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男女間賃金差異の計算表|静岡の101人以上の会社の公表手順

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男女間賃金差異の計算表|静岡の101人以上の会社の公表手順

この記事の要点

2026年4月1日に改正女性活躍推進法が施行され、常時雇用する労働者が101人以上の会社は「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務になりました(厚生労働省「改正女性活躍推進法等のポイント」)。計算は、賃金台帳などから「全ての労働者」「正規雇用労働者」「パート・有期労働者」の3区分ごとに男女別の平均年間賃金を出し、女性の平均を男性の平均で割って100を掛けます(厚生労働省「男女の賃金の額の差異の算出及び公表の方法について」)。初回は、施行後に最初に終わる事業年度の実績を、次の事業年度が始まってからおおむね3か月以内に公表します。静岡県の統計では、令和7年の所定内給与額が男性347.3千円、女性258.7千円で、この記事で割り算すると74.5%です(静岡労働局「静岡県における賃金事情」)。行動計画づくりには、県の無料アドバイザー派遣も使えます。

2026年4月から101人以上の会社も公表が必要になった

女性活躍推進法は、令和7年6月11日に改正法が公布され、省令と指針も同じ年の12月23日に改正されました。情報公表の必須項目が広がったのは2026年(令和8年)4月1日からです。

改正前は301人以上の会社だけが男女間賃金差異の公表義務の対象で、改正後は101〜300人の会社も男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が義務になったことを左右で比べた図
改正の前と後で、公表が義務になる会社の範囲

何が変わったか

これまで男女間賃金差異の公表が義務だったのは、従業員数301人以上の企業でした。改正後は101人以上の企業に広がり、あわせて女性管理職比率も101人以上の企業で公表が義務になりました(厚生労働省「改正女性活躍推進法等のポイント」(令和8年2月18日改定版))。

企業規模 改正前 改正後
301人以上 男女間賃金差異に加えて、2項目以上を公表 男女間賃金差異及び女性管理職比率に加えて、2項目以上を公表
101〜300人 1項目以上を公表 男女間賃金差異及び女性管理職比率に加えて、1項目以上を公表

101〜300人の企業は、男女間賃金差異と女性管理職比率のほかに、「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績」か「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」の14項目から1項目以上を選び、合わせて3項目以上を公表します。選べる項目には、男女別の育児休業取得率、有給休暇取得率、労働者の一月当たりの平均残業時間などがあります。従業員数100人以下の企業は努力義務です。

いつまでに公表するか

初回の男女間賃金差異と女性管理職比率は、改正法の施行後に最初に終わる事業年度の実績を、その次の事業年度が始まってからおおむね3か月以内に公表します。リーフレットには次の例が載っています。

事業年度が終わる時期 公表の期限の目安
令和8年4月末 おおむね令和8年7月末まで
令和8年12月末 おおむね令和9年3月末まで
令和9年3月末 おおむね令和9年6月末まで

その後も、おおむね1年に1回以上、最新の数値を公表します。3月決算の会社なら、いま進んでいる事業年度の実績が初回の対象です。年度末になってから賃金台帳を集め直すより、今のうちに区分の分け方と人員数の数え方を決めておくほうが、作業は軽く済みます。

男女間賃金差異の計算表

計算そのものは割り算が2回です。時間がかかるのは、誰をどの区分に入れるか、どの手当を賃金に含めるかを決める部分です。

賃金台帳と源泉徴収簿から賃金総額を出し、人員数で割って平均年間賃金を求め、女性÷男性×100を小数点第1位まで出す流れ図
賃金台帳から男女間賃金差異を出すまでの流れ

使う資料は賃金台帳と源泉徴収簿

厚生労働省の算出方法では、賃金台帳、源泉徴収簿等を基に計算するとされています。原則として直近の事業年度の賃金総額を使います。給与ソフトから年間の支給額を男女別・雇用区分別に書き出せるなら、それが出発点になります。

計算の手順

  1. 「全ての労働者」「正規雇用労働者」「パート・有期労働者」の3区分それぞれで、男女別に事業年度の賃金総額を出す
  2. それぞれの賃金総額を、その区分の人員数で割り、男女別の平均年間賃金を出す
  3. 女性の平均年間賃金を男性の平均年間賃金で割って100を掛ける
  4. 小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位まで表示する

