結論から書きます。静岡県の中小企業の営業が生成AIで取り戻せるのは、商談そのものではなく商談の前後にある「書く時間」です。最初に手をつけるならフォローメールと商談メモの2つ。毎日発生して、機密性が低く、失敗しても社内で止められるからです。この記事では訪問前の下調べから社内報告まで、商談の時間軸に沿って6つの場面の手順とプロンプト例、そして入力してはいけない情報の線引きまでまとめます。
営業の1日から「書く時間」だけを抜き出す

静岡県の製造品出荷額等は19兆291億円で全国3位です(令和4年実績)。内訳を見ると輸送機械が約4兆6,435億円と製造業全体のおよそ4分の1を占め、電気機械が約2兆6,948億円、化学工業が約2兆5,741億円、食料品が約1兆4,744億円、パルプ・紙・紙加工品が約9,086億円と続きます。富士市では全国で生産されるトイレットペーパーの約4割がつくられ、茶の栽培面積は全国の34.7%で1位です。県内で営業をしていると、西部は輸送機器のサプライチェーン、中部は食品・水産加工や茶、東部は製紙や観光と、担当エリアが変わるだけで相手の業種がまるごと入れ替わります。
ところが業種が違っても、営業が書いている文書はほとんど同じです。まず自分の1日を、次の6つに分解してみてください。
- 訪問前の下調べ:相手の会社概要、直近の発表、想定される課題を頭に入れる
- 商談メモ:走り書きのノートを、あとで読める記録にする
- 提案書:構成を考え、根拠を並べ、体裁を整える
- 見積の説明文:金額の内訳や条件変更の理由を文章にする
- フォローメール:商談後の確認、追加資料の送付、返信の催促
- 社内報告:日報・週報・案件サマリー・営業会議の資料
帝国データバンクの「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(2026年5月14日公表)では、生成AIを活用している企業は全体で34.5%、大企業46.5%に対して中小企業32.4%、小規模企業28.0%でした。業界別では製造33.0%、卸売31.2%と、静岡の主力業種はいずれも全体平均を下回っています。一方、活用している企業が実際に使っている業務のトップは「文章の作成・要約・校正」で45.1%。いま多くの企業が手応えを得ているのは高度な分析ではなく、上に並べたような日々の文章仕事です。
6つの場面を、AIに任せる工程と人が決める工程に割ると次のようになります。
| 場面 | AIに任せる工程 | 人が決める工程 |
|---|---|---|
| 訪問前の下調べ | 集めた公開情報の要約と論点整理 | どこを突くか、何を聞くか |
| 商談メモ | 走り書きの分類と次アクションの抽出 | 相手の温度感の読み |
| 提案書 | 構成案・骨子・言い回しの整え | 提案の中身と根拠の数字 |
| 見積の説明文 | 説明の順番と表現の平準化 | 金額そのもの、譲れる条件 |
| フォローメール | 下書きと文面のバリエーション | 送るかどうか、送る相手 |
| 社内報告 | 事実の並べ替えと要約 | 案件の見立て、注力先の判断 |
右の列は、モデルがどれだけ賢くなっても人に残ります。左の列だけを渡す、というのがこの記事全体の方針です。
商談前|下調べは「調べさせる」のではなく「整理させる」
集める情報は4点だけ
初回訪問の前に必要な情報は、突き詰めると4点です。(1)相手が何をつくって誰に売っているか、(2)直近1年の公表された動き(新工場、新商品、採用、認証取得など)、(3)自社との取引の流れ(既存なら過去の見積と納品履歴、新規なら業界の一般的な購買ルート)、(4)今日会う人の役職と決裁上の位置。この4点が埋まっていれば、初回商談で聞くべきことは自然に決まります。
情報は自分で集め、AIには整理だけを任せる
ここで多い失敗が、AIに「◯◯株式会社について教えて」と直接聞いてしまうことです。生成AIの回答は学習した内容から確率的に組み立てられるため、実在しない受賞歴や誤った設立年が混ざります。個人情報保護委員会も「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(令和5年6月2日)で、応答結果には不正確な内容の個人情報が含まれるリスクがあると指摘しています。
手順を逆にします。相手企業の公式サイト、プレスリリース、採用ページ、業界紙の記事を自分で開いて本文をコピーし、その本文だけを渡して整理させます。
例:「以下は訪問先の会社の公式サイトと直近のプレスリリースの本文です。ここに書かれている内容だけを使って、(1)事業の柱 (2)直近1年の動き (3)当社の◯◯(取り扱い商材)が関係しそうな箇所 (4)訪問時に確認したい質問を5つ、の4項目に整理してください。本文に書かれていない推測は書かず、不明な点は『資料に記載なし』としてください。」
