この記事の要点
令和7年国勢調査の「人口等基本集計」が、2026年9月29日に公表されます。年齢別の人口、世帯、住居、高齢者世帯などが市町別に出る回で、社内資料の数字を入れ替える節目になります。先に公表されている速報集計では、静岡県の人口は2020年の3,633,202人から2025年の3,468,845人へ、5年間で164,357人(4.5%)減りました。減少数は北海道に次いで全国で2番目です。静岡市は5年間で4.9%減り、21大都市のなかで減少率がいちばん高くなりました。公表日までに差し替える箇所を洗い出しておくと、当日の作業は短く済みます。
9月29日に「人口等基本集計」が公表される
国勢調査の結果は一度に全部が出るわけではなく、集計の種類ごとに順番に公表されます。総務省統計局の令和7年国勢調査 調査の結果のページに、集計区分と公表時期の一覧が載っています。

速報集計と基本集計は中身が違う
すでに出ているのは「人口速報集計」で、公表は令和8年5月29日でした。内容は男女別人口と世帯数の早期提供に限られます。人口の総数と市町別の増減は分かりますが、年齢構成や世帯の中身は入っていません。
9月29日に出る「人口等基本集計」は、人口、世帯、住居に関する結果に加えて、外国人、高齢者世帯、母子・父子世帯、親子の同居などに関する結果が含まれます。年齢別の人口が確定するのはこの回です。
その先の予定も公表されています。労働力状態や産業・職業大分類別の構成が分かる「就業状態等基本集計」は令和9年3月まで、従業地・通学地による集計は令和9年5月まで、産業・職業小分類の詳細が出る「抽出詳細集計」は令和9年11月までとされています。転出入の状況をまとめた「移動人口の男女・年齢等集計」は令和8年12月までの予定です。
順番を知っていると待ち方が変わる
「うちの業界の就業者数が知りたい」という質問が社内から出たとき、9月29日の公表を待っても答えは出ません。産業別の就業者数は令和9年3月までの回になるからです。逆に「高齢者だけの世帯が市内にどれだけあるか」は9月29日で分かります。
どの数字がいつ出るかを一度確認しておくと、「まだ出ていないものを探し続ける」時間がなくなります。集計区分と公表時期の対応は、上のページを開けば一覧で確認できます。
県の「静岡県の概要」は国より後に出る
静岡県は、国の公表を受けて県版の概要資料を作っています。統計センターしずおか/国勢調査のページを見ると、令和2年国勢調査では、人口等基本集計結果の「静岡県の概要」が2022年1月20日、就業状態等基本集計の概要が2022年7月28日に公表されています。
つまり、国の公表日と県版の公表日には間があります。急ぎで県内の数字が要るときは国の統計表を直接見て、読みやすい形が欲しいときに県版を待つ、という使い分けになります。
速報値でわかっている静岡県の姿
9月29日を待たずに使える数字は、すでに速報集計の結果の概要(PDF)に出ています。

5年で16万4千人減り、減少数は全国で2番目
静岡県の人口は、2015年が3,700,305人、2020年が3,633,202人、2025年が3,468,845人です。2020年から2025年の減少は164,357人、率にすると4.5%でした。全国順位は2020年、2025年ともに10位で変わっていません。
注目したいのは減り方の変化です。2015年から2020年の減少率は1.8%でしたが、2020年から2025年は4.5%へと2.7ポイント拡大しています。減少幅が拡大した39道府県のなかでも、島根県(2.9ポイント)に次ぐ大きさです。
人口減少数そのもので見ると、北海道の23万9千人に次いで静岡県の16万4千人が全国2番目です。「順位は10位のまま」という事実と「減少数は全国2番目」という事実は両立します。資料に載せるときは、どちらの見方をしているのかを書き添えてください。
静岡市と浜松市で減り方が違う
県内の二つの政令指定都市でも、数字は同じではありません。
浜松市は790,718人から765,750人へ、24,968人(3.2%)の減少です。静岡市は693,389人から659,620人へ、33,769人(4.9%)の減少でした。この4.9%は、21大都市のなかでもっとも高い減少率です。減少数で見ても、静岡市の3万4千人は全国の市区町村で北九州市の3万5千人に次ぐ2番目でした。
県全体の4.5%という数字だけを資料に載せると、この差は見えません。静岡市に本社がある会社と浜松市に本社がある会社では、商圏の縮み方も採用の難しさも違います。県の数字と自社が実際に事業をしている市町の数字を、両方並べるのが実務的です。
なお、2020年の人口は2025年の境域に組み替えたうえで増減が計算されています。市町村合併があった地域で自分で引き算をすると、公表値と一致しないことがあります。
住民基本台帳の人口と取り違えない
静岡県内の企業の資料でよく起きるのが、国勢調査の人口と住民基本台帳の人口を混ぜてしまう間違いです。

