2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策は全ての事業主の義務になります。根拠は改正労働施策総合推進法と、2026年2月26日に告示された防止指針です。静岡県ではすでに2026年4月1日に「静岡県カスタマーハラスメント防止条例」が施行されていて、県の指針と国の10項目の措置が重なります。10月までに用意する文書は、方針文・周知文・相談窓口の案内・受付票・対応マニュアル・研修資料の6種類。生成AIは、この下書きと言い換えに使えます。ただし相談の中身と個人が特定できる記録は、汎用の生成AIサービスに入れてはいけません。
10月1日に義務になるのは「対策」であって「クレーム対応」ではない
先に誤解をほどいておきます。義務になるのは、顧客対応がうまいかどうかではありません。厚生労働省が求めているのは「雇用管理上の措置」、つまり働く人を守るための社内の体制です。うまく謝る技術を身につけろ、という話ではありません。
厚生労働省は職場におけるハラスメントの防止のためにで、施行日を令和8年10月1日と示しています。指針は令和8年2月26日に告示され、カスタマーハラスメント防止指針(令和8年厚生労働省告示第51号)と、求職者等セクハラ防止指針(同第52号)の2本が同時に出ました。
定義は3つの要素をすべて満たすもの
カスタマーハラスメント防止指針の詳細版リーフレットは、職場におけるカスタマーハラスメントを次のように定義しています。
- 顧客等の言動であって
- その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより
- 労働者の就業環境が害されるもの
3つをすべて満たすものが該当します。電話やSNS等のインターネット上で行われるものも含まれます。逆に、顧客からの苦情の全てが該当するわけではありません。障害のある人が不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、社会的障壁の除去を必要としている旨の意思を表明すること自体も、カスタマーハラスメントには当たりません。
「顧客等」の範囲は思っているより広い
同じリーフレットは、顧客等を「顧客、取引の相手方、施設(駅、空港、病院、学校、福祉施設、公共施設等)の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者」と定めています。今後商品の購入やサービスの利用をする可能性がある者も含みます。例として挙がっているのは、商品を買う人、問い合わせをする人、取引先の担当者、企業間での契約締結に向けた交渉の担当者、施設・サービスの利用者とその家族、施設の近隣住民です。
つまり、来店客のいない工場や事務所でも無関係ではありません。取引先の担当者からの言動も範囲に入ります。県内の輸送機器サプライヤーのように取引先が固定している会社ほど、「言いにくい」構図ができやすい点は意識しておいたほうがよいところです。価格交渉の場での言動については、購買・調達の生成AI|取適法対応と価格協議の準備も合わせて読んでください。
静岡県は条例が先、国の義務化が後から重なる

静岡県の事業者にとって、この10月は「はじめて」ではありません。静岡県はすでに静岡県カスタマーハラスメント防止条例(静岡県条例第48号)を持っていて、令和8年4月1日に施行済みです。条例本文は県公式サイトのPDFで読めます。
条例が定めているのは「禁止」と「責務」
条例の第2条は、カスタマーハラスメントを「顧客等の言動のうち、就業者の従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものであって、当該就業者の就業環境を害するもの」と定義しています。第4条は「何人も、あらゆる場において、カスタマーハラスメントを行ってはならない」と、行為そのものを禁じています。そのうえで県・事業者・就業者・顧客等それぞれの責務を置き、第10条第1項第1号で県が指針を策定することを定めています。
国の法律が「事業主が講じる措置」を義務づけるのに対し、県の条例は「行為の禁止」と「それぞれの立場の責務」を置いている。向いている方向が違うので、どちらかを守れば済むという関係ではありません。
| 静岡県カスタマーハラスメント防止条例 | 改正労働施策総合推進法(国) | |
|---|---|---|
| 施行 | 2026年4月1日 | 2026年10月1日 |
| 何を定めているか | カスタマーハラスメントの禁止、県・事業者・就業者・顧客等の責務、指針の策定 | 事業主が講じる雇用管理上の措置 |
| 事業者から見た中身 | 顧客等も含めた社会全体のルール | 方針・相談体制・事後対応・抑止・プライバシーの10項目 |
| 静岡の事業者の立ち位置 | 4月からすでに責務がある | 10月から措置が義務になる |
県の指針と啓発物はそのまま使える
カスタマーハラスメントの防止についてのページには、県の指針と啓発物が並んでいます。指針の基本方針は「思いやりの心で、GOODコミュニケーション」。事業者の取組として、カスハラ該当性の整理、初動対応、記録・証拠の整理、社内対応方針やマニュアルの整備が挙げられています。
同じページから、啓発リーフレット、啓発ポスター(顧客等向け・就業者向け・英語版)、卓上掲示物(POP)、ロゴマーク使用ガイドラインがダウンロードできます。印刷してレジ横や受付に置くだけで、②の周知の一部は動き出します。英語版のポスターがあるのは、外国人スタッフや訪日客が多い現場ではそのまま効きます。
