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静岡の農業の書類仕事を生成AIで|みかん・わさび・温室メロン

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静岡の農業の書類仕事を生成AIで|みかん・わさび・温室メロン

静岡県の農業産出額は2,396億円で全国18位です。わさびの産出額と温室メロンの作付面積・収穫量・出荷量は全国1位、みかんの収穫量と出荷量は全国2位、いちごは全国5位。品目が多い分、秋から冬にかけて栽培記録・出荷規格の説明・直売やギフトの商品説明文・短期の人手に渡す作業手順書が同じ時期に重なります。生成AIが効くのは、この「書く部分」の下書きと書き分けです。ただし、ほ場の位置や取引先ごとの単価のように外に出せない情報は入れずに使います。

静岡の農業は品目の多さが、そのまま書類の多さになる

静岡県の農業産出額と内訳
静岡県の農業産出額と内訳

農林水産省の令和8年版 静岡県の農林水産業の概要によると、静岡県の農業産出額は2,396億円で全国18位です。内訳は野菜689億円(28.8%)、畜産605億円(25.3%)、果実372億円(15.5%)、米269億円(11.2%)、花き166億円、工芸農作物115億円。全国順位で見ると花きが4位、工芸農作物が4位、果実が8位で、金額の順位より個別の分野で上位に来る形です。

全国1位が3つ、2位が2つある

品目ごとに見ると、順位はぐっと上がります。静岡県公式のわさび産出額・栽培面積、水わさび栽培面積、水わさび(根茎)生産量・出荷量 日本一によると、わさびの産出額は34億円で全国1位、全国の63.0%を占めます。水わさびの栽培面積は114.4ヘクタール(全国の51.0%)、根茎の生産量は210.5トン(53.0%)で、いずれも1位。産地としては静岡市葵区の山間部、有東木地区が挙げられています。

温室メロンの作付面積・収穫量・出荷量 日本一のページでは、令和6年の作付面積203ヘクタール(全国568ヘクタールの35.7%)、収穫量5,030トン(33.8%)、出荷量4,960トン(34.7%)で、3つとも全国1位です。

品目 指標 静岡県 全国順位 年次
わさび 産出額 34億円(全国の63.0%) 1位 令和6年
温室メロン 作付面積 203ヘクタール(35.7%) 1位 令和6年
温室メロン 収穫量 5,030トン(33.8%) 1位 令和6年
ガーベラ 出荷量 45,800千本 1位 令和6年
みかん 収穫量 88,500トン 2位 令和6年
茶(荒茶・主産県) 生産量 24,100トン 2位 令和7年
いちご 収穫量 10,100トン 5位 令和6年
鶏卵 産出額 239億円 10位 令和6年

鶏卵は239億円で、県内の農業産出額としては第1位の品目です。全国順位は10位。「静岡=茶とみかん」という見え方と、実際の産出額の並びはずれています。

地域ごとに扱う品目が違う

同じ概要資料は、県内を5つの地域に分けて主な農林水産物を挙げています。西部は茶・みかん・水稲・ガーベラ・ちんげんさい・セルリーなど。志太榛原・中遠は茶・水稲・いちご・温室メロン・トマト・レタス。中部は茶・みかん・いちご・ばら、林産物としてわさび。富士・東部は茶・みかん・水稲・いちご・トマト・三島馬鈴薯・鶏卵、林産物としてわさび。賀茂はマーガレット・ニューサマーオレンジ、林産物としてわさび。

世界農業遺産は「静岡の茶草場農法」(平成25年5月)と「静岡水わさびの伝統栽培」(平成30年3月)の2つ。地理的表示(GI)保護制度では三島馬鈴薯、田子の浦しらす(生・釜揚げ)、西浦みかん寿太郎、深蒸し菊川茶、静岡県の清酒が登録されています。品目が多く、名前の付いた産地が多い。これはブランドの強みであると同時に、書類の種類が増える理由でもあります。茶に絞った書類の整理は静岡の茶業×生成AI|販路・事務・輸出の効率化手順にまとめました。

出荷期に重なる6種類の書類

出荷期に重なる6種類の書類
出荷期に重なる6種類の書類

出荷が動いている時期に、経営者や作業長のところへ集まってくる書類は、だいたい6種類に分かれます。同じ時期に来るのが厄介なところで、優先順位を決めずに手を付けると、いちばん締切の緩いものから片づいてしまいます。