出てきた固有名詞は元の資料に戻して確認する
整理結果に出てきた数字・年号・製品名は、渡した本文の中に実在するかを目で確認します。「推測は書かない」と指示してもAIは補完します。訪問先で誤った前提を口にすると、その1回で信用を失います。確認にかかるのは数分です。
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商談直後|メモを「決まったこと・保留・宿題」に割る
録音と自動議事録は、先に相手の同意を取る
商談の音声を文字起こしツールにかける運用が広がっていますが、順番を間違えないでください。録音すること、その音声を外部サービスで文字起こしすることを、商談の冒頭で相手に伝えて了解を得ます。個人情報保護委員会の注意喚起では、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、応答以外の目的で取り扱われる場合は個人情報保護法違反となる可能性があるとされ、事業者が当該データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認するよう求めています。会社として使うツールが入力内容を学習に使わない設定になっているかは、配る前に情報システム担当と一緒に確認してください。
同意が取れない相手、あるいは未公表の設備投資計画のように相手が外に出したくない話題が中心の商談では、録音せず手書きに戻す判断も必要です。
走り書きは4つの箱に割る
録音の有無にかかわらず、商談メモの整理はAIが得意な領域です。ポイントは、要約させるのではなく分類させることです。
例:「以下は商談中の走り書きです。誤字はそのままにしています。これを (1)決まったこと (2)保留になっていること (3)こちらの宿題 (4)相手の宿題 の4つに分けて箇条書きにしてください。走り書きに書かれていない内容は追加しないでください。判断がつかない項目は『分類不能』として末尾にまとめてください。」
「分類不能」を出させるのがコツです。すべてを綺麗に振り分けさせると、AIは無理やり当てはめます。分類不能に落ちた項目は、たいてい自分の記憶を掘り起こす必要がある部分で、そこだけ考えれば整理は終わります。
次アクションは「誰が・何を・いつまでに」で書き切る
分類が終わったら宿題だけを取り出し、主語と期限を入れます。ここは自分で書いたほうが速い場面も多いので、無理にAIを通す必要はありません。営業の生成AI活用でよくあるつまずきが、全工程をAIに通そうとして往復が増えることです。手で書けるものは手で書きます。
提案書|いきなり完成品を作らせない。構成案→骨子→本文の3段階

なぜ3段階に分けるのか
「◯◯社向けの提案書を作って」と一度に頼むと、それらしい体裁の文書が返ってきます。ところが読み返すと、相手の課題が一般論にすり替わっていたり、自社が提供できない仕様が書かれていたりします。修正しようとすると全体を書き直すことになり、結局ゼロから作ったほうが速かった、という結論になります。段階を分ける目的は、間違いが小さいうちに気づくことです。
第1段階:構成案を3案出させる
例:「当社は静岡県西部で輸送機器向けの◯◯(部材名)を扱う従業員40名の会社です。訪問先は同じ県内の一次サプライヤーで、今回の相談内容は『既存部材の調達先を2社体制にしたい』でした。この商談に出す提案書の見出し構成を3案出してください。各案について、購買担当・技術担当・役員のうち誰に刺さる構成かを1行で添えてください。本文は書かないでください。」
3案を比べる形にすると、「うちの場合はこの順番だ」と決めやすくなります。1案だけ出させると、良し悪しの基準がないまま受け入れてしまいます。
第2段階:見出しごとの主張を1行にする
選んだ構成に対して、見出しごとの主張を1行ずつ書かせて骨子にします。この段階で、どこに根拠の数字を入れる必要があるかが見えます。数字の中身はまだ空欄のままで構いません。空欄が多すぎる構成は、そもそも自社が語れない提案です。
第3段階:骨子を確定してから本文を書かせる
骨子を確定させ、根拠の数字を自分で埋めてから本文を書かせます。ここでAIに渡すのは、確定した骨子と自分が入れた数字だけです。逆に言えば、根拠の数字をAIに考えさせてはいけません。単価、納期、生産能力、実績件数はすべて自社の事実であり、外から補完できるものではないからです。
部材や加工の見積回答文をさらに細かく詰めたい場合は、静岡・自動車部品サプライヤーの生成AI活用で工程変更の連絡文や不良対策書まで含めて扱っています。
