SHIZUOKA AI JOURNAL

記事を読む 静岡のAI活用・補助金・研修設計を実務で使う
業務改善

静岡県の就業構造基本調査の早見表|職業別とテレワークの読み方

⏱ 約12分で読めます
静岡県の就業構造基本調査の早見表|職業別とテレワークの読み方

この記事の要点

令和4年就業構造基本調査によると、静岡県の15歳以上人口315万8千人のうち有業者の割合(有業率)は61.9%で、全国第8位でした(静岡県「令和4年就業構造基本調査 静岡県の結果の概要」)。全国の有業率は60.9%です(総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」)。全国を1とした特化係数で見ると、静岡県は製造業が1.61、生産工程従事者が1.49と高く、事務従事者は0.90でした。1年間にテレワークを実施した人は有業者の11.5%で、全国の19.1%を下回ります。この記事では、県と統計局の2つの資料から数字を早見表にまとめ、資料によって構成比が少し違う理由、社内資料に引用するときの手順、職業別の数字を生成AIの使いどころに読み替える方法を整理します。

就業構造基本調査は何を数えた調査か

就業構造基本調査は、就業・不就業の実態をさまざまな観点からとらえ、雇用政策や経済政策などの行政施策を立てる基礎資料を得ることを目的とした調査です。静岡県の資料によると、昭和31年から実施され、昭和57年以降は5年ごとに行われています。令和4年の調査は18回目で、調査時点は令和4年10月1日現在です。

就業構造基本調査が昭和31年から実施、昭和57年以降は5年ごと、令和4年の調査が18回目で令和4年10月1日現在、ふだんの就業状態で数えることを3段の階段で示した図
就業構造基本調査の位置づけ

ふだんの就業状態で数えている

県の資料は、15歳以上人口を「ふだんの就業状態」で有業者と無業者に分けています。ほかの統計は就業の数え方が違う場合があるため、別の統計の数字と並べるときは、調査の名前と時点を必ず書き添えます。

県の資料と統計局の資料の使い分け

県の数字は2つの資料で確かめられます。静岡県デジタル戦略局統計調査課の「静岡県の結果の概要」は、県の有業者を性別・年齢・雇用形態・職業別に詳しく見るときに使います。総務省統計局の「結果の概要」は、全国や他県と同じ物差しで比べるときに使います。この記事の早見表も、表ごとにどちらの資料の値かを書いています。

静岡県の就業構造の早見表

まず、県の資料から全体の数字をまとめます。

15歳以上人口315万8千人を有業者195万5千人と無業者120万3千人に分け、有業者の下に雇用者176万9千人と自営業主16万人を置いた木の図
静岡県の15歳以上人口の内訳(令和4年10月1日現在)
項目 静岡県(令和4年10月1日現在)
15歳以上人口 315万8千人
有業率 61.9%(全国第8位・前回から1.2ポイント上昇)
有業率(男性) 69.7%(前回と同率)
有業率(女性) 54.4%(前回から2.3ポイント上昇)
有業者 195万5千人
無業者 120万3千人
雇用者 176万9千人
自営業主 16万人
家族従業者 2万3千人
正規の職員・従業員の割合(男性雇用者) 71.5%
正規の職員・従業員の割合(女性雇用者) 43.7%

出典:静岡県「令和4年就業構造基本調査 静岡県の結果の概要」

女性と60歳以上で有業率が上がった

有業者は前回(平成29年)から9千4百人増えました。男性は1万4千人減り、女性は2万3千人増えています。年齢別では、女性の30〜34歳で8.3ポイント、35〜39歳で6.7ポイント、60歳以上で0.8〜6.8ポイント有業率が上がりました。男性も60歳以上で0.8〜6.3ポイント上がっています。働き手の増加分は、女性と60歳以上が支えていることになります。

全国の値と並べる

統計局の資料では、全国の有業率は60.9%で、5年前から1.2ポイント上がりました。静岡県の61.9%は全国を1.0ポイント上回ります。同じ表で隣の愛知県は62.8%(第3位)でした。

産業と職業で見る静岡県

静岡県の働き手の特徴は、産業と職業の構成に出ます。全国と比べるときは、統計局の資料にある特化係数が便利です。特化係数は、全国平均の構成比を1として「その県の構成比÷全国の構成比」で計算した値で、1より大きければ全国よりその産業や職業の割合が高いことを表します。