数え方が違う
国勢調査は、調査時点で日本に住んでいるすべての人と世帯を対象にした調査です。住民票の登録地ではなく、実際に住んでいる場所で数えます。住民基本台帳は、住民票の登録にもとづく数です。
そのため、同じ市町でも二つの数字はずれます。統計センターしずおかも、よくある質問に「住民基本台帳の人口と国勢調査の人口が異なっているのはなぜですか」という項目を置いています。
資料に書くときの一行
資料のなかで混ぜないための方法は単純で、数字のそばに調査名と時点を必ず書くことです。「3,468,845人(令和7年国勢調査人口速報集計・2025年10月1日現在)」のように、出どころと基準日をセットにします。
前年の資料を流用するときは、ここが差し替え漏れの起きる場所です。数字だけ新しくして調査名が古いまま、という資料は社外に出したあとで直せません。
生成AIに渡してよいもの、渡さないもの
統計を使った資料づくりは、生成AIと相性のよい作業です。ただし渡してよいものには線があります。

渡してよいのは公表済みのファイル
総務省統計局や静岡県が公開しているPDFやExcelは、すでに公表された資料です。これを読ませて「静岡県と静岡市と浜松市の人口と増減を表にして」「この表から社内向けに300字で説明文を書いて」と頼む使い方は、無理がありません。
指示のときは、範囲を狭く切るほど精度が上がります。
添付したPDFの表Ⅲ-1だけを見てください。 静岡市と浜松市の2020年・2025年の人口、増減数、増減率を 表にしてください。 ・PDFに書かれていない数字は書かないでください。 ・読み取れない箇所は「読み取れない」と書いてください。 ・順位や全国平均は、PDFに載っている場合だけ入れてください。
渡さないほうがよいもの
一方で、自社の顧客名簿、取引先ごとの売上、未公表の出店計画や採用計画は、統計の資料づくりに必要ありません。人口データと自社データを突き合わせたい場合も、自社側は「県内の拠点数」「今年度の採用予定人数」のように、個人が特定されない粒度に丸めてから渡します。
社内でどこまで許すかを紙一枚で決める形は、静岡の中小企業の生成AI利用ルールにまとめてあります。
数字の読み上げは人が確認する
生成AIはPDFの表を読み違えることがあります。特に、順位の列と実数の列が隣り合っている表、マイナス記号が離れて配置されている表では取り違えが起きます。
出てきた表は、元のPDFを開いて1行ずつ突き合わせてください。この確認を省くと、出典付きの間違った数字という、いちばん直しにくい資料ができあがります。
公表日までに準備しておくこと
9月29日に公表されてから慌てないために、先にやっておける作業があります。
去年の資料から差し替える箇所を洗い出す
会社案内、採用パンフレット、営業用の提案書、補助金の申請書に添える現状分析。人口の数字が載っている資料を集めて、該当する行に印を付けます。ファイル名と該当ページを一覧にしておけば、公表当日は数字を入れ替えるだけになります。
この洗い出しは生成AIに手伝わせられます。社外に出していない資料を渡す場合は、前節の線引きに従って、数字と出典の部分だけを抜き出して渡してください。
比較の基準年をそろえる
資料のなかで「5年前と比べて」と書くのか「10年前と比べて」と書くのかを、先に決めておきます。国勢調査は5年ごとなので、2015年・2020年・2025年の3時点がそろいます。社内の資料で基準年がばらばらだと、後から見た人が読み違えます。
出典の書き方を決めておく
機関名、資料名、公表時期の3点を書く形を決めて、社内で共有しておきます。「総務省統計局『令和7年国勢調査 人口等基本集計』(2026年9月29日公表)」のような形です。県の全国順位を資料に使うときの考え方は、静岡県の全国順位を資料に使うで詳しく扱っています。
公表後に自社の資料へ落とす手順
公表日以降の作業は、3段階に分けると迷いません。