県はカスタマーハラスメント対策相談窓口も開いています。実施期間は令和8年7月から令和9年2月、相談時間は平日11時から19時(土日祝日を除く)、オンラインの完全予約制で無料です。
事業主が必ず講じる10の措置

厚生労働省のリーフレットが並べている措置は、大きく5つのかたまり、細かくは10項目です。
5つのかたまりで読む
事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発として、①カスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化して労働者に周知・啓発すること、②カスタマーハラスメントの内容とあらかじめ定めた対処の内容を労働者に周知すること。②の「対処の内容」の例として、管理監督者にその場の対応の方針について指示を仰ぐ、可能な限り労働者を一人で対応させない、犯罪に該当し得る言動は警察へ通報する、本社・本部等へ情報共有を行い指示を仰ぐ、が挙げられています。
相談体制の整備として、③相談窓口をあらかじめ定めて労働者に周知すること、④相談窓口担当者が適切に対応できるようにすること。事後の迅速かつ適切な対応として、⑤事実関係を迅速かつ正確に確認すること、⑥被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと、⑦再発防止に向けた措置を講じること。
対応の実効性を確保するために必要な抑止のための措置として、⑧特に悪質と考えられるカスタマーハラスメントへの対処の方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、その対処を行うことができる体制を整備すること。そのほか併せて講ずべき措置として、⑨相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じて労働者に周知すること、⑩相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
10項目を「作る文書」に置き換える
10項目を「作る文書」に置き換えると、次の表になります。ここまで割ると、9月中に手が動きます。
| 措置 | 用意する文書 |
|---|---|
| ①方針の明確化と周知 | 会社としての方針文(A4で1枚) |
| ②対処の内容の周知 | 現場用の対応マニュアル(1枚) |
| ③相談窓口の周知 | 窓口の案内(掲示と朝礼配布用) |
| ④担当者が対応できるようにする | 受付票と、担当者向けの手引き |
| ⑤事実関係の確認 | 記録の様式(日時・相手・言動・対応) |
| ⑥被害者への配慮 | 配慮できることの一覧(交代・休憩・持ち場替え) |
| ⑦再発防止 | 振り返りの記録とマニュアルの改訂履歴 |
| ⑧悪質な場合の対処方針 | 段階的な対応の基準(打ち切り・通報・出入り制限) |
| ⑨プライバシーの保護 | 記録の保管場所と閲覧できる人の取り決め |
| ⑩不利益取扱いの禁止 | 方針文と就業規則への追記 |
取引先から協力を求められたとき
指針は、事業主・労働者それぞれの責務と、望ましい取組も置いています。他の事業主から事実関係の確認等の協力を求められた場合には応ずるよう努めること、協力を求められたことを理由に契約を解除する等の不利益な取扱いを行うことは望ましくないこと。取引先との関係が長い静岡の製造業では、ここは読み飛ばさないほうがよい部分です。
どこからがカスタマーハラスメントか
線引きの材料も指針に書かれています。「社会通念上許容される範囲を超えた言動」は、言動の内容が超える場合と、手段や態様が超える場合の2通りに分けて例示されています。
言動の内容が範囲を超えるもの
そもそも要求に理由がない、または商品・サービス等と全く関係のない要求。契約等により想定しているサービスを著しく超える要求。対応が著しく困難な、または対応が不可能な要求。不当な損害賠償要求。
手段や態様が範囲を超えるもの
身体的な攻撃(暴行、傷害等)。精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要等)。威圧的な言動。継続的、執拗な言動。拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)。
判断にあたっては、言動の目的、労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者との関係性などを総合的に考慮するのが適当だとされています。そして「言動の内容」「手段や態様」の一方のみが範囲を超える場合でも該当し得る点に留意が必要だと明記されています。
現場に配るときは、この2列を1枚にして貼るのがいちばん早いです。旅館・ホテルのフロントや客室係、介護施設の相談員、配送のドライバーは、判断を一人で背負わされがちな持ち場です。それぞれの現場の書類仕事については、静岡の旅館・ホテル向け生成AI活用、介護記録と書類を生成AIで軽くする手順、運送・物流の生成AI活用7場面にまとめています。
生成AIに渡してよい情報と、渡してはいけない情報

