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【2026年最新】BCP策定を生成AIで進める5手順|静岡の中小企業

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【2026年最新】BCP策定を生成AIで進める5手順|静岡の中小企業

BCP(事業継続計画)が作れない理由の大半は、防災の知識不足ではなく「書く時間がない」ことです。静岡県には全国に先駆けて作られた様式があり、埋めるべき項目はすでに決まっています。生成AIは、その空欄を埋めるための質問を出し、社内の会話を文章に変換する道具として使えます。本記事では、県内の中小企業が5つの手順でBCPを前に進めるやり方と、AIに任せてはいけない部分を分けて整理します。

静岡県内のBCP策定率は56.9%。止まっているのは「書く作業」です

静岡県内企業のBCP策定率(静岡県 令和7年度調査)
静岡県内企業のBCP策定率(静岡県 令和7年度調査)

静岡県は、平成21年度から隔年で県内企業の事業継続計画の策定状況を調査しています。令和7年11月から12月にかけて実施された9回目の調査(対象は県内の中小企業等1,000社、有効回答527社。内訳は製造業397社、建設業65社、その他65社)では、県内事業所全体のBCP策定率は56.9%でした。前回調査から4.3ポイント上昇しています。

従業員規模 令和3年度 令和5年度 令和7年度
50人以上 63.3% 66.5% 74.8%
49人以下 34.7% 40.3% 39.8%
全体 49.3% 52.6% 56.9%

読み方が重要です。従業員50人以上では74.8%まで進み、前回から8.3ポイント上昇しました。一方で従業員49人以下は39.8%で、前回から0.5ポイント低下しています。規模の小さい会社ほど止まっている、という構図がはっきり出ています。

ここで足りていないのは、危機感でも防災の知識でもありません。「誰が」「いつ」「どの様式に」「何を書くか」を決めて、実際に文章にする作業です。生成AIが効くのは、まさにこの部分です。

静岡には、全国に先駆けて作られた様式があります

静岡県は、中小企業庁が平成17年度に公表した中小企業BCP策定運用指針をベースに、中小企業がBCPを簡易に作成できるモデルプランを、都道府県では全国に先駆けて策定しました。第1版は平成18年2月で、東海地震対策のBCPを県の代表的な産業である製造業をケースとして、様式(記入シート)に記入すればBCPができあがる形にしたものです。

策定時期 特徴
第1版 平成18年2月 都道府県で全国初。製造業をケースに、記入シート方式
第2版 平成22年10月 新潟県中越沖地震や新型インフルエンザを踏まえ様式を全面見直し
第3版 平成26年3月 東日本大震災のサプライチェーン寸断と、静岡県第4次地震被害想定への減災対策を反映
入門編 平成31年1月 業種ごとのフォーマットに記入すれば誰でも簡易に策定できる
第4版 令和5年10月 感染症やサイバー犯罪等のマルチハザード対応、BCMの考え方を追加

ほかに、必要最低限の項目に絞った簡略版の作成手引きも公開されています。製造業版は金属プレス工場、商業版は小規模スーパーと駅前商店街の寝具店をモデルにしたもので、A4の4ページに記入すれば初歩的な事業継続計画ができる構成です。

想定する災害の前提としては、静岡県第4次地震被害想定があります。第一次報告が平成25年6月、第二次報告が同年11月に公表されたもので、発生頻度が比較的高く、発生すれば大きな被害をもたらす地震・津波を「レベル1」、発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの地震・津波を「レベル2」として整理しています。自社の所在地の想定は、県や市町が公開している資料で確認してください。

BCP策定を生成AIで進める5手順

BCP策定を生成AIで進める5手順
BCP策定を生成AIで進める5手順

以下は、様式が手元にある前提で「空欄を埋め切る」ための手順です。生成AIには、自社の情報を整理する役と、抜けを指摘する役を担わせます。

手順1|止まると困る業務を洗い出す

最初にやるのは、業務の棚卸しです。会議で意見を出し合っても発散するので、生成AIに質問を作らせて、それに答える形にしてください。

例:「当社は静岡県内の従業員30名の製造業です。事業継続計画を作るため、『止まると最も困る業務』を特定したいと考えています。私に順番に質問してください。質問は一度に1つだけにし、私の回答を受けてから次の質問をしてください。10問終わったら、止まると困る業務を影響の大きい順に3つ挙げ、それぞれ理由を添えてください。」