全国を1とした特化係数の基準線の上に製造業1.61と生産工程従事者1.49、線の下に事務従事者0.90と専門的・技術的職業従事者0.83を置いた図
全国を1とした特化係数で見る静岡県

産業別の早見表

産業 静岡県の有業者数 静岡県の構成比 全国の構成比 特化係数
製造業 49.5万人 25.9% 16.1% 1.61
卸売業,小売業 27.2万人 14.2% 14.9% 0.95
医療,福祉 23.0万人 12.0% 13.8% 0.87

出典:総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」表3-2

製造業の特化係数は、滋賀県の1.71に次いで静岡県が高い値です。製造業の重みは出荷額の統計にも表れており、県の統計では2022年実績の製造品出荷額等は19兆291億円で全国3位でした(静岡県統計「製造品出荷額等」)。品目では、ピアノの出荷が令和6年に29,656台・212億2,200万円で全国の100%を占め(静岡県「Myしずおか日本一」ピアノ)、医療機器の生産金額も令和5年に3,116億円で全国1位です(静岡県「Myしずおか日本一」医療機器)。県の資料では、前回と比べて「医療,福祉」が2万4百人、「公務」が9千7百人、「建設業」が9千6百人増え、「宿泊業,飲食サービス業」が1万3千3百人、「卸売業,小売業」が8千5百人減りました。

職業別の早見表

職業 静岡県の有業者数 静岡県の構成比 全国の構成比 特化係数
専門的・技術的職業従事者 31.6万人 16.5% 19.8% 0.83
事務従事者 38.3万人 20.0% 22.3% 0.90
生産工程従事者 36.5万人 19.1% 12.8% 1.49

出典:総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」表3-4

県の資料と構成比が少し違う理由

県の資料では、製造業の有業者は49万5千人で構成比25.3%、事務従事者は19.6%と書かれています。統計局の表の25.9%や20.0%とは少しずれます。県の資料の職業別の表で計算すると、事務従事者382,900人を、有業者1,954,800人から「分類不能の職業」40,500人を引いた人数で割ると20.0%になり、統計局の値と一致します。構成比の分母に分類不能を含めるかどうかの違いです。社内資料に書くときは、どちらの資料の値かを明記し、2つの資料の値を同じ表に混ぜないようにします。

職業別の数字を生成AIの使いどころに読み替える

県の資料の職業別の表(表4)は、生成AIをどの仕事から使い始めるかを考える材料になります。人数の多い職業ほど、同じ種類の書類や連絡が社内に多くあるからです。行政側でも、静岡市が「デジタル化推進プラン」を2026年3月に改定し(静岡市「デジタル化推進プラン」)、浜松市は「デジタル・スマートシティ構想」のDX計画でAI利用の推進を掲げています(浜松市 DX計画)。民間の事務の仕事も同じ流れの中にあります。

事務従事者は書く仕事、生産工程従事者は手順書、専門的・技術的職業従事者は報告書から生成AIを使い始めることを、左の職業から右の仕事へ矢印でつないだ図
職業ごとの生成AIの使い始め
職業 有業者数 割合 うち女性の割合
事務従事者 382,900人 19.6% 60.0%
生産工程従事者 365,400人 18.7% 29.1%
専門的・技術的職業従事者 315,600人 16.1% 50.9%
サービス職業従事者 213,100人 10.9% 69.9%
販売従事者 201,800人 10.3% 47.9%
運搬・清掃・包装等従事者 163,200人 8.3% 51.5%

出典:静岡県「令和4年就業構造基本調査 静岡県の結果の概要」表4

事務従事者は書く仕事から

県内で最も多い職業は事務従事者で、有業者の19.6%を占めます。見積書の送付文、議事録、社内通知、問い合わせへの返信など、事務の仕事には書く仕事が多く含まれます。生成AIの効果が出やすいのは、この下書きの部分です。部門ごとの使い方は経理・総務・人事の生成AI活用8業務で整理しています。