6種類の内訳

栽培記録と防除記録は、日々の作業のあとに手書きで残っていることが多い書類です。出荷規格と等級の説明は、市場・仲卸・直売所・飲食店で求められる粒度が違います。直売所とギフトの商品説明文は、贈答の時期に合わせて差し替えが要ります。短期の人手に渡す作業手順書は、収穫と選別の応援を頼むたびに書き直しになります。気象と相場のメモは、あとから振り返るためのものなのに、忙しい時期ほど残りません。補助金や認定の申請書は、締切だけが動かせません。

生成AIが効くのは1から5まで

このうち生成AIが役に立つのは、1から5です。6の申請書は下書きまでで、内容の判断は自分でします。補助金そのものの探し方は静岡のAI導入補助金5選|国・静岡市・浜松市を整理を参照してください。

栽培記録と防除記録は、清書と要約だけを任せる

記録そのものを生成AIに作らせてはいけません。作らせた時点で、それは記録ではなく作文になります。任せるのは、すでにある記録の形をそろえる作業だけです。

手書きのメモを表の形にそろえる

現場のノートは、日付の書き方も作業名の言い方もばらつきます。「9/3 3号ハウス 芽かき」「三日 三号 芽かき済」のような行を並べて、日付・ほ場の呼び名・作業名・人数・所要時間の列に整える。この作業は生成AIが正確にこなします。ただしほ場の地番や地図上の位置は入れません。社内で使っている「3号ハウス」のような呼び名までにとどめます。

月ごとの振り返りを要約させる

そろえた表を月単位で見て、「作業時間が伸びた週」「人手が足りなかった日」を拾わせる。ここで出てくるのは仮説なので、そのまま結論にせず、思い当たることがあるかを自分で確かめます。翌年の作付計画を考えるときの材料としては十分に使えます。

防除記録は転記させない

農薬の使用に関する記録は、内容を間違えると出荷に影響します。生成AIに転記させると、単位や希釈倍数を「読みやすく」直してしまうことがあります。防除記録については、様式を作るところまでで止めて、数値の入力は人がやってください。

出荷規格と等級の説明を、相手別に書き分ける

同じ品物でも、伝える相手によって先に言うべきことが変わります。市場に出すときの説明と、直売所に並べるときの説明を同じ文章で済ませると、どちらにも届きません。

元になる説明を1本だけ丁寧に書く

生成AIがいちばん向いているのはこの書き分けです。元になる説明を自分で1本だけ丁寧に書いて、それを相手別に変換させる。ゼロから5本書かせるより、精度が安定します。

渡す相手 先に伝えること 書き方の注意
市場・仲卸 等級と選別の基準、入り数、荷姿 数字と業界の用語を省かない
直売所の買い物客 食べごろ、保存の仕方、味の特徴 等級の記号をそのまま出さない
ギフト・ふるさと納税 到着の時期、日持ち、贈答の体裁 産地の話は確かめられる事実だけ
飲食店・加工業者 規格外の使い道、出せる量と期間 数量の約束は文章で書かない
海外向け 品目の一般的な説明、栽培方法の概要 表示や規制の可否は自分で確認する

海外向けだけは可否を自分で確かめる

海外向けの行だけ注意書きが違うのは、輸出先の表示ルールや検疫の条件を生成AIが正しく知っているとは限らないためです。県はマーケティング戦略の海外戦略5品目として茶・いちご・わさび・温室メロン・日本酒を挙げています。輸出を狙うなら、説明文の下書きは生成AIでよいとしても、可否の判断は必ず一次情報に当たってください。

直売所・ギフト・ふるさと納税の説明文をつくる

秋から冬は、贈答の需要が動く時期です。同じ品目に対して、長さの違う説明文が3通り要ります。

まず、直売所の値札に載る20字前後。次に、ECやふるさと納税のページに載る200字前後。最後に、贈答の同梱カードに載る100字前後。生成AIには、元になる説明を1本渡したうえで「この3つの長さに」と頼みます。長さの指定を先に出すと、削るところが自然になります。

