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静岡県の有効求人倍率は、令和8年7月分で1.10倍でした(季節調整値・受理地別)。前月を0.02ポイント上回り、66か月連続で1倍台です。ただし全国値1.18倍は0.08ポイント下回っています。県内を東部・中部・西部に分けると、東部1.03倍、中部1.21倍、西部0.91倍と開きがあります。職業別ではもっと開き、事務が0.37倍、保安の職業が5.31倍です。「静岡県は人手不足」という一言で自社の判断を決めないほうがよい数字になっています。
令和8年7月の静岡県は1.10倍、全国を0.08ポイント下回る
数字の出どころは、静岡労働局が毎月公表している静岡県内の最近の雇用情勢です。令和8年7月分は令和8年8月28日に公表されました。公表は翌月末なので、手元で見られるのは常に1か月前の状況になります。

有効求人倍率が示しているもの
有効求人倍率は、ハローワークが受け付けている求人の数を、仕事を探している人の数で割った値です。1.10倍というのは、求職者1人に対して求人が1.10件ある状態を指します。
令和8年7月分の内訳はこうなっています。
| 項目 | 令和8年7月(季節調整値) | 前月比 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率(受理地別) | 1.10倍 | 0.02ポイント上回る |
| 有効求人数 | 60,011人 | 0.8%増(2か月ぶりの増加) |
| 有効求職者数 | 54,636人 | 0.8%減(2か月連続の減少) |
倍率が上がった理由が「求人が増えたから」なのか「求職者が減ったから」なのかで、読み方は変わります。7月分は両方が同時に起きています。求人が0.8%増え、求職者が0.8%減った結果として、倍率が0.02ポイント動きました。求職者が減って倍率が上がる動きは、募集を出す側から見ると条件が良くなったわけではありません。
静岡労働局は7月分の概況を「県内の雇用情勢は、改善の動きに一段と弱さがみられる。引き続き、物価上昇等が雇用に与える影響に注意する必要がある」としています。倍率が上がったこと自体を明るい材料としては扱っていない、という点は押さえておきたいところです。
受理地別と就業地別で数字が変わる
同じ7月分でも、受理地別は1.10倍、就業地別は1.23倍です。受理地別は求人を受け付けたハローワークの所在地で集計したもの、就業地別は求人票に書かれた実際の就業場所で集計したものです。県外に本社がある会社が県内での勤務者を募集すると、この2つはずれます。
報道やSNSで「静岡の有効求人倍率」として流れてくる数字が、どちらのベースなのかは意外と書かれていません。自社の資料に転記するときは、必ずどちらかを明記してください。
東部・中部・西部で1倍の壁の位置が違う
静岡県は静岡市と浜松市という2つの政令指定都市を持ち、産業の顔ぶれも地域でかなり違います。雇用の数字にも、それがそのまま出ています。

西部は0.91倍、中部は1.21倍
令和8年7月の地域別有効求人倍率は次のとおりです。
| 地域 | 令和8年7月 | 前年同月との比較 |
|---|---|---|
| 東部 | 1.03倍 | 0.01ポイント下回る |
| 中部 | 1.21倍 | 0.12ポイント上回る |
| 西部 | 0.91倍 | 前年同月と同水準 |
西部は1倍を割っています。求職者のほうが求人より多い状態です。前年同月と比べて上回ったのは中部だけでした。
同じ県内でも、静岡市を含む中部と、浜松市を含む西部で、採用の難しさの体感が逆になっていておかしくありません。中部の会社が「人が採れない」と言い、西部の会社が「応募は来るが条件が合わない」と言う。どちらも数字の上ではあり得ます。
「静岡県は人手不足」で片づけない
県全体の1.10倍を根拠に人員計画を立てると、西部の事業所では判断を誤ります。逆に西部の感覚のまま中部に営業所を出すと、募集にかかる時間を読み違えます。
静岡労働局は各ハローワークの資料(管内の労働市場の状況・職業安定業務統計資料)も公開しています。自社の事業所がどのハローワークの管内にあるかを一度確認して、そこの資料をブックマークしておくと、県全体の数字より自社に近い判断材料が手に入ります。
職種で見ると0.37倍から5.31倍まで開く