見積・条件変更・値上げのお願い|9月と3月は「価格交渉促進月間」
値上げの文面は「公表資料」から組み立てる
内閣官房と公正取引委員会が公表している「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」は、受注者としての行動として、根拠資料に「最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率などの公表資料を用いること」を挙げています。同指針は、自社のコスト構造を開示すると逆に発注者からコストを査定され原価低減を求められる可能性もある、とも書いています。
使える公表資料として指針が例示しているのは、都道府県別の最低賃金やその上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率、公共工事設計労務単価、標準的な運賃、毎月勤労統計調査、消費者物価指数、ハローワークの求人票です。同指針が示すコスト別の転嫁率(中央値)は原材料価格80.0%、エネルギーコスト50.0%に対して、労務費は30.0%。人件費だけが通りにくいという現場の実感は、数字の上でも裏づけられています。
根拠を集めたうえで、文面づくりをAIに任せます。
例:「取引先へ送る価格改定のお願い文を作ってください。以下の事実だけを根拠として使い、これ以外の理由を追加しないでください。(1)静岡県の最低賃金が◯年◯月に◯円へ改定された (2)当社の主力工程は人手作業が中心である (3)改定希望時期は◯月納品分から (4)改定幅は別紙の見積書に記載。相手を責める表現と、自社の経営が苦しいことを前面に出す表現は避け、継続取引を前提とした依頼文にしてください。300字程度、本文のみ。」
切り出すタイミングにも定石がある
同指針は交渉のタイミングの例も挙げています。発注者の会計年度に合わせて翌年度の予算策定前に持ちかける、定期の価格改定や契約更新に合わせる、最低賃金の引上げ幅の方向性が判明した後にする、公共工事設計労務単価の改訂後にする、といった形です。加えて、発注者から価格を提示されるのを待たず、受注者側からも希望する価格を提示することを求めています。
中小企業庁は毎年3月と9月を「価格交渉促進月間」としています。2025年9月のフォローアップ調査では、価格交渉が不要とした回答を除く中小企業の約9割が「価格交渉が行われた」と回答し、そのうち7割超で労務費についても交渉が行われました。一方、コスト増加分を全額価格転嫁できた割合は27.3%です。月間に合わせて話を持ちかけるのは、相手にとっても不自然ではない切り出し方になります。
2026年1月から「協議に応じない一方的な代金決定」は禁止行為
下請法は2026年(令和8年)1月1日に「中小受託取引適正化法(取適法)」へ改称・改正されて施行されました。用語も変わり、親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者、下請代金は製造委託等代金と呼びます。資本金基準に加えて従業員数基準(製造委託等は300人、役務提供委託等は100人)が追加され、対象取引に特定運送委託が加わりました。
営業として押さえておきたいのは、禁止行為が2つ増えたことです。1つは協議に応じない一方的な代金決定、もう1つは手形払等です。中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり必要な説明を行わなかったりして一方的に代金を決める行為が、明確に禁じられました。違反した場合は勧告・指導のほか50万円以下の罰金の対象になります。買い手の立場で交渉するときも、この線を越えないことが前提になります。
相談先も覚えておいてください。公正取引委員会のフリーダイヤルは0120-060-110(10時〜17時、土日祝・年末年始を除く)で、相談内容が委託事業者に知られることはないとされています。中小企業庁の適正取引支援サイトには、価格転嫁サポート窓口と取引かけこみ寺の案内があります。制度の細部はAIに聞かず、公式サイトで確認してください。
フォローメールと、返信が来ないときの追いかけ方
当日中の1通目は「確認」に徹する
商談当日に送る1通目は、売り込みを足さないのが原則です。決まったこと、こちらの宿題、次回の日程候補。これだけで十分です。前の章で作った分類結果をそのまま渡せます。
例:「以下は本日の商談メモの分類結果です。これをもとにお礼と確認のメールを作ってください。条件:(1)件名は用件がわかる20字前後 (2)本文は300字以内 (3)決まったこと・こちらの宿題・次回日程候補の3点のみ (4)新しい提案や追加の売り込みは書かない (5)メモにない内容は書かない。」