ここが、この記事でいちばん大事なところです。措置の⑨は「相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置」です。相談の中身を外部サービスに貼り付けた時点で、保管場所と閲覧できる人の取り決めは崩れます。
渡してよいもの
公開されている指針や条例の条文。自社の方針文の下書き。就業規則の一般的な条項。自分で作った匿名の想定事例(「50代の男性が、配送の遅れを理由に2時間にわたって同じ主張を繰り返した」のように、実在の個人にたどり着かない粒度まで削ったもの)。
渡してはいけないもの
相談者の氏名・所属・勤務地・シフト。相手の氏名・住所・電話番号・顧客番号・車両番号。通話録音のデータそのもの。防犯カメラの画像。診断書や産業医の意見書。そして、相談内容の生の文章です。「要約させるだけだから」と貼り付けるのが、いちばんやりがちな失敗です。
使い方の原則は1行で言えます。生成AIには「様式」と「言い回し」を作らせて、中身は自社の中で埋める。この線を最初に決めておけば、担当者が代わっても運用が壊れません。社内のルールづくりそのものは、中小企業の生成AI研修の始め方で扱った手順がそのまま使えます。
方針文と周知文を下書きする
方針文はA4で1枚あればよい
方針文は長くなくてかまいません。①で求められているのは「毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨」の明確化です。A4で1枚、次の4行が入っていれば形になります。会社としてカスタマーハラスメントを許さないこと。働く人を守ること。該当する言動があった場合に取る対応。相談したことで不利益を受けないこと(⑩)。
生成AIへの頼み方
生成AIへの頼み方は、材料を先に渡す形にします。
次の条件で、社内向けの方針文の下書きを作ってください。用途は掲示と朝礼での読み上げ。長さはA4で1枚。入れる要素は、カスタマーハラスメントを許さないこと、働く人を守ること、該当する言動があった場合の対応、相談したことで不利益を受けないこと、の4点です。業種は(自社の業種)、読む人は(正社員・パート・派遣を含む全員)です。専門用語には短い言い換えを添えてください。
出てきた文章は、そのままでは使えません。自社の相談窓口の名前、実際に取れる対応、決裁の順序を入れ替える作業が必ず要ります。生成AIが作るのは「骨」で、「肉」は自社にしかありません。
外国人スタッフには1枚足す
外国人スタッフがいる現場では、周知文をやさしい日本語に直したものを1枚足しておきます。手順は外国人スタッフへの説明文書を生成AIでやさしい日本語にに書きました。
相談窓口の受付票と記録の様式をつくる
受付票に入れる項目
③と⑤に効くのが、受付票です。紙1枚でもよく、フォームでもかまいません。大事なのは、相談を受けた人が迷わず埋められる項目になっていることです。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 日時と場所 | 起きた日時、店舗名・現場名 |
| 経路 | 来店、電話、メール、SNS、訪問のどれか |
| 相手の属性 | 顧客、取引先の担当者、利用者の家族、近隣の住民 |
| 言動の要旨 | 何を求められ、どう言われたか(事実だけ) |
| 対応者 | 対応した人、途中で交代したか |
| その場の判断 | 対応を続けた、打ち切った、管理者を呼んだ、通報した |
| 受けた人の状態 | 続けられる、交代が必要、休憩が必要 |
| その後の配慮 | ⑥として実際に行ったこと |
埋めた後の受付票は生成AIに戻さない
この様式づくりは生成AIが得意な仕事です。「対応した人が3分で埋められる項目にしてください」「事実と評価が混ざらないように、項目名を書き分けてください」と条件を付けると、使える形に寄ってきます。ただし埋めた後の受付票は、生成AIに戻さないこと。⑨のプライバシー保護は、ここで守るか崩すかが決まります。
保管場所と閲覧できる人も同時に決めます。共有フォルダに置くなら、誰が開けるかを先に絞る。紙なら、鍵のかかる場所に置く。ここまで決めて、ようやく③④⑤⑨がひとまとまりになります。
現場に配るマニュアルと研修資料
現場用は1枚に収める
②で求められているのは「あらかじめ定めた対処の内容」の周知です。現場用のマニュアルは、1枚に収めます。声のかけ方、交代を求める合図、管理者を呼ぶ基準、打ち切りの言い回し、警察へ通報する基準(⑧)。この5つが入っていれば足ります。
研修の教材は匿名の想定事例から作る
指針は、望ましい取組として「労働者が自社の商品やサービスをよく理解し、顧客等への対応力の向上を図るための研修等」を挙げています。義務ではありませんが、研修の教材づくりは生成AIが役に立つ場面です。匿名化した想定事例を10本作らせ、自社で起こり得るものだけを残して対応の分岐を書き足す。この作り方なら、外に出せない情報を渡さずに済みます。
管理職には受けた後の動き方を渡す
管理職には、相談を受けた後の動き方を別に用意します。事実確認(⑤)、被害者への配慮(⑥)、再発防止(⑦)は管理職の仕事です。相談体制とメンタルヘルスは、10月の全国労働衛生週間の重点事項とも重なります。準備の段取りは全国労働衛生週間2026|静岡の職場の準備を生成AIでにまとめてあるので、同じ月の作業として一緒に片づけるのが効率的です。
9月から10月の段取り
残り時間で考えると、順序はほぼ決まります。
9月中にやる3つ
