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静岡の働き方改革推進支援助成金の早見表|上限額と賃上げ加算

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静岡の働き方改革推進支援助成金の早見表|上限額と賃上げ加算

この記事の要点

働き方改革推進支援助成金は、残業の削減、年次有給休暇の取りやすさ、勤務間インターバルの導入に取り組む中小企業に、国が経費の一部を助成する制度です。令和8年度の交付申請の期限は令和8年11月30日(月)午後5時で、国の予算額によっては期限前に締め切られる場合があります(厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」)。助成額は「成果目標ごとの助成上限額と加算額を合計した金額」と「対象経費の合計額に補助率3/4を掛けた額」の、いずれか低い額です。静岡県内の申請先は、静岡労働局の雇用環境・均等室(静岡地方合同庁舎5階)です。

この記事では、コース別の上限額と賃上げ加算の早見表、自社の上限額を出す計算表、期限、県内の窓口と無料の相談先、生成AIに任せてよい範囲をまとめます。助成の対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。

働き方改革推進支援助成金はどんな取組に出る助成金か

最初に、自社が使えそうなコースを絞ります。コースは業種と、取り組む課題(36協定の時間数、年休、勤務間インターバル)で分かれています。

図: 働き方改革推進支援助成金の5つのコース。労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース、業種別課題対応コース、団体推進コース、取引環境改善コース
図解1|令和8年度の5つのコース

令和8年度は5つのコース

中小企業基盤整備機構のJ-Net21は、令和8年度の申請受付の開始を伝える記事で、従来の「業種別課題対応コース」「労働時間短縮・年休促進支援コース」「勤務間インターバル導入コース」「団体推進コース」に、今年度から「取引環境改善コース」が新たに設けられたと整理しています(中小企業基盤整備機構 J-Net21「『働き方改革推進支援助成金』申請受け付け開始」(2026年4月16日))。

コース 主な対象 助成の対象になる取組の例
労働時間短縮・年休促進支援コース 業種を問わない中小企業事業主 36協定の時間外・休日労働時間数の削減、年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入、時間単位の年次有給休暇制度と特別休暇の新規導入
勤務間インターバル導入コース 業種を問わない中小企業事業主(原則として、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態がある事業場など) 終業から次の始業までの休息時間を9時間以上とする勤務間インターバルの導入
業種別課題対応コース 建設業、運送業等、病院等、砂糖製造業、情報通信業・宿泊業の中小企業事業主 36協定の時間数の削減、所定外労働時間数の削減、勤務間インターバルの導入、週休2日制の推進(建設業)など
団体推進コース 中小企業事業主の団体や、その連合団体 傘下の事業主の労働者の時間外労働の削減や賃金引上げに向けた取組
取引環境改善コース 荷主集団など トラックドライバーの荷待ち・荷役時間の短縮に向けた取引環境の整備

出典:厚生労働省「労働時間短縮・年休促進支援コース」、厚生労働省「勤務間インターバル導入コース」、厚生労働省「業種別課題対応コース」、厚生労働省「団体推進コース」、J-Net21(2026年4月16日)

個別の会社が使うのは、上の3つ(労働時間短縮・年休促進支援、勤務間インターバル導入、業種別課題対応)です。団体推進コースは商工会議所や事業協同組合などの団体が申請するコースなので、この記事では扱いを最小限にします。

対象になる中小企業の範囲

3つのコースとも、労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業主で、資本金か常時使用する労働者数が次のいずれかに当たる中小企業事業主が対象です。

主たる事業 資本金の額・出資の総額 常時使用する労働者の数
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院 ― 300人以下
その他の事業 3億円以下 300人以下

資本金か労働者数のどちらかが当てはまれば足ります。あわせて、すべての指定事業場で年休管理簿を作っていること、常時10人以上の指定事業場では年次有給休暇の時季指定の定めがある就業規則を交付申請の前に労働基準監督署へ届け出ていることが条件です(厚生労働省「労働時間短縮・年休促進支援コース」)。

