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法定雇用率2.7%へ|静岡の障害者雇用と社内文書の準備

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法定雇用率2.7%へ|静岡の障害者雇用と社内文書の準備

民間企業の法定雇用率は令和8年7月から2.7%、対象となる事業主の範囲は常時雇用する労働者37.5人以上に広がりました。従業員が38人の会社は、これまで対象外でしたが今回から対象に入ります。

これまで対象外だった規模の会社が新たに入ってきますし、すでに対象だった会社も必要な人数が変わります。静岡県内では、民間企業の実雇用率はすでに13年連続で過去最高を更新していますが、達成している企業は半分強にとどまります。

この記事では、制度がどう変わったかを一次資料で確認したうえで、静岡県内の現在地を数字で押さえ、社内で用意する書類と説明のどこまでを生成AIに任せてよいかを整理します。なお、雇用の判断そのものと人の配置は、生成AIの出番ではありません。

この記事の要点

  • 民間企業の法定雇用率は、令和5年度の2.3%、令和6年4月の2.5%を経て、令和8年7月から2.7%になった。対象事業主の範囲も、43.5人以上、40.0人以上を経て37.5人以上に広がった。
  • 国・地方公共団体等は令和8年7月1日から3.0%、都道府県等の教育委員会は2.9%。
  • 毎年6月1日時点の障害者雇用状況報告のうち、令和8年6月1日時点の報告は2.5%で不足の有無を確認する。
  • 静岡県内の民間企業の実雇用率は2.44%(令和7年6月1日現在、13年連続で過去最高)。法定雇用率達成企業割合は52.1%で、3,490社中1,819社。
  • 未達成は1,671社。そのうち障害者を1人も雇用していない「0人雇用企業」が996社(未達成企業の59.6%)。
  • 雇用障害者数15,353.5人のうち、製造業が5,962.5人(38.8%)と最も多い。静岡の産業構成がそのまま出ている。
  • 生成AIに任せてよいのは、求人票や社内説明文の下書き、業務の切り出しメモの整理、手順書の平易化まで。障害の状況に関する個別情報は入力しない。

令和8年7月に何が変わったか

法定雇用率は2.7%、対象は37.5人以上

厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークが出している事業主向けリーフレット「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」では、引上げの段取りが次のように示されています。

時期 民間企業の法定雇用率 対象事業主の範囲
令和5年度 2.3% 43.5人以上
令和6年4月 2.5% 40.0人以上
令和8年7月 2.7% 37.5人以上
除外率が令和7年4月に10ポイント引き下げられた結果、算定の基礎となる労働者数が増え、同じ人数でも実雇用率が下がる道すじと、建設業10%・港湾運送業15%・鉄道業20%の除外率を示した図
除外率の引き下げが実雇用率に効く道すじ

対象事業主の範囲は、法定雇用率で1人分の義務が生じる規模から決まります。2.7%なら37.5人です。常時雇用する労働者が38人の会社は、これまで対象外でしたが対象に入ります。

国や地方公共団体等の法定雇用率は令和8年7月1日から3.0%、都道府県等の教育委員会は2.9%です。

令和8年6月1日時点の報告は2.5%で確認する

同じリーフレットには、毎年6月1日時点での障害者雇用状況のハローワークへの報告について、「令和8年6月1日時点の報告では、法定雇用率2.5%での不足有無などを確認します」と明記されています。

6月1日時点はまだ2.5%、7月以降が2.7%です。この境目は納付金の算定にもそのまま出ます。リーフレットのQ&Aでは、令和8年度分の障害者雇用納付金について、令和8年6月以前は2.5%、令和8年7月以降は2.7%で算定するとされています(申告期間は令和9年4月1日から同年5月17日まで)。

除外率は令和7年4月に10ポイント下がっている

見落とされやすいのが除外率です。リーフレットによると、除外率は各除外率設定業種ごとにそれぞれ10ポイント引き下げられ、令和7年4月1日から適用されています。これまで除外率が10%以下だった業種は、除外率制度の対象外になりました。

静岡県内に多い業種でいえば、建設業・鉄鋼業・道路貨物運送業・郵便業が10%、港湾運送業・警備業が15%、鉄道業・医療業が20%です。除外率が下がるということは、法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数が増えるということで、同じ人数を雇っていても実雇用率は下がります。

算定のカウント方法も変わってきた

雇用率上のカウントについても、リーフレットで次の点が整理されています。

  • 週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者は、当分の間、雇入れからの期間等に関係なく1カウントとして算定できる(令和5年4月以降)。
  • 週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者は、雇用率上0.5カウントとして算定できる(令和6年4月以降)。