返信が来ないときは、間隔と切り口を変える
催促を重ねるほど返信が減るのは、同じ文面を送り続けているからです。変えるのは次の3つです。
- 間隔:1通目から3営業日、次は1週間、その次は2週間と広げていく
- 切り口:2通目は「宿題の回答」、3通目は「相手の業界の新しい情報」、4通目は「一般的な検討スケジュールの共有」と、送る理由そのものを変える
- 降り方:4通目には「今回は見送りということでしたら、その旨だけご返信いただければ以後のご連絡は控えます」と書き添える
3つ目は嫌がられそうに見えますが、相手にとっては断りやすい出口になります。返信のない案件を抱え続けるより、はっきりさせたほうが次の商談に時間を回せます。切り口を変えた4通分の下書きをまとめて作らせておくと、送るたびに考え込まずに済みます。
送信前に必ず消す3つ
- 相手の会社名・部署名・役職の誤り(AIは補完します。名刺と突き合わせる)
- していない約束(「◯日までに納品可能です」を勝手に書かせない)
- 効果の断定(根拠のない「コスト削減が見込めます」を残さない)
社内向け|日報・週報・案件サマリーと営業会議の資料
日報は「書く」より「拾う」
日報を白紙から書くのをやめ、その日の商談メモの分類結果をまとめて渡し、決まった項目に沿って埋めさせます。項目名は会社ごとに違うので、自社の日報フォーマットの見出しをそのままプロンプトに貼るのがいちばん確実です。フォーマットを渡さずに「日報を書いて」と頼むと、体裁だけ整った読みにくい文章が返ってきます。
週次の案件サマリーは、表の形を先に決める
営業会議で毎回同じ質問が飛ぶなら、その質問がそのまま表の列になります。
例:「以下は今週の商談メモ5件分です。次の列を持つ表に整理してください:会社名の頭文字のみ/商談日/相手の役職/今回決まったこと/こちらの宿題と期限/次回予定/判断に必要なのに不足している情報。メモにない情報は空欄にしてください。受注確度は書かないでください。」
受注確度をAIに書かせないのがポイントです。確度は自分の判断であり、AIが出した数字を載せた瞬間、会議の議題がその数字の妥当性の話にすり替わります。
営業会議の資料は「聞かれること」から逆算する
上司から毎回聞かれる質問を3〜5個リストにして、その回答だけを先に用意します。資料の分量を増やすより、答えられない質問をゼロにするほうが会議は短くなります。見積のあとに続く請求・入金の書類まわりについては、静岡の中小企業の経理・総務・人事の生成AI活用で扱っています。営業と管理部門で同じ言い回しのルールを使うと、社内の運用が揃います。
入れてはいけない情報と、社内ルールの最低ライン

営業は、社外の情報を最も多く持ち歩く部門です。ここのルールが緩いと、他部門をいくら締めても意味がありません。判断に迷わないよう、情報を3つに区分しておきます。
| 区分 | 具体例 | 扱い |
|---|---|---|
| 公開されている情報 | 相手企業の公式サイトの本文、公表済みのプレスリリース、公開カタログ、公的統計 | そのまま入力してよい |
| 社外に出していない情報 | 顧客名、取引単価、図面、名刺の個人情報、未公表の設備投資計画、相手の社内体制 | 入力しない |
| 加工すれば使える情報 | 商談メモ、見積の構成、提案書の骨子 | 社名を頭文字に、金額を伏せ字にしてから入力する |
3行目の「加工してから入力する」を現場に定着させるのが、いちばん難しい部分です。急いでいるとそのまま貼り付けます。対策は、置き換えを個人の心がけに任せず、ツール側の設定と組み合わせることです。会社として契約したサービスのうち、入力内容を学習に使わない設定になっているものだけを使う。個人アカウントの無料版で顧客情報を扱わない。この2つを先に決めてください。
ルールは1枚に収まる分量にします。最低限これだけあれば動きます。
- 使ってよいサービスの名前(会社が契約したものだけ)
- 入力しない情報の一覧(上の表の2行目をそのまま貼る)
- 加工のやり方(社名は頭文字、金額は伏せ字、図面は入れない)
- 出力した文章を社外に出す前に事実確認をする人(多くは本人。ただし価格と納期は上長)
AIに任せない3つ|価格の決定・約束事の判断・関係づくり
1. 価格の決定
いくらで出すか、どこまで下げるか、値上げ幅をいくらにするか。これは自社の原価と戦略から決まる話で、外部のモデルが持っていない情報に依存します。AIに任せてよいのは、決めた価格を「どう説明するか」だけです。前章の価格改定の文面も、改定幅は別紙に譲り、AIの役割を依頼の仕方に限定していました。