地域差より大きいのが職業による差です。令和8年7月の職業別有効求人倍率(常用)は次のようになっています。

| 職業分類 | 有効求人倍率(常用) |
|---|---|
| 保安の職業 | 5.31倍 |
| 建設・採掘 | 5.16倍 |
| 介護関連の職業 | 3.63倍 |
| 販売 | 2.30倍 |
| サービスの職業 | 2.09倍 |
| 専門的・技術的職業 | 1.75倍 |
| 輸送・機械運転 | 1.66倍 |
| 生産工程 | 1.07倍 |
| 農林漁業 | 0.76倍 |
| 運搬・清掃・包装等 | 0.45倍 |
| 管理的職業 | 0.39倍 |
| 事務 | 0.37倍 |
介護関連の職業は特別集計のため、他の項目と重なる部分があります。
人が集まりにくい職種
保安の職業と建設・採掘は5倍を超えています。求職者1人に対して求人が5件以上ある状態で、募集を出しても順番待ちになります。介護関連も3.63倍です。県内の建設会社や介護事業所が「募集しても来ない」と言うのは、感覚ではなく数字どおりの状況ということになります。
この帯にいる職種は、募集条件を少し良くしただけでは順位が変わりません。採用の入り口を広げる(未経験可・時間限定・短時間勤務を用意する)か、その職種でなければできない仕事を絞り込むか、どちらかの手を打つ必要があります。
求職者のほうが多い職種
一方、事務は0.37倍、管理的職業は0.39倍、運搬・清掃・包装等は0.45倍です。求人1件に対して2人以上の求職者がいます。事務職の募集を出せば応募は集まる、という状態です。
ここで気をつけたいのは、「事務は採れるから人を増やせばよい」という結論に飛ばないことです。事務の求人倍率が低いのは、事務の仕事そのものが減っている側面もあります。採れるからといって人を増やすと、その仕事が数年後に残っているかという別の問題を抱え込みます。事務まわりの定型作業の減らし方は、経理・総務・人事の生成AI活用8業務で扱っています。
正社員と新規求人の数字はどこを見るか
倍率だけを追っていると見落とす動きがあります。7月分で目立ったのは、正社員と新規求人の食い違いです。
正社員は1.03倍で全国を上回る
正社員の有効求人倍率は1.03倍で、全国値0.98倍を0.05ポイント上回りました。正社員の有効求人数は32,373人で、前年同月を13か月ぶりに上回っています。求人全体に占める正社員の割合は55.3%です。
県全体の倍率は全国を下回っているのに、正社員に限ると全国を上回る。静岡県は正社員の募集が相対的に多い、という読み方ができます。正社員での採用を考えている求職者から見れば、静岡県は選択肢が多い地域です。ここは求人票の書き方に効いてきます。
新規求人は産業でばらつく
新規求人倍率は1.96倍で、前月を0.13ポイント下回りました。全国値2.10倍も0.14ポイント下回っています。新規求人数は20,750人で、前年同月比2.0%の減少(417人減)でした。
産業別に見ると、方向がそろっていません。
| 産業 | 令和8年7月の新規求人数 | 前年同月からの動き |
|---|---|---|
| 医療・福祉 | 5,493人 | 増加 |
| 製造業 | 3,176人 | 増加 |
| サービス業 | 2,542人 | 減少 |
| 卸売業・小売業 | 2,408人 | 減少 |
| 建設業 | 2,127人 | 減少 |
| 宿泊業・飲食サービス業 | 1,308人 | 増加 |
| 運輸業・郵便業 | 1,226人 | 減少 |
事業所の規模でも差が出ています。29人以下は13,028人で前年同月の13,606人を下回り、30〜99人も5,120人で前年の5,212人を下回りました。一方で100〜299人、300〜499人、500〜999人、1,000人以上はいずれも前年同月を上回っています。小さい事業所ほど新規求人を減らし、大きい事業所は増やしている構図です。
規模の小さい会社が「うちだけ採用を絞っている気がする」と感じるとしたら、それは気のせいではありません。同時に、同じ求職者を規模の大きい会社と取り合っている、ということでもあります。
毎月のPDFから自社に関係する数字だけを拾う
ここまでの数字は、すべて毎月更新されます。翌月末に新しいPDFが出て、倍率も地域別も職業別も入れ替わります。毎月20ページ近いPDFを読み込む時間を確保できる会社は多くありません。ここが生成AIの出番です。