コース別の上限額と賃上げ加算の早見表

上限額は、選んだ成果目標の上限額に、賃上げ加算と割増賃金率加算の上限額を合計した金額です。まずコースごとの成果目標の上限額を見て、次に3コース共通の加算を足します。

図: 上限額は、成果目標ごとの助成上限額に、賃上げ加算と割増賃金率加算を合計した金額。2つの加算は3コース共通
図解2|上限額は3つを合計した金額

労働時間短縮・年休促進支援コース

成果目標①は、36協定で届け出る時間外・休日労働時間数を減らす目標です。上限額は、事業を始める前の設定時間数と、事業を終えたあとの設定時間数の組み合わせで決まります。

成果目標 事業実施前の設定時間数 事業実施後の設定時間数 上限額
① 月60時間を超える36協定の時間外・休日労働時間数の削減 月80時間超 月60時間以下 150万円
同上 月80時間超 月60時間を超え月80時間以下 50万円
同上 月60時間を超え月80時間以下 月60時間以下 100万円
② 年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入 ― ― 25万円
③ 時間単位の年次有給休暇制度と、特別休暇を1つ以上新規導入 ― ― 25万円

出典:厚生労働省「令和8年度 働き方改革推進支援助成金 労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内」(2026年4月)

成果目標は1つ以上を選びます。①と②を両方達成すれば、それぞれの上限額を合計した金額が上限になります。

勤務間インターバル導入コース

勤務間インターバルを新しく入れる場合の上限額は、休息時間数と、制度を適用する労働者の範囲で決まります。

適用する労働者の範囲 休息時間数 補助率 1企業当たりの上限額
所属労働者の1/2超 9時間以上11時間未満 3/4 100万円
所属労働者の1/2超 11時間以上 3/4 150万円
所属労働者の1/4超1/2以下 9時間以上11時間未満 3/4 50万円
所属労働者の1/4超1/2以下 11時間以上 3/4 75万円

出典:厚生労働省「勤務間インターバル導入コースのご案内」(令和8年度)

休息時間数は、事業実施計画で指定した事業場に入れる勤務間インターバルのうち、最も短いもので数えます。すでに制度がある事業場向けには「適用範囲の拡大」「時間延長(休息時間数を2時間以上延ばして9時間以上にする)」の成果目標もあります。この2つの上限額はリーフレットの表に載っていないため、支給要領の別表で確かめてください。

業種別課題対応コース(運送業等、情報通信業・宿泊業)

業種別課題対応コースは、業種ごとにリーフレットが分かれています。運送業等と、情報通信業・宿泊業の上限額は次のとおりです。

成果目標 運送業等 情報通信業、宿泊業
① 36協定の時間数を月80時間超から月60時間以下へ 250万円 250万円
① 月80時間超から月60時間を超え月80時間以下へ 150万円 150万円
① 月60時間を超え月80時間以下から月60時間以下へ 200万円 200万円
② 所定外労働時間数の削減(労働者1人あたり5時間以上10時間未満) 50万円 50万円
② 所定外労働時間数の削減(労働者1人あたり10時間以上) 100万円 100万円
③ 年次有給休暇の計画的付与制度の新規導入 25万円 25万円
④ 時間単位の年次有給休暇制度と特別休暇の新規導入 25万円 25万円
⑤ 勤務間インターバルの導入(休息時間数が短いほうの区分) 150万円(10時間以上11時間未満) 120万円(9時間以上11時間未満)
⑤ 勤務間インターバルの導入(11時間以上) 170万円 150万円

出典:厚生労働省「業種別課題対応コース(運送業等)のご案内」、厚生労働省「業種別課題対応コース(情報通信業、宿泊業)のご案内」

①と②は同時に選べません。②の「所定外労働時間数の削減」は令和8年度に加わった成果目標で、交付申請後のいずれか1か月の所定外労働時間数を、前年同月と比べて労働者1人あたり5時間以上減らすものです(厚生労働省「業種別課題対応コース」)。⑤で勤務間インターバルの適用範囲を広げる場合と、休息時間を延ばす場合の上限額は、表の1/2です。