9月中にやることは3つです。方針文を1枚作って掲示する。相談窓口を決めて、誰に言えばよいかを全員に伝える。県の啓発ポスターとPOPを印刷して、受付やレジ横に置く。ここまでで①②③が動き出します。
10月1日と、その後
10月1日には、措置が「決まっていて、周知されている」状態にします。運用の完成度より、周知の有無が先です。10月中は、受付票を実際に1件でも使ってみて、埋めにくい項目を直します。記録の保管場所と閲覧できる人の取り決めもここで固めます。
その後は、半年に一度の見直しで十分です。指針は、労働者や労働組合等の参画を得ながら運用状況を把握し、必要な見直しを検討することを望ましい取組として挙げています。
迷ったときの相談先
判断に迷う場面が出たら、静岡労働局の雇用環境・均等室や、個別労働紛争解決制度・総合労働相談コーナーが相談先になります。静岡労働局はハラスメント対策強化の案内資料も出しています。県の相談窓口とあわせて、無料で使える先が二重にある状態です。
まとめ
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント対策は全事業主の義務になります。静岡県では2026年4月1日にすでに防止条例が施行済みで、県の指針と国の10項目の措置が重なる形です。
用意する文書は、方針文・周知文・相談窓口の案内・受付票・対応マニュアル・研修資料の6種類。生成AIは、この下書きと言い換え、そして様式づくりに使えます。渡してよいのは公開資料と自社の方針文の下書き、匿名化した想定事例まで。相談者や相手の氏名、通話録音、防犯カメラの画像、診断書、相談内容の生の文章は入れません。
9月のうちに方針文・相談窓口・掲示物の3つを動かし、10月1日は「決まっていて、周知されている」状態で迎える。この順番で進めれば、残りの時間でも間に合います。
出典・参考
- 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」(施行日 令和8年10月1日、指針告示 令和8年2月26日)
- 厚生労働省「令和8年10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます!(詳細版リーフレット)」
- 静岡県「静岡県カスタマーハラスメント防止条例」(静岡県条例第48号・令和8年4月1日施行)
- 静岡県「静岡県カスタマーハラスメント防止条例(条例本文)」
- 静岡県「カスタマーハラスメントの防止について」(県の指針、啓発リーフレット・ポスター、相談窓口)
- 静岡労働局「雇用環境・均等室」
- 静岡労働局「個別労働紛争解決制度/総合労働相談コーナー」
- 静岡労働局「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます(案内資料)」
よくある質問
Q. カスタマーハラスメント対策の義務化はいつからですか。
2026年(令和8年)10月1日からです。改正労働施策総合推進法と、令和8年2月26日に告示されたカスタマーハラスメント防止指針(令和8年厚生労働省告示第51号)が根拠になります。同じ日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策も義務になります。
Q. 中小企業や個人事業主も対象ですか。
厚生労働省のリーフレットには、企業規模による適用時期の差は示されていません。「事業主の皆さまは、改正法や指針の内容に沿った対策を行う準備を進めてください」と書かれているだけです。パワーハラスメント対策のときのような中小企業向けの猶予があるかどうかは、リーフレットの記載からは読み取れないので、自社の規模にかかわらず10月1日を前提に準備するのが安全です。
Q. 静岡県の条例と国の法律は、どちらに従えばよいですか。
両方です。静岡県カスタマーハラスメント防止条例は2026年4月1日に施行済みで、カスタマーハラスメントの禁止と、県・事業者・就業者・顧客等の責務を定めています。国の改正労働施策総合推進法は2026年10月1日から、事業主が講じる10項目の措置を義務づけます。定めている対象が違うので、どちらかを守れば済むという関係ではありません。
Q. お客さまからの苦情は、全部カスタマーハラスメントとして扱ってよいですか。
いけません。指針は「顧客等からの苦情の全てがカスタマーハラスメントに該当するわけではありません」と明記しています。また、障害のある人が不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、社会的障壁の除去を必要としている旨の意思を表明すること自体は該当しません。該当するのは、顧客等の言動・社会通念上許容される範囲を超えたもの・就業環境が害される、の3つをすべて満たす場合です。
Q. 相談の記録を生成AIに要約させてもよいですか。
個人が特定できる記録は入れないでください。措置の⑨は「相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置」で、外部の生成AIサービスに貼り付けた時点で保管と閲覧の取り決めが崩れます。生成AIには受付票の様式づくりや、匿名化した想定事例からの研修教材づくりを任せて、埋めた後の記録は社内で扱ってください。
Q. 取引先の担当者からの言動も対象になりますか。
指針が挙げる「顧客等」の例に、取引先の担当者と、企業間での契約締結に向けた交渉を行う際の担当者が含まれています。来店客のいない工場や事務所でも無関係ではありません。