一問一答の形にすると、会議より短時間で内容が出ます。出てきた3業務が、以降の手順の対象になります。

手順2|被害の想定を、自社の言葉に置き換える

県や市町の被害想定は、震度や浸水深といった数値で書かれています。これを「では自社では何が起きるか」に翻訳する作業が、BCPの入口でつまずく箇所です。

例:「当社の工場は1階建てで、加工機8台と製品倉庫があります。従業員30名のうち、車通勤が25名です。次の条件で、社内で起こりうる支障を『人』『建物・設備』『情報』『取引先』の4区分に分けて箇条書きにしてください。条件は、平日昼間に強い揺れが発生し、停電が3日間続き、周辺道路の一部が通行止めになる場合です。数値の被害想定は加えず、支障の内容だけを挙げてください。」

最後の指示が大切です。生成AIに被害の数値を作らせると、出典のない数字がBCPに残ってしまいます。数値は必ず県・市町の公表資料から人が転記してください。

手順3|様式の空欄を、質問に開き直して埋める

モデルプランの記入シートは、いきなり書こうとすると手が止まります。項目名を渡して、「この欄に書くべきことを引き出す質問」に変換させてください。

例:「次はBCPの記入シートの項目名です。それぞれについて、記入者が答えれば欄が埋まるような具体的な質問を2つずつ作ってください。専門用語は使わず、当社の状況を聞く形にしてください。(ここに項目名を貼る)」

質問に答えていけば、文章は後から整えられます。答えを箇条書きで返し、「この内容を記入シートの文体で200字にまとめてください」と続ければ、そのまま様式に貼れる文になります。

手順4|連絡と一報の文面を、平常時に作っておく

災害の直後に文章を考える余裕はありません。安否確認の呼びかけ、取引先への第一報、従業員家族向けの案内は、先に雛形を作っておきます。

例:「次の3つの雛形を作ってください。(1)従業員向けの安否確認メッセージ(100字以内、返信方法を明示)(2)主要取引先への第一報(被害の状況、操業の見込み、次の連絡予定の3点構成。断定できない事項は『確認中』と書く)(3)従業員家族向けの案内(会社の連絡先と、出社可否の判断基準)。氏名と電話番号は括弧で残してください。」

取引先への第一報は、書きぶりを誤ると後で問題になります。「復旧見込み」を断定せず、「確認中」「次回連絡予定」を明示する型にしておくのが安全です。

手順5|訓練シナリオと振り返りの記録を作る

作ったBCPは、訓練で回さないと使い物になりません。生成AIには、机上訓練のシナリオと、当日の進行台本、振り返りの記録様式を作らせます。

例:「当社の事業継続計画をもとに、60分の机上訓練のシナリオを作ってください。開始から10分ごとに新しい情報が入る形式にし、参加者が判断を迫られる場面を4つ入れてください。あわせて、訓練後に記入する振り返りシート(うまくいった点、詰まった点、計画を直すべき箇所)を作ってください。」

訓練で出た「詰まった点」を計画に反映するところまでが1周です。この1周が回ると、BCPは書類から運用に変わります。

生成AIに任せてはいけないBCPの部分

  • 被害想定の数値:震度、浸水深、津波の到達時間などは、県・市町の公表資料から人が転記します。生成AIが出した数値をそのまま計画に書かないでください。
  • 避難の判断基準と避難先:自社の立地に紐づく判断です。ハザードマップと自治体の指定避難場所を確認して決めます。
  • 従業員の連絡先や家族情報:個人情報を外部サービスに入力しないでください。雛形の段階では括弧で残し、実データは社内の管理簿で扱います。
  • 取引先との契約上の約束:復旧の期日や代替供給の可否は会社の意思決定です。説明文の下書きまでにとどめます。
  • 補助金・融資の採択や適用の可否:制度の要件は所管機関に確認します。生成AIが「対象になります」と答えても根拠になりません。

事業継続力強化計画という、もう一段ライトな入口

いきなりBCPを作り切るのが難しい場合、国の事業継続力強化計画の認定制度から入る手もあります。独立行政法人中小企業基盤整備機構の説明によれば、この制度は「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律」(中小企業強靱化法)が2019年5月29日に成立し、同年7月16日に施行されたことで創設された、防災・減災に取り組む中小企業がその取組内容(事前対策)をとりまとめた計画を国が認定する制度です。