建設業と病院等は、選べる成果目標が一部違います。建設業には、建設現場の週休2日制の推進(4週5日以上に休日を増やす)が成果目標にあります。上限額は厚生労働省「業種別課題対応コース(建設業)のご案内」で確かめてください。

賃上げ加算と割増賃金率加算(3コース共通)

成果目標に加えて、労働者の時間当たり賃金額を引き上げると「賃上げ加算」、所定割増賃金率を一定以上に引き上げると「割増賃金率加算」の上限額が足されます。加算だけでは申請できず、成果目標を1つ以上選んだうえで上乗せするものです。

常時使用する労働者が30人を超える場合の賃上げ加算は、次の表のとおりです。

引上げ率 引上げ人数1〜3人 4〜6人 7〜10人 11人〜30人
3%以上 6万円 12万円 20万円 1人当たり2万円(上限60万円)
5%以上 24万円 48万円 80万円 1人当たり8万円(上限240万円)
7%以上 36万円 72万円 120万円 1人当たり12万円(上限360万円)

出典:厚生労働省「労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内」(2026年4月)

会社の規模が小さいほど、5%以上と7%以上の欄に倍率がかかります。

常時使用する労働者数 3%以上の引上げ 5%以上・7%以上の引上げ
30人を超える 表の額 表の額
10人以上30人以下 表の額 表の額の2倍
10人未満 表の額 表の額の2.5倍

10人未満の2.5倍は令和8年度の見直しで、あわせて「労働者30人以下・3%引上げの倍加措置」は廃止されました(J-Net21、2026年4月16日)。去年の資料で計算すると3%の欄を多く見積もるので、令和8年度のリーフレットで計算し直してください。

割増賃金率加算は2段階です。

割増賃金率加算の要件 加算額
月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5%以上引き上げる 25万円
月45時間を超えて月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5割以上とし、かつ、交付申請後から事業実施予定期間の終わりまでのいずれか1か月の時間外労働を、交付申請日の属する月と比べて労働者1人あたり10時間以上減らす 75万円

自社の上限額を出す計算表

早見表の額は「上限」で、実際に受け取る額は経費の額でも決まります。計算は次の順番で進めます。

図: 上限額と、対象経費の合計額に補助率3/4(条件により補助率4/5)を掛けた額を比べ、いずれか低い額が助成額になる
図解3|助成額は2つのうち低いほう

上限額と「対象経費×補助率3/4」のいずれか低い額

助成額は、①成果目標ごとの助成上限額及び加算額の合計額、②対象経費の合計額×補助率3/4、のいずれか低い額です。常時使用する労働者数が30人以下で、改善事業のうち労務管理用ソフトウェア・機器・デジタル式運行記録計の導入・更新、または労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新を行い、その所要額が30万円を超える場合は、補助率4/5になります(厚生労働省「労働時間短縮・年休促進支援コース」)。

助成の対象になる改善事業は、労務管理担当者に対する研修、労働者に対する研修・周知・啓発、外部専門家によるコンサルティング、就業規則・労使協定等の整備、人材確保に向けた取組、労務管理用ソフトウェア・機器・デジタル式運行記録計の導入・更新、労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新です。原則として、乗用自動車、パソコン、タブレット、スマートフォンの導入・更新は対象になりません。

書き込んで使う計算表

行 項目 自社の値 書き方
A 選んだ成果目標の上限額   万円 早見表から1つ以上選び、合計する
B 賃上げ加算   万円 引上げ率と人数で表を引き、労働者数に応じて倍率を掛ける
C 割増賃金率加算   万円 25万円か75万円。使わなければ0
D 上限額(A+B+C)   万円
E 対象経費の合計額   万円 改善事業の見積書の合計
F E×補助率   万円 原則3/4。条件を満たせば4/5
G 助成額の見込み   万円 DとFのいずれか低い額

架空の会社で計算した例

県内の輸送機器サプライヤー(製造業・常時使用する労働者45人)が、労働時間短縮・年休促進支援コースを使う場合で計算してみます。数字はすべて説明用の架空のものです。