2. 約束事の判断
納期、仕様、保証範囲、支払条件。これらを口頭やメールで確定させる判断は人が行います。AIが下書きに「対応可能です」と書いてしまうのは、その文が自然だからであって、実行可能性を検証しているわけではありません。生産計画や在庫状況を知らない状態で納期を書かせるのは特に危険です。
3. 関係づくりそのもの
県内の商談は、同じ担当者と何年も続くことが珍しくありません。工場見学、現場担当者との立ち話、繁忙期を外して訪問する配慮。ここに文章の効率化は関係ありません。むしろ、書く時間を削って捻出した時間をこの部分に回すのが、この記事の目的です。帝国データバンクの調査でも、企業から「人がメインで補助的に活用するのは良いが、依存度が高くなり、人が思考しなくなるのが心配」(情報サービス、中小企業)という声が挙がっています。
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製品を売った後の文書(取扱説明書・修理案内)を営業と一緒に整える考え方は「取扱説明書と修理案内を生成AIで|浜松の楽器産業」で整理しています。
よくある質問
Q1. 商談を録音して自動で議事録にしたいのですが、相手にどう伝えればよいですか
A. 商談の冒頭で「議事録を正確に残したいので録音させていただいてよろしいでしょうか。文字起こしにツールを使いますが、社内の記録にのみ使用します」と伝え、了解を得てから開始します。断られたら録音しません。使うツールが入力内容を学習に使わない設定かどうかは、事前に情報システム担当と確認しておきます。
Q2. 提案書をAIに全部書かせてはいけないのはなぜですか
A. 出来上がった文書は体裁が整っているぶん、間違いに気づきにくいからです。相手の課題が一般論にすり替わっている、自社が提供できない仕様が書かれている、といった問題は読み返しても見落とします。構成案→骨子→本文の3段階に分ければ、間違いが構成案の1行の段階で見つかります。
Q3. 値上げのお願いの文面をAIに作らせて、そのまま送ってよいですか
A. 送る前に、根拠として書かれている事実がすべて自分で確認したものか、改定幅と時期が社内で決裁されたものかを確認してください。労務費の転嫁については、内閣官房と公正取引委員会の指針が、最低賃金の上昇率や春季労使交渉の妥結額などの公表資料を根拠に使うことを勧めています。数字は自分で調べ、AIには文面の組み立てだけを任せる形が安全です。
Q4. 営業3人の会社です。どこから始めればよいですか
A. フォローメールの下書きと商談メモの分類の2つです。毎日発生し、社名を頭文字に置き換えれば機密性の問題も小さく、出来が悪ければ自分で書き直すだけで済みます。ここで手応えを掴んでから提案書に広げてください。逆に、最初から提案書の自動生成を狙うと修正に時間を取られ、「うちには使えない」という結論になりがちです。
Q5. 効果はどう測ればよいですか
A. 「◯%効率化した」という数字を外から借りてこないでください。自社で測るなら、導入前の1か月と導入後の1か月で、(1)1人あたりの月間商談件数 (2)提案書を依頼されてから初稿を出すまでの日数 (3)フォローメールへの返信率 (4)日報・週報にかけている時間の自己申告、の4つを並べます。どれも既存の記録から拾えます。前後で比べられる形にしておくことが、社内で予算を取るときの材料になります。
参考・出典
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2026年9月5日参照)
- 総務省「令和8年版 情報通信白書」(2026年9月5日参照)
- 静岡県「専門家派遣制度」(2026年9月5日参照)
- 静岡県「ふじのくにDX推進計画」(2026年9月5日参照)
まとめ|商談の前後を軽くして、商談そのものに時間を戻す
営業の生成AI活用は、訪問前の下調べ、商談メモ、提案書、見積の説明文、フォローメール、社内報告の6場面に分けて考えると迷いません。始めるのはフォローメールと商談メモから。提案書は構成案→骨子→本文の3段階に割り、根拠の数字は自分で埋めます。値上げや条件変更の交渉では、公表資料を根拠に使い、2026年1月施行の取適法で「協議に応じない一方的な代金決定」が禁止行為になったことを踏まえて、協議の記録を残しながら進めます。そして価格の決定、約束事の判断、関係づくりの3つは人が担い続けます。
しずおかAIでは、県内の中小企業が実際の業務から生成AIを使い始めるための情報を公開しています。運営会社の事業内容もあわせてご覧ください。自社の営業チームでどこから着手すべきか判断がつかない場合は、お問い合わせからご相談いただけます。