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静岡県の観光交流客数の読み方|宿泊客数との違いと早見表

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静岡県の観光交流客数の読み方|宿泊客数との違いと早見表

この記事の要点

  • 静岡県が公表した令和6年度の観光交流客数は1億4,034万人(前年度比100.5%)です。このうち宿泊客数が1,950万人、観光レクリエーション客数が1億2,084万人という内訳になります。
  • 観光交流客数は「宿泊客数+観光レクリエーション客数」で、どちらも延べ人数です。実際に静岡へ来た人の頭数ではありません。ここを取り違えると、資料の数字が一桁ずれた印象になります。
  • 県の「宿泊客数1,950万人」と、観光庁の宿泊旅行統計調査の「静岡県の延べ宿泊者数2,223万人泊」は別の調査の別の数字です。どちらが正しいかではなく、どちらを使うかを先に決めます。
  • 宿泊客数の53.8%は伊豆地域に集中しています。県平均の伸びをそのまま自社の商圏に当てはめると外れます。
  • 生成AIは「どの数字を使うか」の判断には向きません。使う数字を人が決めたあと、説明文や社内資料に整える作業なら任せられます。

静岡県の観光交流客数の早見表(令和6年度)

まず県全体の数字を押さえます。以下は静岡県スポーツ・文化観光部観光政策課が公表した令和6年度(令和6年4月1日〜令和7年3月31日)の値です(静岡県「静岡県における観光交流の動向」令和6年度(2025年10月31日更新))。

観光交流客数と宿泊客数・観光レクリエーション客数を並べた表型の図
令和6年度の観光交流客数と、その内訳になる宿泊客数・観光レクリエーション客数

3つの数字の関係

項目 令和6年度 令和5年度 前年度比
観光交流客数 1億4,034万人 1億3,960万人 100.5%
宿泊客数 1,950万人 1,867万人 104.4%
観光レクリエーション客数 1億2,084万人 1億2,093万人 99.9%

観光交流客数は、宿泊客数と観光レクリエーション客数を足したものです。つまり「観光交流客数=宿泊客数+観光レクリエーション客数」であり、この3つを並列の指標として資料に並べると二重計上になります。

伸びの中身も分けて読みます。全体が100.5%とほぼ横ばいに見えるのは、宿泊客数が104.4%で83万人増えた一方、観光レクリエーション客数が99.9%で9万5千人減ったためです。「静岡の観光は横ばい」と一行で書くと、泊まる人が増えている事実が消えます。

観光レクリエーション客数は3分類で動きが違う

観光レクリエーション客数は「学ぶ(見る・体験する)」「遊ぶ(楽しむ・リフレッシュする)」「触れ合う(交流する)」の3分類で集計されています。

分類 令和6年度 前年度比
学ぶ(見る・体験する) 3,999万人 102.2%
遊ぶ(楽しむ・リフレッシュする) 5,882万人 99.9%
触れ合う(交流する) 2,203万人 96.1%

減っているのは「触れ合う」、つまり行祭事・イベント系です。大河ドラマ館の終了など、単年のイベントが抜けた影響が出やすい分類なので、ここを長期トレンドとして語らないようにします。

「延べ人数」であることを必ず書く

調査要領では、観光交流客数は「県内の各地域を訪れた人の延べ人数」と定義されています。宿泊客数は延べ泊数、観光レクリエーション客数は施設・行祭事への入場者や参加者の数です。

したがって、1人が2泊して施設を3か所まわれば、その人は複数回カウントされます。県人口や来訪者の実人数と並べて比較できる数字ではありません。資料に書くときは「延べ」の一文字を落とさないでください。