  • A:36協定の時間外・休日労働時間数を、月80時間超から月60時間以下に下げる → 150万円
  • B:12人の時間当たり賃金額を3%以上引き上げる(30人超の会社なので倍率なし)→ 1人当たり2万円×12人=24万円
  • C:使わない → 0円
  • D:150万円+24万円+0円=174万円
  • E:勤怠管理のソフトウェアの導入と外部専門家のコンサルティングで200万円
  • F:200万円×3/4=150万円
  • G:DとFのいずれか低い額 → 150万円

この例では上限額(174万円)より経費から出した額(150万円)が低いので、150万円が見込みになります。上限額いっぱいまで受け取れるとは限らない、という点を社内で共有しておくと、見積の段階で話がずれません。実際の支給額は成果目標の達成状況と審査で決まります。

申請から支給までの期限

令和8年度の手続きは、交付申請、交付決定、改善事業の実施、支給申請の順に進みます。期限は次の3つです。

図: 交付申請(令和8年11月30日まで)、交付決定、改善事業の実施(令和9年1月31日まで)、支給申請(令和9年2月5日まで)の順に進む
図解4|交付申請から支給申請までの順番と期限

交付申請は令和8年11月30日まで

交付申請の期限は令和8年11月30日(月)午後5時です。国の予算額に制約されるため、期限前に受付を締め切る場合があります(厚生労働省「勤務間インターバル導入コース」)。見積の取得、36協定や就業規則の現状の確認、事業実施計画の作成には日数がかかるので、10月中に静岡労働局か静岡働き方改革推進支援センターへ相談しておくと、締切の直前に慌てずに済みます。電子申請はJグランツでも行えます。

改善事業は令和9年1月31日まで、支給申請は令和9年2月5日まで

改善事業は、交付決定の日から令和9年1月31日(日)までに実施します。支給申請は、事業実施予定期間が終了した日から起算して30日後の日か、令和9年2月5日(金)のいずれか早い日までです(厚生労働省「労働時間短縮・年休促進支援コースのご案内」)。交付決定より前に発注・支払いをしたものの扱いは、発注の前に静岡労働局へ確かめてください。

手続き 期限 提出先
交付申請 令和8年11月30日(月)午後5時(予算により早く締め切る場合あり) 静岡労働局 雇用環境・均等室、またはJグランツ
改善事業の実施 交付決定の日から令和9年1月31日(日)まで ―
支給申請 事業実施予定期間の終了日から起算して30日後の日か、令和9年2月5日(金)のいずれか早い日 静岡労働局 雇用環境・均等室

静岡県内の申請窓口と相談先

静岡労働局は、令和8年9月28日に一部の助成金の受付・相談窓口を変えました。働き方改革推進支援助成金は、変更の対象ではありません(2026年10月6日時点で静岡労働局の案内を確認)。

申請は静岡労働局 雇用環境・均等室(静岡地方合同庁舎5階)

静岡労働局の案内では、働き方改革推進支援助成金の窓口は、業務改善助成金や両立支援等助成金と同じ雇用環境・均等室(代表 054-254-6320)です。所在地は〒420-8639 静岡市葵区追手町9-50 静岡地方合同庁舎5階です。9月28日の変更は、特定求職者雇用開発助成金の窓口が助成金センター(日土地静岡ビル4階)へ移ったことと、雇用調整助成金の電話番号の変更です(静岡労働局「令和8年9月28日(月)から一部助成金の受付・相談窓口が変更となりました!」(PDF))。キャリアアップ助成金の窓口(静岡安藤ハザマビル2階の助成金センター)とも場所が違うので、複数の助成金を同時に進める会社は、窓口を取り違えないよう一覧にしておきます。

無料相談は静岡働き方改革推進支援センター

静岡働き方改革推進支援センターは、厚生労働省の委託事業(委託先:全国社会保険労務士会連合会)で、〒420-0837 静岡市葵区日出町1-2 TOKAI日出町ビル4階にあります。開所は平日9時から17時(年末年始を除く)、来所は事前予約制で、電話は0800-200-5451です。来所・電話・メールでの相談、企業への訪問相談、セミナーを行っていて、社会保険労務士が労働時間の相談に無料で応じる「労働時間特別相談窓口」も開いています(厚生労働省 働き方改革特設サイト「静岡働き方改革推進支援センター」)。