生産工程従事者は手順書から

生産工程従事者は18.7%で、特化係数は1.49と全国より高い職業です。現場の作業そのものではなく、作業手順書、品質記録の書式、工程変更の連絡文といった、現場のまわりの書類が生成AIの担当範囲になります。富士市のようにパルプ・紙関連が市の出荷額の約3割を占める地域もあり(富士市「紙のまち」)、業種ごとに書類の種類は違いますが、手順書と記録から始める考え方は同じです。自動車・二輪の部品メーカーでの具体例は静岡の自動車・二輪部品×生成AIで扱っています。

専門的・技術的職業従事者は報告書から

専門的・技術的職業従事者は16.1%で、うち女性の割合が50.9%です。技術者や医療・福祉の専門職などが含まれ、報告書や記録、説明資料の作成に時間がかかります。個人情報や患者・利用者の情報を入力しない前提で、文章の構成や言い回しを整える用途から始めます。

テレワークの数字の読み方

県の資料によると、1年間にテレワークを「実施した」人は22万3千人で、有業者に占める割合は11.5%でした。

区分 テレワークを実施した人の割合
静岡県 全体 11.5%
静岡県 男性 14.7%
静岡県 女性 7.6%
静岡県 35〜44歳 15.6%
静岡県 25〜34歳 14.4%
全国 19.1%
愛知県 18.3%
東京都 40.2%

出典:静岡県の値は静岡県「静岡県の結果の概要」、全国・愛知県・東京都は総務省統計局「結果の概要」

職業の構成とあわせて読む

統計局の資料では、全国でテレワークを実施した人の割合は、職業別に「専門的・技術的職業従事者」が32.2%、「事務従事者」が31.4%、「管理的職業従事者」が29.9%と高くなっています。一方、全国の生産工程従事者でテレワークを実施した人は8.4%でした。静岡県は、前の2つの職業の特化係数が0.83と0.90で全国より割合が低く、生産工程従事者の特化係数が1.49と高い県です。静岡県のテレワークの割合が全国より低いことは、職業の構成の違いと合わせて読むのが自然です(ここは2つの表を並べたこの記事の見立てで、調査がこの理由を示しているわけではありません)。

自社の数字と比べるときの注意

県の資料の割合は、テレワークの実施の有無が不詳の人を除いて計算しています。自社の「テレワーク実施率」と比べるときは、分母(全社員か、テレワークの対象になる職種だけか)をそろえてから並べます。

働き方の希望の数字

県の資料には、有業者が今後どう働きたいかの割合も載っています。

就業希望意識 割合 前回からの変化
継続就業希望者 78.0% 2.3ポイント低下
転職希望者 9.4% 0.4ポイント低下
追加就業希望者 6.9% 1.6ポイント上昇
就業休止希望者 4.7% 0.9ポイント上昇

追加で働きたい人が増えている

今の仕事を続けながら別の仕事もしたい「追加就業希望者」は6.9%で、前回から1.6ポイント上がりました。統計局の資料では、非農林業従事者に占める追加就業希望者の割合は静岡県が7.0%(13.0万人)、全国が7.8%です。県の資料の6.9%は有業者全体に占める割合なので、分母が違う点に注意します。

週35〜42時間で働く人が増えた

年間就業日数が200日以上の有業者のうち、週間就業時間が「35〜42時間」の人は48.9%で最も多く、前回と比べて男性は18.2ポイント、女性は14.5ポイント上がりました。採用や人員計画で「週何時間働ける人を何人確保するか」を考えるときの、県全体の目安になります。

社内資料に引用するときの手順と生成AIの分担

就業構造基本調査の数字は、採用計画、事業計画、補助金の申請書などの背景説明によく使われます。引用の書き方をそろえておくと、生成AIで下書きを作るときも、あとで確認するときも楽になります。

引用は4項目を1行に書くとして、資料名、調査時点、分母、値を左から右へ並べ、最後に元の資料のPDFと照合する段を置いた図
統計の数字を引用するときの4項目

引用は4項目を1行に書く

数字を1つ引くたびに、「資料名」「調査時点」「分母」「値」の4項目を1行で残します。たとえば「静岡県『令和4年就業構造基本調査 静岡県の結果の概要』・令和4年10月1日現在・有業者に占める割合・テレワーク実施11.5%」という形です。分母を書いておくと、県の資料と統計局の資料の値を取り違えません。