味の表現は言い切らない

食味は年によって変わります。「毎年必ず甘い」と書ける品目はありません。生成AIは形容詞を足したがるので、出てきた文章から「必ず」「日本一」「最高級」のような言い切りを外す作業を、必ず人がやります。言い切りを外す作業は、生成AIに頼まず自分の目でやったほうが速いというのが実感です。

写真の説明文も一緒に作る

ECのページに載せる写真には、画像が表示されなかったときに出る説明文(altテキスト)を付けられます。「箱に並んだみかん」「切り分けた温室メロンの断面」のような短い文で十分です。写真の枚数だけまとめて作らせておくと、あとで探す手間が消えます。販売側の文章づくり全般は静岡の営業が使う生成AI6場面も参考になります。

短期の人手に渡す作業手順書を用意する

収穫と選別の時期は、普段いない人が現場に入ります。学生、パート、外国人スタッフ。そのたびに口頭で説明するより、1枚の手順書を渡したほうが早く、事故も減ります。

手順書に入れる5点

手順書に入れるのは、作業の順番、道具の置き場所、やってはいけないこと、けがにつながる場面、困ったときに誰に言うかの5点です。生成AIには、自分が口で説明している内容をそのまま書き出したメモを渡して、「初めての人が読んで動ける順番に並べ替えてください」と頼みます。

外国人スタッフにはやさしい日本語で

外国人スタッフがいる場合は、同じ内容をやさしい日本語に直したものを別に1枚。手順は外国人スタッフへの説明文書を生成AIでやさしい日本語にに書いた通りで、短い文に切る、主語を書く、二重否定を避ける、の3つを守るだけでかなり読みやすくなります。募集や受け入れの書類づくりは採用業務の生成AI活用6選にまとめました。

気象と相場の変動に備えるメモを残す

静岡県は東西約155キロメートル、南北約118キロメートル、面積約7,777平方キロメートル。南に約500キロメートルの海岸線、北に3,000メートル級の山々があり、平均気温は概ね16〜17度、降水量は1,800〜2,300ミリメートルです。温暖な海洋性気候で、平地では雪はあまり降りません。裏を返せば、台風と大雨、そして近年の高温が、農業側のいちばん大きな変動要因になります。

4行のメモを翌日に残す

やっておくと効くのは、起きたことを短く残すことです。「いつ」「どの品目に」「何が起きて」「何をしたか」の4行。忙しい最中には書けないので、片づいた翌日に、口で話した内容を生成AIに整理させます。これを数年ためると、翌年の判断材料になります。

農業版のBCPに足す2点

農業を含む事業の継続計画については、BCP策定を生成AIで進める5手順で骨組みを扱いました。農業版として足すなら、収穫のピークが動かせないこと、出荷先への連絡が最優先になること、この2点を先頭に置くと現場に合います。

入れてよい情報と、入れてはいけない情報

生成AIに入れてよい情報と、入れてはいけない情報
生成AIに入れてよい情報と、入れてはいけない情報

ここで一度、線を引いておきます。農業は個人経営が多く、経営の情報と個人の情報が同じ紙に載りやすい仕事です。

入れてよいのは、公開されている統計の数値、自分で作った作業手順の原文、品目の一般的な特徴です。入れてはいけないのは、ほ場の位置と地番、取引先ごとの単価、従業員の氏名と在留資格、未公表の出荷計画、そして補助金の申請書に書いた個人情報。

判断に迷ったら、「この文章が印刷されて直売所の掲示板に貼られても困らないか」を基準にすると、だいたい合います。困るなら入れない。社内でどこまで許すかを1枚のルールにしておく手順は、中小企業の生成AI研修の始め方で扱っています。

数字を確かめる先を先に決めておく

最後に、いちばん事故が起きやすいところを書いておきます。生成AIは、産地の順位や生産量をもっともらしく答えます。しかしその数字は、年次がずれていたり、指標が違っていたりします。

メロンは指標で順位が8位と1位に変わる

分かりやすい例が、この記事でも使ったメロンです。農林水産省の概要資料で「メロン」の収穫量を見ると、令和6年で5,320トン、全国8位。ところが静岡県公式の「温室メロン」で見ると、収穫量5,030トンで全国1位です。指標が「メロン全体」か「温室メロン」かで、順位が8位と1位に変わります。生成AIにどちらを聞いたかで答えが変わるのは、当然のことです。