どの成果目標が自社に合うか、36協定の書き方をどう変えるか、といった段階では、まずセンターに相談し、相談のあとに申請、という順番が進めやすい流れです。助成金の申請そのものは労働局に出します。

用件 相談・提出先 連絡先
交付申請・支給申請・制度の確認 静岡労働局 雇用環境・均等室(静岡地方合同庁舎5階) 054-254-6320(代表)
成果目標の選び方、36協定・就業規則の見直しの相談(無料) 静岡働き方改革推進支援センター(葵区日出町) 0800-200-5451
電子申請 Jグランツ ―

静岡の残業の数字とコースの選び方

県内の数字と業種から、どのコースを先に見るかを決めます。

図: 建設業、運送業等、宿泊業、情報通信業は業種別課題対応コースを、製造業は労働時間短縮・年休促進支援コースと勤務間インターバル導入コースを先に見る
図解5|県内の業種から先に見るコース

県内の所定外労働時間は月9.4時間、製造業は13.1時間

静岡県の毎月勤労統計調査地方調査(令和8年7月分)では、事業所規模5人以上・調査産業計の1人平均月間所定外労働時間は9.4時間で、前年同月比10.5%減と9か月連続で前年同月を下回りました。常用労働者の約3割を占める製造業は13.1時間で、前年同月比7.4%増と2か月連続で前年同月を上回っています(静岡県 企画部統計活用課「毎月勤労統計調査地方調査結果(令和8年7月分)」(令和8年9月29日))。月ごとの数字の読み方は静岡の賃金と残業を県平均と比べる|毎月勤労統計と生成AIで詳しく扱っています。

ここで注意したいのは、労働時間短縮・年休促進支援コースの成果目標①が見ているのは、実際の残業時間ではなく、36協定で届け出る「時間外・休日労働時間数」の設定だという点です。県平均の残業が月10時間に届かなくても、繁忙期に備えて36協定で月80時間超を設定している事業場は、設定を下げることで成果目標①の対象になりえます。反対に、勤務間インターバル導入コースは「原則として、過去2年間において月45時間を超える時間外労働の実態があること」を条件にしているので、こちらは実績の残業時間を先に確かめます。

県内の業種から先に見るコースを引く

県内の業種の例 先に見るコース 理由
建設業 業種別課題対応コース(建設業) 週休2日制の推進(4週5日以上)が成果目標にある
運送業等(自社のトラック便を持つ卸売業なども含みうる) 業種別課題対応コース(運送業等) 対象は「自動車運転の業務に従事する労働者を雇用する中小企業事業主」。勤務間インターバルは10時間以上
宿泊業(県内の旅館・ホテル)、情報通信業 業種別課題対応コース(情報通信業、宿泊業) 令和8年度のリーフレットで対象業種に入っている
製造業(県内の輸送機器サプライヤー、食品製造業など) 労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース 製造業は業種別課題対応コースの対象業種にない

運送業等は、運送業を主たる事業にしているかではなく、自動車運転の業務に従事する労働者を雇用しているかで書かれています。配送を自社で行う製造業や卸売業が当てはまるかどうかは、申請の前に静岡労働局で確かめてください。業種ごとの書類仕事の減らし方は、運送・物流の生成AI活用7場面|静岡の運行管理、建設業の生成AI活用7選|静岡の現場書類を効率化、静岡の旅館・ホテル向け生成AI活用|裏方7業務の手順にまとめています。

生成AIに任せる書く仕事、任せない判断

申請書類には文章で書く欄が多く、下書きは生成AIで速くなります。ただし、どの成果目標を選ぶか、36協定の時間数をいくつにするか、賃金をどれだけ上げるかは、会社が決めることです。

任せてよい下書き

  • 事業実施計画の「現状の課題」「改善事業の内容」の文章の下書き
  • 年休の計画的付与の労使協定や、時間単位年休・特別休暇の就業規則の規定案のたたき台
  • 従業員への周知文(勤務間インターバルの説明、計画的付与の日程の案内)
  • 複数の見積書を同じ項目で並べた比較表

