静岡県内の中小企業がAI導入で使える公的支援は、2026年8月末時点では国の3制度——デジタル化・AI導入補助金2026、中小企業省力化投資補助金、人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)——が申請の中心です。静岡市・浜松市の独自制度は令和8年度分の受付を終えており、次回募集の確認対象になります。本記事では、公式一次情報で実在と内容を確認できた5制度に絞り、それぞれの対象・金額・現在の受付状況を整理します。
結論:2026年8月末時点の受付状況早見表

まず全体像です。金額・受付状況はすべて各制度の公式サイト・公式資料で確認した2026年8月末時点の情報です。年度途中で変わるため、申請前に必ず公式ページで最新情報を確認してください。
| 制度名 | 実施主体 | 主な対象 | 上限額など | 2026年8月末時点の状況 |
|---|---|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026 | 国 | ITツール・AIツール導入 | 通常枠は最大450万円 | 公募中(締切は複数回設定) |
| 中小企業省力化投資補助金 | 国 | 省力化の設備・システム投資 | 一般型は最大1億円 | 第8回公募が進行中 |
| 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース) | 国 | AI研修などの人材育成 | 経費助成率は中小企業75% | 通年で申請可 |
| 中小企業等デジタル活用事業補助金 | 静岡市 | デジタルツール・IT機器導入 | 上限50万円 | 令和8年度受付終了 |
| 中小事業者等AIエージェント導入支援事業費補助金 | 浜松市 | AIエージェント導入 | 上限500万円 | 令和8年度受付終了 |
デジタル化・AI導入補助金2026(国):旧IT導入補助金
2026年度から、長く使われてきた「IT導入補助金」が「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更されました。中小企業・小規模事業者がソフトウェアやクラウドサービスなどのITツールを導入する際の定番制度で、名前のとおりAI活用が正面に据えられています。
- 通常枠:補助額は5万円から最大450万円(導入するツールが対応する業務プロセス数により、150万円未満/150万円から450万円の区分)。補助率は2分の1以内で、一定の要件を満たす事業者は3分の2以内。
- その他の枠:インボイス枠、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠が設けられています。
- 受付状況:2026年は複数回の締切が設定されており、4次締切分は2026年8月25日で受付を終えました。以降のスケジュールは公式サイトで随時公表されます。
注意点として、この制度は事務局に登録されたIT導入支援事業者・登録ツールを通じて申請する仕組みです。導入したいツールが登録されているかを、公式サイトのツール検索で先に確認してください。
中小企業省力化投資補助金(国):人手不足対応の設備・システム投資
人手不足の解消につながる省力化投資を支援する制度で、AIを組み込んだシステムやロボット等も、省力化に資するものであれば対象になり得ます。2つの型があります。
- カタログ注文型:カタログに掲載された省力化製品を選んで導入する方式。補助上限は最大1,500万円。
- 一般型:自社の現場に合わせた設備導入・システム構築を行う方式。補助上限は従業員規模等に応じて設定され、最大1億円。
第8回公募が2026年8月18日に始まっており、カタログ注文型の締切は10月中旬予定、一般型は9月中旬から申請受付開始予定です。申請には「GビズIDプライム」アカウントが必要とされているため、未取得の場合は先に取得手続きを進めてください(発行までに時間がかかります)。補助率や詳細要件は公募回ごとの公募要領で必ず確認してください。
人材開発支援助成金・事業展開等リスキリング支援コース(国):AI研修の費用を支える

ツールではなく「人」への投資を支える制度です。DX化に関連する業務に必要な知識・技能を習得させる訓練(10時間以上のOFF-JT)が対象で、生成AI研修も要件を満たせば対象となる場合があります(要件審査あり)。厚生労働省の支給要領(令和8年8月3日改正版)に基づく助成内容は次のとおりです。
- 経費助成:中小企業75%、大企業60%
- 賃金助成:訓練期間中の賃金として1人1時間あたり中小企業1,000円、大企業500円
- 設備投資加算:中小企業が要件を満たす場合、対象機器等の導入費用の50%を加算
- 経費助成の限度額:通学制などの場合、1人1計画あたり中小企業で実訓練時間に応じ30万円から50万円。eラーニング・通信制は1計画あたり中小企業15万円
訓練開始前に労働局へ計画届を提出する必要があるため、研修会社と日程を決める前に申請スケジュールを逆算するのが実務上のコツです。また、訓練の類型によっては事前に認定経営革新等支援機関の確認が必要になる場合があります。研修そのものの設計方法は「中小企業の生成AI研修の始め方」で解説しています。
静岡市:中小企業等デジタル活用事業補助金
静岡市内に主たる事業所を持つ中小企業等を対象に、デジタル活用の経費を補助する市独自の制度です。補助上限は50万円、補助率は3分の2。対象経費にはソフトウェア導入に必要なIT機器(PC・タブレット等)の購入費なども含まれます。
ただし、令和8年度分の受付期間は2026年5月15日から7月3日までで、すでに終了しています。次回募集の有無・時期は静岡市の公式ページ(産業振興課)で確認してください。市独自制度は国の制度より小口ですが、その分手続きの負担が軽い傾向があり、初めてのデジタル投資の入口として押さえておく価値があります。
浜松市:中小事業者等AIエージェント導入支援事業費補助金
令和8年度に浜松市が設けた、全国的にも珍しいAIエージェント特化の補助金です。市の要件では、AIエージェントは「ユーザーからの指示に基づき、自律的に問題解決やタスク実行を行うソフトウェア」と定義され、市内の施設等に導入して定例業務や情報収集・分析等の効率化を図る事業が対象です。
- 補助率:対象経費の2分の1以内
- 補助額:1件あたり上限500万円・下限50万円
- 対象者:浜松市内に主たる事業所を有する中小企業者(市税完納などの要件あり)
令和8年度は一次募集(4月20日から5月29日)・二次募集(6月15日から7月31日)ともに受付を終えています。政令市がAIエージェント導入に正面から補助を付けた事例として注目度が高く、来年度の動向は要チェックです。浜松の製造業を含む活用の実践例は「静岡の茶業×生成AI」のような業種別記事でも扱っていきます。
申請前に確認すべき5つの注意点

- 交付決定前の発注は原則NG:多くの補助金では、交付決定前に契約・発注した経費は対象外となるのが原則です。導入を急ぐ場合でも、各制度の公募要領・交付要綱で発注可能時期を必ず確認してください。
- GビズIDの取得を先に:国の補助金の電子申請ではGビズIDプライムが求められる場面が増えています。取得には時間がかかるため、申請直前ではなく今すぐ着手を。
- 「補助金ありき」で投資対象を決めない:補助対象かどうかより、自社の業務課題に効くかが先です。省力化・効率化の効果を説明できない申請は審査でも通りにくくなります。
- 金額・年度は必ず公式で再確認:本記事の金額・日程は2026年8月末時点の公式情報ですが、公募回や年度で変わります。
- 助成額を前提にした資金繰りをしない:いずれの制度も審査があり、対象となる場合があります(要件審査あり)という前提で、自己資金で完結できる計画を組むのが安全です。
まとめ:国の3制度を軸に、市の制度は次回募集を待つ
2026年8月末時点で静岡県内の企業が現実的に動けるのは、デジタル化・AI導入補助金2026(ツール導入)、中小企業省力化投資補助金(設備・システム)、事業展開等リスキリング支援コース(人材育成)の3本柱です。静岡市・浜松市の独自制度は今年度分の受付を終えているため、次回募集の情報を追いつつ、まずは国の制度と自社の投資計画の突き合わせから始めてください。
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