貼り付けてよいのは公表済みの数字だけ
静岡労働局が公表しているPDFは、誰でも見られる公開資料です。この中身を生成AIに貼り付けて「自社に関係する部分だけ抜き出して」と頼むのは問題ありません。
反対に、同じ作業のついでに自社の応募者名簿、面接メモ、履歴書の中身、社員の給与額を貼り付けるのはやめてください。応募者の情報は個人情報です。公表資料と自社の内部情報は、別のやりとりに分けるのが安全です。
社内向けメモの型
生成AIに渡す指示は、抜き出したい項目を先に決めておくと安定します。次のような形です。
添付は静岡労働局が公表した「静岡県内の最近の雇用情勢」です。 次の項目だけを、書かれている数値のまま箇条書きで抜き出してください。 書かれていない項目は「記載なし」と書いてください。推測で補わないでください。 1. 有効求人倍率(季節調整値・受理地別)と前月比 2. 地域別有効求人倍率(東部・中部・西部) 3. 職業別有効求人倍率のうち「生産工程」「事務」「輸送・機械運転」 4. 産業別新規求人数のうち「製造業」「運輸業・郵便業」 5. 事業所規模別新規求人数のうち「29人以下」
抜き出したい職業分類と産業は、自社が採用したい職種に合わせて入れ替えてください。「書かれていない項目は記載なしと書く」を必ず入れます。これがないと、生成AIは前月の数字や全国の数字で穴を埋めてしまうことがあります。
抜き出した数値は、必ず元のPDFの該当ページと突き合わせてから社内に回してください。数字の転記は、生成AIが最も静かに間違えるところです。
数字を求人票と業務の見直しにつなぐ
数字を眺めて終わりにしないために、2つの出口を用意しておきます。

求人票の書き直しを下書きする
倍率が5倍を超える職種で募集を出すなら、求人票は他社と並べて読まれる前提で書きます。生成AIに任せられるのは、自社が用意した素材の言い換えと整理です。
たとえば、現行の求人票の文面と、社内で挙げた「実際にこの仕事の良いところ」のメモを渡して、「求職者が最初に知りたい順に並べ替えて、専門用語は言い換えて」と頼む。これは下書きとして使えます。
一方で、勤務時間・賃金・休日・社会保険といった労働条件は、生成AIに考えさせてはいけません。事実として決まっているものを、そのまま書き写す欄です。ここを生成AIに「魅力的に」書かせると、実際の条件と違う求人票ができあがります。ハローワークの求人票と実際の条件が違うという申し出は、労働局が受け付ける相談として実際に存在します。
採れない職種の仕事を減らす
倍率5倍の職種を、募集の工夫だけで埋めるのは現実的ではありません。もう一つの出口は、その職種の人がやっている仕事のうち「その資格や経験がなくてもできる部分」を切り出すことです。
現場の作業そのものは減らせません。減らせるのは、その周りにある書類仕事です。日報の清書、点検記録の転記、写真の整理と説明文、報告書の様式合わせ。こうした部分の減らし方は業種ごとに違うので、建設業の生成AI活用7選や介護記録と書類を生成AIで軽くする手順が近いところを扱っています。
社内で研修として進めるなら、費用の一部が助成の対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。制度の入口はAI研修に使える人材開発支援助成金にまとめてあります。
生成AIに任せないところ
数字を扱う作業では、任せない線を先に決めておくと迷いません。
- 応募者・従業員の氏名、住所、履歴書、面接メモ、評価、給与額は入力しない
- 求人票の労働条件欄(賃金・勤務時間・休日・保険)は生成AIに書かせず、決まった事実を転記する
- 公表されていない自社の人員計画や退職予定を、公開資料の要約と同じやりとりに混ぜない
- 抜き出した数値は、必ず元のPDFと突き合わせてから社内に回す
- 「静岡の有効求人倍率は何倍?」と生成AIに直接聞かない(学習時点の古い数字や全国値が返ることがある)
最後の点は特に注意してください。倍率は毎月変わります。答えられるのは公表されたPDFだけです。
9月から年末までの段取り
7月分の数字を受けて、年内にできることを時期で分けておきます。
まず9月中に、自社の事業所がどのハローワークの管内かを確認し、県全体ではなく管内の資料を見る習慣にします。あわせて、自社が採用したい職種が職業別のどの分類に入るかを決めておきます。生産工程なのか、輸送・機械運転なのか、専門的・技術的職業なのか。ここが決まっていないと、毎月の数字を見ても自社の話になりません。