算出方法には「男女で算出方法を異なるものとしてはならない」と書かれています。男性は月末在籍者、女性は年間平均、のように数え方が分かれると、数字の意味がなくなります。

記入表

下の表を表計算ソフトに写し、空欄に数字を入れれば、右端の列が公表する値になります。平均年間賃金と男女間賃金差異の列は、手で計算せず式で出すと検算が楽です。

区分 男性の賃金総額 男性の人員数 男性の平均年間賃金 女性の賃金総額 女性の人員数 女性の平均年間賃金 男女間賃金差異
全ての労働者 (記入) (記入) 賃金総額÷人員数 (記入) (記入) 賃金総額÷人員数 女性÷男性×100
うち正規雇用労働者 (記入) (記入) 賃金総額÷人員数 (記入) (記入) 賃金総額÷人員数 女性÷男性×100
うちパート・有期労働者 (記入) (記入) 賃金総額÷人員数 (記入) (記入) 賃金総額÷人員数 女性÷男性×100

男女とも非正規雇用労働者がいない会社や、片方の性別の非正規雇用労働者がいない会社は、その区分に「-」を記します。

「賃金」と「人員数」の決め方

公表した数字は、翌年以降も同じ方法で出し続けます。最初に決めたルールが毎年の作業になるので、ここは社内で一度文書にしておくと後が楽です。

労働基準法第11条の賃金には賃金、給料、手当、賞与が入り、退職手当と通勤手当等は男女で共通の扱いにすれば外してよいことを示した図
賃金に入れるものと、外してよいもの

賃金に入れるもの・外してよいもの

算出方法でいう「賃金」は、労働基準法第11条の賃金です。賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として支払う全てのものを含みます。賞与も入ります。

退職手当と通勤手当等は、会社の判断で賃金から外して構いません。ただし外す扱いは男女で共通にします。所得税法の給与所得はこの賃金の扱いに合う、とも書かれているので、源泉徴収簿の数字を使う場合の目安になります。外した手当は、公表のときに名称を書き添えるのが望ましいとされています。

人員数の数え方

人員数は、男女で異なる数え方をしないこと、初回から一貫した方法を使うこと、変えるときは変えた旨と理由を明らかにすること、が求められています。

方法の一つとして示されているのが、事業年度の期首から期末までの連続する12か月の特定の日(給与支払日や月の末日など)の人数の平均です。年の途中で入った人や辞めた人は、勤務した月数に応じて換算されます。パート労働者は、正規雇用労働者の所定労働時間を参考に人員数を換算しても構いません。換算した場合は、その旨を注記します。

区分の呼び方

公表するときは「非正規雇用労働者」という呼び方にする必要はなく、「パート・有期社員」などと書いて構いません。自社の呼称でどの人がどの区分に入るのかを、注記で添えておくと読み手に伝わります。

静岡県の男女の賃金の差を統計で見る

自社の数字を出す前に、県内の水準を知っておくと、社内で説明するときの物差しになります。使うのは静岡労働局が毎年まとめる「静岡県における賃金事情」(令和8年5月)で、中身は厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査の静岡県分です。

県の数字は一般労働者の6月分の所定内給与額、自社の数字は全ての労働者を含む事業年度の賃金総額で計算することを左右に並べた比較図
県の数字と自社の数字は計算の前提が違う

企業規模別の早見表

冊子の第1表から、産業計の所定内給与額と年間賞与その他特別給与額を男女で並べました。単位は千円です。右の割合は、女性の値を男性の値で割って100を掛け、小数点第2位を四捨五入したもので、この記事で計算しました。

企業規模 男性 所定内給与額 女性 所定内給与額 女性÷男性 男性 年間賞与 女性 年間賞与 女性÷男性
10人以上の計 347.3 258.7 74.5% 1,096.5 597.8 54.5%
1,000人以上 385.9 275.5 71.4% 1,583.0 662.0 41.8%
100〜999人 331.0 258.5 78.1% 990.0 619.0 62.5%
10〜99人 325.2 239.8 73.7% 679.5 489.1 72.0%

月々の所定内給与額より、賞与のほうが男女の差が大きく出ています。法律の計算は賞与を含む年間の賃金総額で行うので、賞与の差が大きい会社ほど、公表する数字は月給だけで見たときより低くなりやすいと考えておくとよいでしょう。同じ表の企業規模計では、平均の勤続年数が男性14.6年、女性10.1年で、この差も賃金の差の背景の一つです。