なお調査対象は、年間の入込客数が1千人以上の観光施設・行祭事などで、令和6年度の対象は合計1,296地点・イベントです。小さな店舗や個人の施設は入っていません。

地域別の早見表|伊豆・富士・駿河・西駿河奥大井・中東遠・西北遠

静岡県の観光統計は6つの地域区分で集計されます。静岡市と浜松市が別の地域に分かれる点は、県内の商圏を語るうえで重要です。

中央の県全体から6つの地域へ分かれる構成比の図
観光交流客数の地域別の内訳と構成比

観光交流客数の地域別内訳

地域 主な市町 令和6年度 構成比 前年度比
伊豆 沼津・熱海・三島・伊東・下田ほか 3,967万人 28.3% 100.9%
富士 富士宮・富士・御殿場・裾野ほか 3,276万人 23.3% 103.9%
駿河 静岡市 2,319万人 16.5% 98.5%
西駿河・奥大井 島田・焼津・藤枝・牧之原ほか 1,056万人 7.5% 104.4%
中東遠 磐田・掛川・袋井・御前崎ほか 1,662万人 11.8% 99.3%
西北遠 浜松・湖西 1,730万人 12.3% 95.5%

伊豆地域は7市7町、富士地域は4市2町、駿河地域は静岡市の1市だけです。地域の広さも市町の数も違うので、構成比をそのまま「人気の差」と読まないようにします。

県全体が100.5%でも、駿河地域は98.5%、西北遠地域は95.5%と前年度を下回っています。この2地域はいずれも令和5年度に大河ドラマ館があった地域です。前年に単発の集客施設があった地域は翌年に反動が出る、という当たり前の動きが数字に出ています。

宿泊客数は伊豆に53.8%が集中する

宿泊だけを取り出すと、地域の偏りは一段と大きくなります。

地域 令和6年度の宿泊客数 構成比 前年度比
伊豆 1,050万人 53.8% 102.5%
富士 277万人 14.2% 114.3%
駿河 213万人 10.9% 105.4%
西駿河・奥大井 94万人 4.8% 102.3%
中東遠 105万人 5.4% 100.5%
西北遠 212万人 10.9% 104.7%

令和6年度は全地域で宿泊客数が前年度を上回りました。伸び率が最も高いのは富士地域の114.3%です。一方、県全体の半分以上の宿泊は伊豆地域で発生しています。

自社が浜松の事業者なら、西北遠地域の212万人・前年度比104.7%が実感に近い数字です。県全体の1,950万人を持ち出すと、話が大きすぎて社内の判断材料になりません。宿泊・観光事業での生成AIの使いどころは静岡の旅館・ホテル向け生成AI活用|裏方7業務の手順で業務別に整理しています。

県の「宿泊客数」と観光庁の「延べ宿泊者数」は別物

提案書のレビューでいちばん多い事故が、この2つの取り違えです。どちらも「静岡県に泊まった人の数」に見えますが、中身が違います。

県の宿泊客数と観光庁の延べ宿泊者数を左右に分けて比べた図
静岡県の調査と観光庁の調査で、期間も数字も違うこと

対象期間が違う

県の観光交流の動向は年度(4月〜翌年3月)で集計します。観光庁の宿泊旅行統計調査は暦年(1月〜12月)で年間値を出します。並べて前年比を語ると、期間が半年ずれた比較になります。

調査の仕組みが違う

県の数字は各市町からの報告と県の一括調査を積み上げたものです。観光庁の宿泊旅行統計調査は全国共通の設計による標本調査で、従業者数の規模によって全数調査と抽出調査が分かれています。積み上げと標本推計では、そもそも出てくる数が一致しません。

観光庁が2026年2月27日に公表した2025年の年間値(速報値)では、静岡県の延べ宿泊者数は2,223万9,500人泊、前年比マイナス3.3%でした。全国は6億5,347万6,960人泊で前年比マイナス0.8%です(観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年・年間値(速報値))」(2026年2月27日))。

県の令和6年度の宿泊客数1,950万人と、観光庁の2025年2,223万人泊。この2つは矛盾ではなく、別の物差しの目盛りです。

どちらを資料に使うか

判断の目安はこうなります。

  • 県内の地域別(伊豆・富士・駿河など)や市町別の話をするなら、県の観光交流の動向を使います。観光庁の統計に市町別はありません。
  • 他県と横に並べるなら、観光庁の宿泊旅行統計調査を使います。全国共通の設計なので、静岡と愛知と神奈川を同じ条件で比べられます。
  • 客室稼働率を語るなら観光庁です。2025年の静岡県の客室稼働率は55.8%で全国23位、前年差はプラス1.2ポイントでした。全国平均は61.8%です。