10月は賃金まわりの見直し時期と重なります。静岡県最低賃金は令和8年10月15日から1,154円になります。募集時の時給が下限に近い職種では、求人票の書き換えが必要です。詳しくは静岡県最低賃金2026は1,154円へにまとめています。
11月から12月は、翌年度の人員計画を組む時期です。ここで「採用で埋める枠」と「仕事を減らして埋める枠」を分けます。倍率が3倍を超えている職種は、採用だけで埋める前提を外しておくほうが計画は現実的になります。採用業務そのものの進め方は採用業務の生成AI活用6選を参照してください。
まとめ
静岡県の有効求人倍率は令和8年7月分で1.10倍、全国1.18倍を0.08ポイント下回りました。66か月連続で1倍台ですが、静岡労働局は「改善の動きに一段と弱さがみられる」としています。
県内は東部1.03倍、中部1.21倍、西部0.91倍と分かれます。職業別ではもっと開き、保安の職業5.31倍、建設・採掘5.16倍、介護関連3.63倍に対して、事務0.37倍、管理的職業0.39倍です。正社員に限れば1.03倍で全国を上回り、新規求人は小規模事業所で減って中規模以上で増えています。
数字は毎月入れ替わります。生成AIには公表済みPDFからの抜き出しと求人票の言い換えを任せ、労働条件の記載と応募者情報の扱いは人が持つ。この線引きで、毎月の確認を短い作業に変えられます。
出典・参考
- 静岡労働局「静岡県内の最近の雇用情勢(令和8年7月分)」(令和8年8月28日公表・有効求人倍率1.10倍、地域別・職業別・産業別・事業所規模別の数値)
- 静岡労働局「静岡県内の最近の雇用情勢」(月次の公表一覧)
- 静岡労働局「一般職業紹介状況関係」
- 静岡労働局「各ハローワークの資料(管内の労働市場の状況・職業安定業務統計資料)」
- 静岡労働局「主要職種別求人賃金情報(令和7年度)」
- 静岡労働局「静岡県最低賃金」(令和8年10月15日発効・1,154円)
- 厚生労働省「ハローワークの求人票の内容が実際と違っていたら」
FAQ
Q. 静岡県の有効求人倍率は今いくつですか。
令和8年7月分で1.10倍です(季節調整値・受理地別)。就業地別では1.23倍です。全国値は1.18倍でした。数字は毎月更新され、翌月末に静岡労働局が公表します。最新の値は静岡労働局の「静岡県内の最近の雇用情勢」で確認してください。
Q. 静岡県の倍率が全国より低いのは、人が余っているということですか。
そう単純ではありません。県全体では全国を0.08ポイント下回っていますが、正社員に限ると1.03倍で、全国値0.98倍を0.05ポイント上回っています。職業別では保安の職業が5.31倍、建設・採掘が5.16倍で、極端に人が足りない分野もあります。全体の平均値ひとつで判断できる状態ではありません。
Q. 東部・中部・西部はどこを指しますか。
静岡労働局の地域別集計の区分です。令和8年7月は東部1.03倍、中部1.21倍、西部0.91倍でした。自社の事業所がどの区分に入るかは、管轄のハローワークで分かります。静岡労働局は各ハローワークの管内資料も公開しているので、そちらのほうが自社に近い数字になります。
Q. 有効求人倍率が上がったら採用しやすくなりますか。
倍率が上がるのは、求職者から見て選択肢が増えた状態です。募集する側から見ると条件は厳しくなります。令和8年7月分は求人が0.8%増え、求職者が0.8%減った結果として倍率が上がりました。採用のしやすさで言えば、倍率が下がったほうが有利です。
Q. 毎月のPDFを生成AIに読ませてもよいですか。
公表資料なので問題ありません。ただし、抜き出したい項目を指定し、「書かれていない項目は記載なしと書く」と条件を付けてください。抜き出した数値は元のPDFと突き合わせてから使います。応募者名簿や面接メモなど、自社の個人情報を同じやりとりに混ぜないでください。
Q. 生成AIに「静岡の有効求人倍率は?」と直接聞いてはいけませんか。
避けてください。倍率は毎月変わるため、学習時点の古い数字や全国の数字が返ることがあります。数字そのものは静岡労働局の公表資料から取り、生成AIには「渡した資料から抜き出す」「社内向けに書き直す」という作業だけを任せてください。