年次の推移

第4表には、静岡県の男女別の所定内給与額が年ごとに載っています。主な年を抜き出し、同じ方法で割合を出しました。

年 男性 所定内給与額(千円) 女性 所定内給与額(千円) 女性÷男性
平成8年 317.8 205.2 64.6%
令和元年 315.4 231.8 73.5%
令和4年 323.4 241.1 74.6%
令和5年 332.5 251.4 75.6%
令和6年 343.3 251.1 73.1%
令和7年 347.3 258.7 74.5%

平成8年からの約30年で差は縮まっていますが、ここ数年は73〜75%台を行き来しています。なお冊子の注記にあるとおり、令和2年から推計方法が変わっているので、それより前の年と並べるときは目安として扱ってください。

業種で見ると(製造業・卸売業小売業)

製造業の多い静岡県では、業種別の値も確かめておきたいところです。第1表の業種別のページから、企業規模計の値を抜き出しました。

業種 男性 所定内給与額 女性 所定内給与額 女性÷男性 男性 年間賞与 女性 年間賞与 女性÷男性
製造業 344.1 243.2 70.7% 1,211.2 606.7 50.1%
卸売業,小売業 362.7 237.7 65.5% 1,084.8 474.5 43.7%

どちらも産業計より差が大きく、賞与では半分前後です。輸送用機械や製紙など、県内の製造業で正規雇用の男性が多い職場では、全ての労働者の区分と正規雇用労働者の区分で、数字の出方が大きく違うことがあります。

県の数字と自社の数字は計算の前提が違う

この冊子の値は、短時間労働者を除いた一般労働者の、6月分の所定内給与額です。賞与は調査年の前年1年間の額です。法律の計算は、自社の事業年度の賃金総額を人員数で割るもので、パート・有期労働者も「全ての労働者」の区分に入ります。

そのため、県の74.5%と自社の数字をそのまま比べて高い・低いを決めることはできません。県の数字は「県内ではこのくらいの差がある」という背景の説明に使い、比べるなら企業規模や業種の近い行を選んでください。

公表表の書き方と載せる場所

数字が出たら、表と注記をそろえて公表します。

公表表を中心に、全ての労働者、うち正規雇用労働者、うちパート・有期労働者の3区分と対象期間の注記、載せる場所の女性の活躍推進企業データベースを配置した図
公表表にそろえる項目と載せる場所

公表のイメージ

厚生労働省の算出方法には、次の形が示されています。

区分 男女間賃金差異(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)
全ての労働者 XX.X%
うち正規雇用労働者 YY.Y%
うちパート・有期労働者 ZZ.Z%

表の外に、対象期間(何年何月何日から何年何月何日までの事業年度か)を必ず注記します。パートの人員数を労働時間で換算した場合は、その旨も必ず注記します。賃金から外した手当の名称や、各区分にどの社員が入るかも書き添えるのが望ましいとされています。

載せる場所

公表先は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」への掲載が最も適切とされています。自社のホームページに載せる方法もあります。求職者が会社を比べるときに見る場所なので、採用ページから辿れる位置に置くと、公表した意味が出ます。

説明欄で背景を書く

数字だけでは、男女の勤続年数や職種の違いなどの事情が伝わりません。算出方法では、事業主が任意で追加の情報を公表する例として、男女間賃金差異の背景事情・要因の説明、勤続年数や役職などの属性をそろえた公表、時系列での公表、差異の縮小に向けた取組の説明などが挙げられています。初回は、少なくとも要因の説明と今後の取組を短く書いておくと、翌年以降の比較もしやすくなります。

生成AIに任せる作業と任せない作業

公表の準備には、計算のほかに文章を書く作業が意外と多くあります。生成AIは、その文章の下書きに向いています。

任せてよい作業

  • 説明欄の文案の下書き(勤続年数の差や職種の構成など、社内で確かめた事実を渡して文章にする)
  • 注記の文章の整え(対象期間、除外した手当、区分の呼び方を、読みやすい順に並べ替える)
  • 社内向けの説明資料の構成案(経営会議で何を決める必要があるかの整理)
  • 計算手順のチェックリスト化(この記事の手順を自社の給与ソフトの画面名に置き換える)