1段階目は数字の入れ替えだけ
まず、印を付けておいた箇所の数字と出典を入れ替えます。ここで文章まで直そうとすると終わりません。数字と出典だけを確実に新しくして、いったん保存します。
2段階目は文章の見直し
次に、数字が変わったことで意味が通らなくなった文章を直します。「人口は微減傾向にあり」と書いていた箇所が、4.5%の減少と並ぶと弱く見える、といったずれが出ます。ここは生成AIに「この段落を、新しい数字と矛盾しない表現に書き直してください」と頼めます。
3段階目は打ち手の見直し
最後に、数字が示していることを自社の判断につなげます。商圏人口が減っているなら、1人あたりの単価をどうするか。働き手が減っているなら、どの仕事を減らすか。労働市場の側の数字は静岡の有効求人倍率の読み方にまとめてあるので、人口と求人の両方を見て判断してください。
この3段階目だけは、生成AIに答えを出させないでください。統計は現状を示すだけで、どう動くかは自社の事情で決まります。
まとめ
令和7年国勢調査の人口等基本集計は、2026年9月29日に公表されます。年齢別の人口や高齢者世帯が市町別に分かる回で、その先の就業状態や産業別の結果は令和9年まで順番に出ます。
速報段階でも、静岡県が5年間に164,357人(4.5%)減り、減少数が全国で2番目だったこと、静岡市の減少率4.9%が21大都市でもっとも高かったことは確定しています。県の数字と自社が事業をしている市町の数字を並べ、調査名と基準日を必ず添える。公表日までに差し替え箇所を洗い出しておけば、当日は数字の入れ替えから始められます。
よくある質問
Q. 令和7年国勢調査の結果は、もう全部出ているのですか。
いいえ。2026年5月29日に公表された人口速報集計は、男女別人口と世帯数だけです。人口、世帯、住居、高齢者世帯などを含む人口等基本集計は2026年9月29日、労働力状態や産業・職業別の構成を含む就業状態等基本集計は令和9年3月までの公表予定です。
Q. 静岡県の人口は全国で何位ですか。
人口速報集計では、2020年・2025年ともに10位です。順位は変わっていませんが、2020年から2025年の減少数164,357人は北海道に次いで全国で2番目の大きさです。順位と減少幅は別の話なので、資料ではどちらを述べているか明確にしてください。
Q. 市町ごとの詳しい数字はどこで見られますか。
総務省統計局の令和7年国勢調査のページから、集計区分ごとに統計表をたどれます。表はe-Statに掲載されています。読みやすくまとめた県版の概要は、統計センターしずおかのページで、国の公表より後に順次公開されます。
Q. 住民基本台帳の人口を使ってはいけませんか。
使って構いません。数え方が違うだけで、どちらも公的な数字です。問題になるのは、一つの資料のなかで両方を出典を書かずに混ぜることです。調査名と基準日をそのつど書けば、併記しても読み手は混乱しません。
Q. 生成AIに「静岡県の人口を教えて」と聞けばよいのではないですか。
聞くこと自体は構いませんが、出てきた数字をそのまま資料に載せないでください。生成AIは学習時点の古い数字や、他県の数字を混ぜて答えることがあります。公表されたPDFやExcelを渡して読ませ、元の資料と突き合わせて確認する手順を挟んでください。
Q. 公表日にすぐ資料を直す必要がありますか。
急ぐ必要はありません。ただし、社外に出す資料に古い数字が載ったままになるのは避けたいので、差し替え箇所の一覧だけは先に作っておくことをおすすめします。実際の差し替えは、次に資料を使う予定に合わせれば足ります。
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参考・出典
- 総務省統計局「令和7年国勢調査 調査の結果」(集計区分と公表時期の一覧。人口速報集計は令和8年5月29日公表、人口等基本集計は令和8年9月29日公表予定)
- 総務省統計局「令和7年国勢調査 人口速報集計 結果の概要(PDF)」(都道府県別人口・21大都市の人口及び人口増減)
- 総務省統計局「令和7年国勢調査 トップページ」(調査の概要・利用上の注意)
- 静岡県統計センターしずおか「国勢調査」(県版概要の公表実績・住民基本台帳人口との違いに関するよくある質問)