短い時間からの雇用が算定に乗るようになっている、という方向です。週20時間に届かない働き方でも選択肢に入ります。

静岡県内の現在地を数字で押さえる

実雇用率2.44%、達成企業は52.1%

静岡労働局が令和7年12月19日に公表した「令和7年 静岡県内の障害者雇用状況の集計結果」によると、令和7年6月1日現在の県内民間企業の状況は次のとおりです。

項目 令和7年 前年
雇用障害者数 15,353.5人 14,882.0人
実雇用率 2.44% 2.43%
法定雇用率達成企業割合 52.1% 51.4%
達成企業数/企業数 1,819社/3,490社 1,765社/3,433社
静岡県内の法定雇用率未達成企業1,671社のうち、1人不足企業が1,170社で70.0%、障害者を1人も雇用していない0人雇用企業が996社で59.6%であることを示した図
未達成企業1,671社の内訳

雇用障害者数は前年より471.5人増え、対前年比3.2%増。16年連続で過去最高を更新しました。実雇用率2.44%は13年連続で過去最高です。

数字は伸びているのですが、当時の法定雇用率は2.5%です。県全体の実雇用率2.44%は、その2.5%にまだ届いていません。そこに7月から2.7%が来ました。

障害別では精神障害者の伸びが大きい

同じ集計結果によると、内訳は身体障害者7,808.5人(対前年比0.6%増)、知的障害者4,508.5人(同2.4%増)、精神障害者3,036.5人(同11.6%増)です。精神障害者の伸び率が突出しています。

先に触れた週20時間未満のカウントや、週20時間以上30時間未満の1カウント特例は、この動きと結びついています。フルタイム前提で考えると採用の間口が狭くなりますが、短時間の枠組みを前提にすると現実的な設計ができます。

未達成1,671社のうち996社が「0人雇用」

令和7年の法定雇用率未達成企業は1,671社でした。その内訳が重要です。

  • 不足数が0.5人または1人である「1人不足企業」が1,170社。未達成企業の70.0%。
  • 障害者を1人も雇用していない「0人雇用企業」が996社。未達成企業の59.6%。

未達成企業の7割は、あと0.5人か1人で達成します。そして6割弱は、まだ1人も雇用していません。「大量に採用しないと達成できない」という話ではなく、「最初の1人をどう受け入れるか」が県内の課題の中心だと読めます。

規模が小さいほど実雇用率が低い

企業規模別の実雇用率は、法定雇用率2.5%と比べて次のように分かれていました。

企業規模 実雇用率 法定雇用率達成企業割合
40.0人以上100人未満 2.14% 49.5%
100人以上300人未満 2.43% 58.3%
300人以上500人未満 2.33% 46.2%
500人以上1,000人未満 2.56% 51.3%
1,000人以上 2.64% 60.3%

500人未満の3区分はいずれも2.5%を下回っています。令和8年7月に新たに対象へ入る37.5人以上40人未満の層は、この表のいちばん上の区分よりさらに小さい規模です。実務としては、いちばん経験の蓄積が薄い層に制度が広がった、ということになります。

静岡の産業ごとに入口が違う

製造業が県内の雇用障害者数の38.8%

静岡労働局の「令和7年 静岡県内の障害者雇用状況の集計結果」では、産業別の雇用障害者数は製造業が5,962.5人で全体の38.8%と最も多く、次いで医療・福祉2,762.5人(18.0%)、卸売業・小売業2,049.0人(13.3%)、運輸業・郵便業972.5人(6.3%)、サービス業996.5人(6.5%)、建設業434.5人(2.8%)と続きます。

静岡県内で雇用人数が多い産業は1位が製造業5,962.5人・38.8%、2位が医療福祉2,762.5人・18.0%で、実雇用率が高い産業は1位が農林漁業5.61%、2位が医療福祉3.14%であることを示した表形式の図
人数が多い産業と、比率が高い産業は別

製造業が4割近くを占めるのは、輸送用機械を中心とする県内の産業構成がそのまま出た形です。県内の輸送機器サプライヤーや製紙、食品加工の現場では、工程を分けて任せる形の受け入れがすでに積み重なっています。富士市のようにパルプ・紙関連が市の製造品出荷額の約3割を占める「紙のまち」では、工程数の多い現場が地域にまとまっており、切り出しの検討材料も集まりやすい環境です。