規定案や協定案は、社会保険労務士か静岡働き方改革推進支援センターに確かめてから使います。

入力しない情報

  • 従業員の氏名と、個人ごとの賃金・残業時間(賃金台帳、出勤簿の生データ)
  • マイナンバー、健康に関する情報
  • 取引先の名前と、公表していない取引条件

社内で生成AIを使うときの線引きは、静岡の中小企業の生成AI利用ルール|A4一枚で始めるで一枚のルールにしています。

指示の例

個人の数字は入れず、部署ごとの集計値だけを渡します。

あなたは中小企業の総務担当の補助です。
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)の
事業実施計画に書く「現状の課題」の下書きを作ってください。

・事実として使うのは、下に貼る部署別の集計値だけにする
・36協定の時間数、残業時間、年休の取得日数の数字は、貼った値をそのまま使い、丸めない
・課題を3つに分け、それぞれ2文以内で書く
・助成額や支給の見込みには触れない
・最後に「数字は担当者が勤怠データの原本と照合すること」と1行入れる

[部署別の月平均残業時間(直近12か月)を貼る]
[現在の36協定の時間外・休日労働時間数の設定を貼る]
[部署別の年休取得日数の平均を貼る]

生成AIの利用料は対象経費になるか

改善事業には「労務管理用ソフトウェア等の導入・更新」がありますが、厚生労働省のコースのページとリーフレットには、生成AIの月額利用料が対象経費に入るかどうかの記載がなく、2026年10月時点で公式に確認できていません。パソコン、タブレット、スマートフォンの導入・更新は原則として対象にならないと明記されています。生成AIのサービスを経費に入れたい場合は、見積を取る前に静岡労働局の雇用環境・均等室へ確かめてください。

まとめ

  • 令和8年度の交付申請は令和8年11月30日(月)午後5時まで。予算により早く締め切られる場合がある
  • 助成額は「成果目標ごとの上限額と加算額の合計」と「対象経費の合計額×補助率3/4(条件により4/5)」のいずれか低い額
  • 賃上げ加算は、5%以上・7%以上の欄で、10人以上30人以下は2倍、10人未満は2.5倍
  • 静岡県内の申請先は静岡労働局 雇用環境・均等室(静岡地方合同庁舎5階)。無料相談は静岡働き方改革推進支援センター
  • 成果目標①は実際の残業時間ではなく36協定の設定時間数を見る。勤務間インターバル導入コースは月45時間超の実態が条件

助成の対象となる場合があります(要件審査あり・支給を保証するものではありません)。

よくある質問

Q. 静岡県の事業所はどこに申請しますか。

A. 静岡労働局の雇用環境・均等室(静岡市葵区追手町9-50 静岡地方合同庁舎5階・代表054-254-6320)です。電子申請のJグランツでも申請できます。令和8年9月28日の窓口変更の対象には入っていません。

Q. 11月30日より前に締め切られることはありますか。

A. あります。厚生労働省は、国の予算額に制約されるため、期限前に受付を締め切る場合があると案内しています。準備に時間がかかる会社は、10月中に相談を始めてください。

Q. 賃上げ加算だけを申請できますか。

A. できません。賃上げ加算と割増賃金率加算は、成果目標を1つ以上選んだうえで上乗せするものです。

Q. 従業員が10人未満の会社は、何が有利になりますか。

A. 令和8年度から、賃上げ加算のうち5%以上と7%以上の引上げの欄に2.5倍の上限額が加算されます。3%以上の欄には倍率がかかりません。

Q. 相談にお金はかかりますか。

A. 静岡働き方改革推進支援センター(静岡市葵区日出町1-2 TOKAI日出町ビル4階・0800-200-5451)は厚生労働省の委託事業で、社会保険労務士が労働時間の相談に無料で応じています。来所は事前予約制です。

Q. 生成AIに申請書を全部書いてもらってよいですか。

A. 文章の下書きまでにとどめてください。成果目標の選び方、36協定の時間数、賃金の引上げ額は会社が決め、数字は勤怠データや賃金台帳の原本と照合してから書類に写します。

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参考・出典