合わせフォームからご連絡ください。