法定雇用率を上回っている産業もある

一方で、同じ集計結果では、法定雇用率(当時2.5%)を上回っていた産業として、農・林・漁業(実雇用率5.61%)、鉱業・採石業・砂利採取業(2.86%)、金融業・保険業(2.54%)、生活関連サービス業・娯楽業(2.94%)、医療・福祉(3.14%)が挙げられています。

製造業は雇用人数では最多ですが、実雇用率でこの5業種の中には入っていません。人数が多い産業と、比率が高い産業は別だ、ということです。自社の業種がどちら側かで、社内の説明の組み立ても変わります。

県内の公的機関の状況も出ている

同じ集計結果には公的機関の状況も載っています。静岡県の機関の実雇用率は2.90%(法定雇用率2.8%)で3機関中2機関が達成、市町等の機関は2.60%で48機関中26機関が達成、県等の教育委員会は2.26%(同2.7%)で4機関中0機関が達成でした。

市町等と地方独立行政法人等の実雇用率が前年より下がっている点について、集計結果は「昨年比で除外率が10ポイント下がっていることの影響による低下を含む」と注記しています。除外率の引き下げが数字に効いている、という実例です。民間企業の除外率設定業種でも同じことが起きます。

2.7%で自社に必要な人数はどう変わるか

計算そのものは掛け算と切り捨て

法定雇用障害者数は、対象となる労働者数(除外率が設定された業種は除外率相当数を引いた後の数)に法定雇用率を掛け、小数点以下を切り捨てて求めます。2.5%と2.7%で必要人数がどう変わるかを、切りのよい規模で並べると次のようになります。

対象労働者数 2.5%での義務人数 2.7%での義務人数
40人 1人 1人
50人 1人 1人
75人 1人 2人
100人 2人 2人
150人 3人 4人
200人 5人 5人

この表は掛け算の結果を並べたものです。実際の自社の数字は、常時雇用する労働者の範囲、短時間労働者の数え方、業種の除外率、既に雇用している方のカウント(重度はダブルカウント、短時間は0.5カウントなど)で変わります。管轄のハローワークで確認してください。

変わるのは75人前後と150人前後

上の表で義務人数が増えるのは、おおよそ75人前後と150人前後です。2.5%では1人でよかった規模が2人になり、3人でよかった規模が4人になります。

自社がこの境目の近くにいるかどうかを、先に確認してください。境目から離れていれば今回は人数が変わらず、やることは報告と書類の更新だけになります。境目にいるなら、採用または業務の切り出しから始める必要があります。

生成AIを使うのは書類と説明の部分だけ

任せてよい工程

障害者雇用の準備で時間を取られるのは、実は書類と説明です。ここは生成AIで短縮できます。

  • 業務の切り出しメモの整理(どの工程を、どの単位で、誰が引き継ぐか)
  • 求人票の職務内容欄の下書き(作業の単位、必要な体力・集中の時間、手順の数)
  • 作業手順書を短い文と1手順1行の形に書き直す
  • 社内向けの説明文(受け入れ前の朝礼資料、関係部署への依頼文)の下書き
  • 制度の変更点を社内用に短くまとめた1枚の下書き
  • 面談記録の議事メモを、決まったこと・次回までの宿題の2項目に整える
生成AIに任せてよい工程として業務の切り出しメモの整理・求人票の職務内容欄の下書き・作業手順書の書き直しが通り、入れない情報として障害名や診断書・本人の氏名・面談での発言が止まることを示した図
下書きに回すものと、入力しないもの

自分で決める工程

  • 誰を採用するか、どの部署に配置するか
  • どの業務を任せるか、任せないか
  • 合理的配慮として何を提供するか(本人との話し合いで決めるもの)
  • 通院・体調に合わせた勤務時間の設計
  • ハローワークや支援機関への相談の進め方

入れない情報

  • 障害名、診断書、通院先、服薬など障害の状況に関する情報
  • 本人の氏名や、少人数の部署で個人が特定できる記述
  • 面談での本人の発言をそのまま写したもの

障害に関する情報は、社内でも取扱いを限定するものです。生成AIに入力する情報からは外してください。社内の生成AI利用ルールを1枚で決めておくと、この線引きの説明が毎回不要になります。

頼み方の例

次の作業を、求人票の職務内容欄の下書きにしてください。専門用語は使わず、1文を短くしてください。
作業:部品の目視検査、検査結果の記入、完成品の梱包
1日の流れ:午前は検査、午後は梱包。休憩は2時間ごとに10分。
立ち作業の時間:1回あたり最大40分。
手順書は紙で用意しており、写真付きです。
出力は300字以内、箇条書きは使わないでください。個人に関する情報は書かないでください。