1社で作成する単独型と、複数の企業が連携して作成する連携型の2種類があり、認定を受けた企業は税制措置や金融支援、補助金の加点などの支援策を受けられるとされています。計画の記載項目はBCPより少ないため、まずこちらを埋めてから、県のモデルプランで肉付けしていく順番が現実的です。要件や申請方法は制度所管の公式情報で確認してください。

静岡県が用意している支援と、更新を止めない仕組み

静岡県が用意しているBCP支援メニュー
静岡県が用意しているBCP支援メニュー

静岡県は、BCPの普及と実効性の向上のために複数の支援を用意しています。県のページで確認できる主なものは次のとおりです。

  • 静岡県事業継続計画モデルプラン:未策定なら入門編、実行力を高めたいなら最新版と、取組段階に合わせて使い分ける前提で公開されています。
  • BCP策定セミナー:過去に実施したセミナーのアーカイブ動画が公開されています。策定していない事業者向けの回では、モデルプラン(入門編)、事業継続力強化計画、介護事業者の業務継続計画、ハザードマップの使い方などが扱われています。
  • 専門家派遣:企業が実際にBCPの策定や見直しをする際の、個別企業への支援が用意されています。
  • 静岡県BCP研究会:企業、大学、民間、行政等が連携して情報交換や学術研究を行う交流の場として設置されています。
  • 制度融資と保証:中小企業向け制度融資の防災・減災強化資金のほか、BCPを策定している企業を対象に、静岡県信用保証協会の災害時発動型保証予約システム(BCP特別保証)、日本政策金融公庫のBCP資金が案内されています。

もうひとつ、更新を止めないための仕組みも決めておいてください。おすすめは「年に1回、決算の翌月に見直す」と決めて、社内の予定に入れてしまうことです。見直しのたびに、前回からの変更点(人員、取引先、設備、連絡網)を生成AIに質問させ、差分だけを直す形にすれば、作り直しになりません。

BCPを社内でどう教えるかは、「中小企業の生成AI研修の始め方」で扱っている研修設計の考え方がそのまま使えます。社内で推進役を任された方は「AI推進担当が最初の90日でやること|静岡の中小企業」もあわせてご覧ください。

よくある質問

従業員10名以下でもBCPは作れますか

作れます。県のモデルプランには、必要最低限の項目に絞った簡略版の作成手引きがあり、商業版は小規模スーパーや駅前商店街の寝具店をモデルにしています。A4で4ページの様式に記入する構成なので、経営者1人でも着手できます。項目を減らすことより、埋めた内容を1回でも訓練で使ってみることのほうが効きます。

生成AIに会社の情報を入れるのが不安です

入れる情報を先に決めてください。業務の種類、設備の台数、従業員数といった情報は、多くの会社で公開情報に近い水準です。一方で、従業員の氏名・連絡先、取引先名と取引条件、図面や単価表は入力しない、と決めておきます。この線引きを1枚の紙にして共有するだけで、実務は回ります。

BCPを作ると補助金や融資で有利になりますか

制度によっては、BCPや事業継続力強化計画の策定が対象要件や加点の材料になる場合があります。ただし要件審査があり、制度ごとに条件が異なるため、対象となるかは公式情報で確認してください。県内で使える制度の全体像は「静岡のAI導入補助金5選」にまとめています。

作ったBCPが実際に役立つかどうか、どう確かめますか

机上訓練を1回やってみるのが最短です。手順5のシナリオを使い、参加者が「この場面で誰に何を聞けばいいか分からない」と止まった箇所を記録します。止まった箇所が、そのまま計画の弱いところです。訓練の記録は、次の見直しの材料として残してください。

何から手を付ければ迷いません

手順1の「止まると困る業務を3つ挙げる」だけを、今週30分でやってみてください。3つが決まれば、以降の項目は全部その3業務についてだけ考えればよくなります。全社の全業務を対象にしようとすると、たいてい途中で止まります。

参考・出典

まとめ|様式は既にある。埋める作業を軽くする

静岡県内のBCP策定率は56.9%で、従業員49人以下では39.8%にとどまっています。止まっている原因は知識ではなく、書く作業の重さです。県は都道府県で全国に先駆けてモデルプランを作り、入門編から第4版まで、取組段階に合わせて使える様式をそろえています。止まると困る業務の洗い出し、被害想定の翻訳、記入シートの質問化、連絡文の雛形、訓練シナリオ。この5つを生成AIに手伝わせれば、埋める作業は目に見えて軽くなります。被害の数値と避難の判断、個人情報だけは人が持つ。その線を守って、まずは1業務分から書き始めてください。

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