任せない作業

  • 社員個人の氏名と賃金が載ったデータを入力すること。個人の賃金は、社外のサービスに入れない情報の代表です。会社としての線引きは静岡の中小企業の生成AI利用ルール|A4一枚で始めるで整理しています
  • 計算そのもの。数字は表計算ソフトで式を残して出し、生成AIの出した値を公表に使わない
  • 差の要因を断定すること。要因は、人事データで確かめたことだけを書く

頼み方の例

あなたは中小企業の人事担当の文章を整える担当です。
以下は当社の男女間賃金差異の公表に添える説明欄の材料です。
材料にない事実や数字は書かないでください。

・対象期間:〇年〇月〇日〜〇年〇月〇日の事業年度
・全ての労働者の男女間賃金差異:〇〇.〇%
・正規雇用労働者の平均勤続年数:男性〇年、女性〇年
・管理職(課長級以上)に占める女性の割合:〇〇.〇%
・今後の取組:〇〇〇

この材料から、求職者が読む前提で、300字以内の説明文を作ってください。
最後に、材料から読み取れないため人が確認すべき点を箇条書きで挙げてください。

〇の部分は、表計算で出した値を人が入れます。出てきた文章は、数字が材料と一字一句同じかを必ず見比べてください。

静岡県内の相談先

届出と公表の決まりは静岡労働局

届出や公表の決まりで迷ったときは、厚生労働省の都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が窓口です。静岡県では静岡労働局になります。

県のアドバイザー派遣(令和8年度)

行動計画づくりや、えるぼし・くるみん認定を目指す取組には、県の「令和8年度 ダイバーシティ経営導入推進アドバイザー派遣」が使えます。社会保険労務士やキャリアコンサルタントなどのアドバイザーが訪問し、派遣料と交通費は無料です。

項目 内容
申込み条件 静岡県内に本社のある中小企業(常時雇用する労働者数300人以下)
新規取組企業支援コース 一般事業主行動計画をまだ作っていない企業向け。女性活躍推進法の行動計画を初めて策定する場合は、努力義務となる100人以下の企業が対象
ステップアップ企業支援コース 行動計画を届け出済みの企業向け。運用の見直しや、えるぼし・くるみん認定の取得に向けた助言
訪問回数 2回(1訪問1時間程度)。希望によりオンラインも可
締切 限定社数に達した時点で締切

チラシでは、認定のメリットとして公共調達での加点評価、日本政策金融公庫の低利融資、人材の確保と定着が挙げられています。101〜300人で計画を届け出済みの会社なら、ステップアップ企業支援コースの対象になります。

まとめ

2026年4月から、101人以上の会社は男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が義務になりました。計算は3区分×男女の平均年間賃金を出して割るだけですが、賃金に何を含めるか、人員数をどう数えるかを最初に決めることが大事です。静岡県の統計では所定内給与額の男女の差は74.5%(この記事で計算)、賞与では54.5%と差が開きます。県の数字は背景の説明に使い、自社の数字は記入表で出し、注記と説明欄までそろえて公表してください。

よくある質問

Q. 従業員100人以下の会社も公表しなければいけませんか。

100人以下の企業は努力義務です。県のアドバイザー派遣の新規取組企業支援コースは、この努力義務の100人以下の企業が行動計画を初めて作る場合を対象にしています。

Q. 賞与は賃金に入れますか。

入れます。算出方法でいう賃金は労働基準法第11条の賃金で、賞与も含みます。外してよいのは退職手当と通勤手当等で、外す場合も男女で同じ扱いにします。

Q. パートの人数は時間で換算してもよいですか。

正規雇用労働者の所定労働時間を参考に換算して構いません。その場合は、労働時間を基に換算している旨を公表の注記に必ず書きます。

Q. 数字が低く出た場合、説明を添えられますか。

添えられます。算出方法では、差異の背景事情・要因の説明や、勤続年数・役職をそろえた数値、縮小に向けた取組の説明を、任意で追加して公表する例が示されています。

Q. 女性管理職比率の「管理職」はどこまで入りますか。

「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」の合計です。リーフレットでは、一般的に「課長代理」や「課長補佐」は課長級に該当しないとされています。

Q. 3月決算の会社の初回はいつですか。

令和9年3月末に事業年度が終わる会社は、おおむね令和9年6月末までに公表します。対象になるのは、いま進んでいる事業年度の実績です。

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参考・出典