同じ資料の中で2つを混ぜないこと、使ったほうの調査名と期間を数字の横に書くこと。この2点を守れば事故は起きません。

月別の宿泊客数|繁忙期と閑散期の早見表

年間の合計だけでは、人員配置や設備投資の話につながりません。県の資料には月別の内訳が載っています。

月別の宿泊客数を多い順に段で並べた図
令和6年度の月別宿泊客数の山と谷

月別の宿泊客数(令和6年度)

月 令和6年度の宿泊客数 前年度比
4月 150万人 111.8%
5月 155万人 105.6%
6月 133万人 106.7%
7月 170万人 105.4%
8月 218万人 99.6%
9月 148万人 99.0%
10月 159万人 106.4%
11月 169万人 104.6%
12月 164万人 105.6%
1月 148万人 107.8%
2月 151万人 102.1%
3月 183万人 102.6%

山は8月の218万人、谷は6月の133万人です。8月と9月だけが前年度を下回っており、県の資料では猛暑と南海トラフ地震臨時情報の発令による外出控えが挙げられています。

宿泊以外の事業でも同じ表が使える

この表は宿泊業以外にも使えます。土産物の製造、食品加工、清掃やリネンの受託、観光地の小売など、宿泊の波に連動する事業なら、自社の受注データと重ねると季節の谷がどこにあるかが見えます。閑散期がわかれば、設備の点検、棚卸し、研修、そして年次有給休暇の計画的付与をどの月に寄せるかという話に進めます。

県内旅行消費額の読み方|単価×実人数

観光の経済効果を語るときに使うのが県内旅行消費額です。令和6年度は8,359億円で、前年度の7,890億円を約469億円上回りました。

費目 令和6年度の消費額
土産品・買い物代 2,481億円
交通費 2,016億円
宿泊費 1,991億円
飲食費 1,408億円
入場料・施設利用料 371億円
その他 91億円
単価と実人数を掛けて消費額になる流れを左から右に並べた図
消費単価と実人数から県内旅行消費額が計算される流れ

費目別では土産品・買い物代が最大

最も大きいのは土産品・買い物代です。宿泊費より買い物のほうが大きいという構造は、菓子・水産加工品・茶などの土産物を扱う事業者にとって根拠になる数字です。

分母は延べ人数ではなく実人数

ここで必ず押さえるべき注意点があります。消費額は「県内旅行消費単価に旅行客数(実人数)を乗じて推計した」ものです。つまり分母は延べ人数ではなく実人数です。前の章の1億4,034万人に単価を掛けても、この8,359億円にはなりません。

客層で単価が10倍違う

単価のほうも見ておきます。全体の県内旅行消費単価は22,332円で、前年度の22,529円から197円減りました。内訳は下のとおりです。

区分 令和6年度の単価
日帰り客・県内客 4,224円
日帰り客・県外客 12,576円
宿泊客・県内客 28,656円
宿泊客・県外客 40,992円

県外の宿泊客と県内の日帰り客では単価が約10倍違います。「客数を増やす」と「単価の高い客を増やす」は別の打ち手であり、この表はその会話の出発点になります。なお単価は「令和6年度 静岡県における観光の流動実態と満足度調査」という別調査から取られているので、出典を書くときは調査名を分けてください。

更新のタイミング|次の公表は10月末ごろ

令和6年度版は2025年10月31日に県のページへ掲載されました。同じ周期なら、令和7年度(2025年4月〜2026年3月)の数字は2026年10月末ごろに公表される見込みです。

更新の前後にやること

ここから逆算して、資料の運用をこう決めておくと楽になります。

  • 10月下旬から11月上旬に、県のページを見て版が上がっているか確認する。
  • 版が上がったら、社内資料の「令和6年度」という年度表記と数字をまとめて差し替える。
  • 差し替えたファイルと差し替え日を1行で記録しておく。