作業そのものの内容は自分で書き出し、文章化だけを頼む。この形にすると、実態と違う職務内容が出てくる事故を防げます。求人の文面づくり全体の進め方は採用業務の生成AI活用6選にまとめています。

手順書の書き直しは効果が出やすい

すでにある作業手順書を、短い文と1手順1行に書き直す作業は、生成AIがいちばん安定して役に立つところです。図や写真を足すのは人の仕事ですが、文章を短くして主語を揃えるところまでは下書きで足ります。

この書き直しは、外国人スタッフ向けの説明文を整えるときと同じ考え方です。伝わる文の作り方はやさしい日本語への書き換えで扱っています。

最初の1人を受け入れる前に使える相談先

まずハローワーク

障害者雇用状況の報告先はハローワークです。自社が新たに対象になるか、除外率がどう適用されるか、法定雇用障害者数が何人になるかは、管轄のハローワークで確認するのが確実です。

静岡県内の相談先として、障害者雇用状況の報告先であるハローワーク、受け入れの設計を相談する静岡障害者職業センター、雇用管理に関する相談援助を受けられる障害者雇用相談援助事業の3つを放射状に並べた図
段階ごとに向かう先が違う

県内の集計や統計は、静岡労働局の障害者関係統計のページにまとまっています。障害者雇用状況の集計結果は令和3年6月1日現在の分から並んでいるので、県内の推移を追うこともできます。

受け入れの設計は職業センターへ

雇用を検討している事業主向けの相談先として、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の静岡障害者職業センターがあります。センターの説明では、障害者職業カウンセラー等を配置し、ハローワークや障害者就業・生活支援センターとの連携のもと、就職や職場復帰を目指す方、障害者雇用を検討しているまたは雇用している事業主、就労を支援する関係機関に対して支援・サービスを提供しているとされています。

「どの業務を切り出せばよいか分からない」という段階から相談できるのが、この種の窓口の使いどころです。

支援制度は先に確認しておく

厚生労働省のリーフレットでは、令和6年4月以降に障害者雇用相談援助事業が始まり、相談援助を行う事業者から原則無料で、雇入れや雇用継続に必要な一連の雇用管理に関する相談援助を受けられるようになったと案内されています。また、障害者介助等助成金の拡充や職場適応援助者助成金の拡充、職場実習・見学の受入れ助成の新設も挙げられています。

各種助成金には要件審査があり、支給の可否は審査によって決まります。まずは事業所を管轄するハローワークに相談するのが、リーフレットで案内されている進め方です。県内の相談窓口全体の使い分けは静岡県のDX・AI支援窓口にも整理があります。

よくある質問

Q. 従業員38人ですが、対象になりますか。
A. 令和8年7月からの民間企業の対象事業主の範囲は37.5人以上です。ただし「常時雇用する労働者数」の数え方(短時間労働者の扱い)や業種ごとの除外率で、自社の該当する人数は変わります。管轄のハローワークで確認してください。

Q. 令和8年6月1日時点の報告は2.7%で出すのですか。
A. いいえ。厚生労働省のリーフレットでは、令和8年6月1日時点の報告は法定雇用率2.5%での不足有無などを確認する、とされています。2.7%は令和8年7月以降の適用です。

Q. 納付金の算定はどちらの率になりますか。
A. リーフレットのQ&Aでは、令和8年度分の障害者雇用納付金について、令和8年6月以前は2.5%、令和8年7月以降は2.7%で算定するとされています。申告期間は令和9年4月1日から同年5月17日までです。

Q. 静岡県内の実雇用率はどれくらいですか。
A. 令和7年6月1日現在で、県内民間企業の実雇用率は2.44%です。雇用障害者数は15,353.5人、法定雇用率達成企業割合は52.1%でした(静岡労働局、令和7年12月19日公表)。

Q. 短時間の勤務でも雇用率に数えられますか。
A. 週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者については、令和6年4月以降、雇用率上0.5カウントとして算定できます。週20時間以上30時間未満の精神障害者は、当分の間1カウントとして算定できます。

Q. 求人票を生成AIに書かせてもよいですか。
A. 作業の内容・時間・手順の数を自分で書き出したうえで、文章化を頼む形なら使えます。「どんな仕事を任せられるか考えて」と丸ごと頼むのは避けてください。実態にない職務が入り込みます。

Q. 面談の記録を生成AIに要約させてもよいですか。
A. 障害の状況、通院、服薬、本人の氏名を含む記録は入力しないでください。決まったことと次回までの宿題だけを、個人が特定できない形に整えたうえで扱う範囲にとどめるのが安全です。

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参考・出典