確かめる先を3つ決めておく

確かめる先は、次の3つを決めておけば足ります。静岡県公式のMyしずおか日本一一覧表、その中の農林産物のページ、そして農林水産省の静岡県の農林水産業の概要です。県のページには元になった統計名(令和6年産野菜生産出荷統計、令和6年生産農業所得統計、令和6年特用林産基礎資料など)が書かれているので、年次と指標をそのまま引き写せます。

年次と指標名を並べて書く

チラシやページに数字を載せるときは、必ず年次と指標名を並べて書く。「わさび産出額 全国1位(令和6年・生産農業所得統計)」のように書いておけば、翌年の更新でどこを直せばよいかも一目で分かります。公的な支援窓口の探し方は静岡県のDX・AI支援窓口|相談先4層の選び方にまとめました。

まとめ

静岡県の農業産出額は2,396億円で全国18位。わさびの産出額と温室メロンの作付面積・収穫量・出荷量は全国1位、ガーベラの出荷量も全国1位、みかんの収穫量は全国2位です。品目が多いことは強みですが、書類の種類が増える理由にもなります。

出荷期に重なるのは、栽培記録と防除記録、出荷規格と等級の説明、直売所とギフトの商品説明文、短期の人手に渡す作業手順書、気象と相場のメモ、申請書の6種類。生成AIに任せられるのは清書・要約・書き分け・言い換えで、記録そのものと防除記録の数値の入力、申請内容の判断は人がやります。

入れてよいのは公開されている統計と自分で作った原文まで。ほ場の位置と地番、取引先ごとの単価、従業員の氏名と在留資格、未公表の出荷計画は入れません。そして数字は、県公式と農林水産省の資料で年次と指標をそろえてから使う。この2つを守れば、出荷期の書く仕事はかなり軽くなります。

出典・参考

よくある質問

Q. 静岡県の農業産出額はいくらですか。

農林水産省の令和8年版「静岡県の農林水産業の概要」によると、2,396億円で全国18位です。内訳は野菜689億円(28.8%)、畜産605億円(25.3%)、果実372億円(15.5%)、米269億円(11.2%)、花き166億円、工芸農作物115億円。分野別の全国順位では、花きと工芸農作物が4位、果実が8位です。

Q. 静岡県が全国1位の農産物は何ですか。

令和6年の数値で、わさびの産出額(34億円・全国の63.0%)、温室メロンの作付面積・収穫量・出荷量、ガーベラの出荷量(45,800千本)が全国1位です。水わさびについては栽培面積・根茎の生産量・出荷量も1位です。順位を引用するときは、年次と統計名を一緒に書いてください。

Q. 静岡のみかんは全国何位ですか。

令和6年の収穫量は88,500トンで、収穫量・出荷量とも全国2位です(全国の収穫量は559,600トン)。茶の荒茶生産量は令和7年で24,100トンの全国2位、いちごの収穫量は令和6年で10,100トンの全国5位です。

Q. 栽培記録や防除記録を生成AIに入れてもよいですか。

記録そのものを作らせるのはやめてください。任せるのは、すでにある記録を表の形にそろえる作業と、月ごとの振り返りの要約までです。とくに防除記録は、単位や希釈倍数を「読みやすく」直されると出荷に影響します。様式づくりまでで止めて、数値の入力は人がやってください。ほ場の地番や位置も入れません。

Q. 生成AIが答えた産地の順位は、そのまま使えますか。

使えません。指標や年次が違うと順位が変わります。たとえば「メロン」の収穫量は令和6年で5,320トン・全国8位ですが、「温室メロン」なら5,030トン・全国1位です。静岡県公式の「Myしずおか日本一一覧表」と農林水産省の概要資料で、年次と統計名まで確かめてから使ってください。

Q. 茶についても同じやり方でよいですか。

基本の考え方は同じですが、茶は販路と輸出の事情が他の品目と違います。別記事の「静岡の茶業×生成AI|販路・事務・輸出の効率化手順」で、荒茶と仕上茶の扱い、海外向けの書類、事務の順番を分けて書いているので、そちらを先に読んでください。