過去の水準を押さえておく

過去の水準も頭に入れておくと、更新後の数字が高いのか低いのかを即断できます。観光交流客数の過去最高は平成29年度の1億5,648万人、宿泊客数の過去最高は平成3年度の2,765万人、コロナ禍の令和2年度は8,348万人でした。現在の1億4,034万人は、過去最高の9割前後の水準です。

市町別の数字を毎年追いたい場合は、静岡市のようにオープンデータとして観光交流客数を公開している自治体もあります(静岡県オープンデータ「静岡市観光交流客数」(静岡市観光文化・市民局観光国際課・2026年9月1日更新))。県の公表を待たずに自市の数字を確認したいときの補助線になります。

生成AIに任せられるところ、任せられないところ

ここまでの内容は、そのまま生成AIとの分担表になります。

3つの確認項目を通ってから下書きに渡る流れの図
人が先に決める3項目と、そのあとで生成AIに渡す作業

人が決めることは3つです。基準となる期間(年度か暦年か)、集計主体(県か観光庁か)、そして母集団(延べか実人数か)。この3つが決まっていない状態でAIに文章を書かせると、それらしい段落の中で数字が入れ替わります。

AIに任せてよい作業

  • 確定した数字を使った説明文の下書き。たとえば「令和6年度の宿泊客数は1,950万人、前年度比104.4%」という事実から、社内向けの3行サマリーを作らせる。
  • 表からグラフ用の並び替えや、単位のそろえ直し。
  • 社外向けと社内向けで、同じ内容を言い換える。
  • 月別データを見ながらの、繁忙期・閑散期の施策アイデア出し。数字そのものではなく、打ち手の案を広げる用途です。

AIに任せてはいけない作業

  • 数字そのものを思い出させること。学習データの中の古い年度の値が混ざります。
  • 出典のない補完。「おそらく〇〇万人程度」といった穴埋めをさせない。
  • 四捨五入や単位の変換を、元データを渡さずにやらせること。千人単位と万人単位の取り違えはここで起きます。

実務では、PDFの該当ページを人が開き、数字を表にしてから渡すのが最も事故が少ない手順です。統計を社内資料に落とし込む段取り全般は静岡県の全国順位を資料に使う|100の指標と生成AIの分担にまとめています。

社内ルールに書いておくと良い一文

「統計の数値は、公表元のページまたはPDFを開いて確認した人が入力する。AIの出力をそのまま数値として採用しない」。この一文があるだけで、決算資料や補助金の申請書に古い数字が乗る事故がかなり減ります。

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よくある質問

Q. 観光交流客数と観光入込客数は同じものですか。

同じではありません。観光庁が定めた共通基準による「観光入込客統計」と、静岡県が独自の調査要領で集計している「観光交流の動向」は別の枠組みです。静岡県の資料で1億4,034万人と書かれている数字は後者です。資料には「静岡県観光交流の動向」という調査名をそのまま書いてください。

Q. 市町別の数字はどこで見られますか。

県の「静岡県観光交流の動向」の資料編に、年度別市町別の観光交流客数・宿泊客数・観光レクリエーション客数が掲載されています。静岡市のように自治体がオープンデータとして公開している例もあります。

Q. 外国人旅行者だけの数字は県の資料にありますか。

県の観光交流の動向は日本人と外国人を分けた集計を主眼にしていません。外国人の宿泊を国籍別に見たい場合は、観光庁の宿泊旅行統計調査のほうに外国人延べ宿泊者数の集計があります。2025年の全国の外国人延べ宿泊者数は1億7,787万人泊、前年比プラス8.2%でした。

Q. 生成AIに県のPDFを読み込ませて要約させてもよいですか。

社内で使う要約であれば有効な使い方です。ただし出てきた数字は必ずPDFの該当ページと突き合わせてください。表が多いPDFでは、行と列の対応がずれた形で読み取られることがあります。

Q. 令和7年度の数字はいつ出ますか。

令和6年度版は2025年10月31日に公表されました。同じ周期であれば令和7年度版は2026年10月末ごろの見込みですが、正確な公表日は2026年9月時点で公式に確認できていません。県のページで確認してください。

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参考・出典