生成AIに渡す指示の例

次の表は、静岡県の令和4年就業構造基本調査の数字です。
社内の採用計画の資料に入れる「県の働き手の状況」の段落を、
300字程度で下書きしてください。

条件:
・表にない数字は書かない
・数字を書くたびに、表の資料名と分母を括弧で添える
・数字から言えないこと(原因や将来の予測)は書かない
・最後に、表の数字と照合してほしい箇所を箇条書きで示す

【表】
(ここに、この記事の早見表から使う行だけを貼る)

下書きを確かめる

生成AIは、表にない数字を補ったり、県と全国の値を取り違えたりすることがあります。下書きの数字は1つずつ元の資料のPDFと照合し、分母が違う値を同じ文の中で比べていないかを確かめます。全国順位の数字を資料に使うときの注意は静岡県の全国順位を資料に使うでもまとめています。

静岡県内で統計を調べる先

就業構造基本調査の静岡県の結果は、静岡県デジタル戦略局統計調査課が「静岡県の結果の概要」としてまとめ、県の統計のサイトで公開しています。全国・都道府県の表は総務省統計局の調査のページから確かめられます。人口の数字も同じく資料によって基準が違い、令和7年国勢調査の速報では3,468,845人(全国10位)、住民基本台帳では2026年1月1日時点で354万4,228人です(総務省統計局「令和7年国勢調査 速報」・日本経済新聞)。どちらのベースかを併記します。

県内の求人や求職の動きは、就業構造基本調査より新しい月次の数字が静岡労働局から出ています。採用計画では、5年ごとの就業構造基本調査で働き手の構造をつかみ、月次の有効求人倍率で足元の動きを見る、という使い分けにします。人件費の前提では、静岡県の最低賃金が2026年10月15日に1,154円へ上がる点も同じ計画に入れておきます(静岡労働局「最低賃金」・詳しくは静岡県の最低賃金1,154円ガイド)。有効求人倍率の読み方は静岡の有効求人倍率の読み方、人口の数字は国勢調査2025の静岡県の数字で扱っています。

まとめ

  • 令和4年就業構造基本調査で、静岡県の有業率は61.9%(全国第8位)。全国は60.9%
  • 特化係数は製造業1.61、生産工程従事者1.49と全国より高く、事務従事者は0.90
  • 県の資料と統計局の資料は構成比の分母が違うため、値が少しずれる。引用するときは資料名を明記し、混ぜない
  • テレワークの実施は有業者の11.5%で、全国の19.1%より低い。職業の構成とあわせて読む
  • 生成AIは、最も人数の多い事務従事者の書く仕事から使い始め、数字の下書きは必ず元の資料と照合する

よくある質問

Q. 最新の就業構造基本調査はいつの調査ですか。

A. 令和4年10月1日現在で行われた令和4年就業構造基本調査です。昭和57年以降は5年ごとに行われており、令和4年の調査は18回目です。静岡県の結果の概要は、静岡県デジタル戦略局統計調査課がまとめています。

Q. 県の資料と統計局の資料で構成比が違うのはなぜですか。

A. 構成比の分母が違うためです。職業別では、県の資料は分類不能の職業を含む有業者全体を分母にしており、統計局の表の値は分類不能を除いた人数で割った値と一致します。社内資料では、どちらの資料の値かを明記してください。

Q. 静岡県のテレワークの割合はなぜ全国より低いのですか。

A. 調査は理由を示していません。全国でテレワークの実施率が高い専門的・技術的職業従事者と事務従事者の割合が静岡県は全国より低く、生産工程従事者の割合が高いことから、職業の構成の違いが関係していると読むのが自然です。

Q. 統計の要約を生成AIに任せてもよいですか。

A. 下書きには使えますが、表にない数字を書かない、数字ごとに資料名と分母を添える、といった条件を指示に入れます。下書きの数字は、必ず元の資料のPDFと1つずつ照合してください。

あわせて読みたい

運営元 Uravation より自社に近い業務から着手先を選ぶ材料として、業務別の生成AI活用事例50例を無料で公開しています。 生成AI活用事例 業務別50選を受け取る(無料)

参考・出典