この記事の要点
- 2025年の静岡県は、日本人の転出超過が7,919人で全国最多でした(総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」・2026年2月3日公表)。
- この数字は「住民票を他の都道府県へ移した日本人」の1年ぶんの差です。生まれた人・亡くなった人の数は入っていません。
- 県内の動きを月ごとに追うなら、静岡県の推計人口(月報)を見ます。月報は当月20日14時に公表されます。
- 採用計画の資料づくりでは、数字の意味づけは人が決め、文章の下書きを生成AIに任せると早く回ります。
- 社内資料に数字を載せるときは、統計名・対象年・公表日をセットで書きます。
7,919人は何を数えた数字か
総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」では、日本人の転出超過数が静岡県で7,919人となり、都道府県のなかで最も多くなりました。次いで福島県が7,617人、新潟県が6,897人で、40道府県が転出超過です(総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)結果 結果の概要」(2026年2月))。発表日は2026年2月3日で、静岡県内でも報道されました(静岡朝日テレビ「静岡県の転出超過人数7919人 全国最多」)。

この数字に入っているもの・入っていないもの
住民基本台帳人口移動報告は、住民票の異動届をもとに「どこからどこへ移ったか」を集計した統計です。したがって、次の3つの限定がつきます。
ひとつめは、転出超過数として広く報じられる値が「日本人移動者」を対象にしている点です。県内で働く外国人材の増減は、この数字では見えません。ふたつめは、住民票を動かしていない移動が入らない点です。単身赴任や寮住まいで住民票を残している人は、実際には県外で働いていても数に出ません。みっつめは、出生・死亡が含まれない点です。人口の増減は「自然増減(出生・死亡)」と「社会増減(転入・転出)」の合計で決まりますが、この統計が示すのは後半だけです。
「人口が7,919人減った」ではない
社内資料でいちばん起きやすい書き間違いが、この7,919人を「県の人口減少数」として引用してしまうことです。静岡県の人口減少は、これに自然減が加わった規模で進みます。数字を引くときは「日本人の転出超過(2025年)」と条件を残したまま書くと、後から読む人が誤解しません。
男女や年代で差が出る
女性のほうが多い
同じ報告の内訳として、静岡県の転出超過は男性3,562人、女性4,357人と報じられています(静岡朝日テレビ(2026年2月3日))。女性のほうが多いという形は、採用の打ち手を考えるときに効いてきます。

自社の応募者データと並べる
総数だけを見ていると「若い人が減った」で話が終わりますが、男女で差があるなら、募集要項の書き方、勤務時間の選択肢、職場の設備といった具体的な項目に落とし込めます。自社の応募者データと並べて、県全体の傾向と自社の傾向が同じ向きなのか逆なのかを確かめるところから始めると、議論が空中戦になりません。
なお、細かい年齢階級別の数値を資料に載せる場合は、報道の要約ではなく統計表そのもの(e-Stat「住民基本台帳人口移動報告」)で該当の表を確認してから書きます。
国の年報と県の月報を使い分ける
人口の数字には「国が年に一度出すもの」と「県が毎月出すもの」があります。用途が違うので、両方を別々に持っておくと迷いません。

国の年報は方向を決めるときに使う
住民基本台帳人口移動報告は、都道府県どうしを同じ物差しで比べられます。2月に前年ぶんが出るため、翌年度の採用方針や中期計画の前提として使うのに向いています。
県の月報は足元の確認に使う
静岡県の推計人口は、県内の市町ごとの人口と世帯の動きを毎月調べたものです。月報は当月20日14時(20日が土曜日の場合は19日、日曜日の場合は21日)に公表されます(統計センターしずおか「静岡県人口推計」)。「今年に入ってから通勤圏の人口がどう動いたか」のような足元の確認は、こちらが向いています。
静岡市と浜松市は別々に見る
静岡県には政令指定都市が2つあり、東部・中部・西部で産業も通勤圏も違います。県の合計だけで採用の話をすると、浜松の製造業の事情と静岡市の事務系の事情が混ざってしまいます。市町別の数字が取れる県の月報を使い、自社の通勤圏にあたる市町だけを抜き出して見るほうが、現場の実感と合います。
採用計画に落とす早見表
見る数字と入手先を固定する
会議資料のために毎回ゼロから探すと時間がかかるので、見る数字と入手先を固定してしまいます。
| 見る数字 | どこで見るか | 更新の間隔 | 採用計画での使い道 |
|---|---|---|---|
| 県全体の転出超過(日本人) | 総務省統計局・e-Stat | 年1回(2月) | 翌年度の募集人数を決める前提 |
| 男女別の転出超過 | 総務省統計局・e-Stat | 年1回(2月) | 募集要項と勤務条件の見直しの順番 |
| 市町別の人口と社会増減 | 静岡県人口推計(月報) | 毎月20日14時 | 通勤圏の採用のしやすさの確認 |
| 高校新卒の求人倍率 | 静岡労働局 | 毎月・年度の節目 | 新卒募集を出す時期の判断 |
更新月が来たら入れ替える
高校新卒の状況は静岡労働局が公表しています(静岡労働局)。この4行だけをスプレッドシートに用意しておき、更新月が来たら数字を入れ替える運用にすると、資料づくりが「探す作業」から「入れ替える作業」に変わります。
生成AIに任せる部分と任せない部分
数字の扱いで生成AIが強いのは、文章の下書きと言い換えです。逆に、どの数字を採用するかの判断は人が持ったままにします。

任せてよい仕事
確定した数値と条件を渡したうえで、「この内容を経営会議用に5行でまとめて」「同じ内容を現場向けにやさしく書き直して」と頼む使い方です。資料の骨子づくり、議事メモの整形、社内周知文の下書きは、素の状態から書くより短時間で形になります。
プロンプトの例は次のようになります。
次の数字だけを使って、経営会議向けの説明文を5行で書いてください。
・静岡県の日本人の転出超過(2025年):7,919人(全国最多)
・内訳:男性3,562人、女性4,357人
・出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告 2025年結果」2026年2月3日公表
条件:数字を足さない。推測の原因分析を書かない。最後に出典を1行入れる。
任せない仕事
「なぜ転出が増えたのか」という原因の断定と、資料に載せる数値の決定は、生成AIに任せないほうが安全です。統計の名前が似ている数字(推計人口、国勢調査、人口動態統計)は取り違えが起きやすく、もっともらしい文章のまま別の統計の値が混ざることがあります。数値は必ず一次情報の画面と突き合わせ、出典リンクを人が貼ります。
社内資料に数字を載せるときの書き方
同じ7,919人でも、書き方ひとつで後の使い回しやすさが変わります。社内で形をそろえておくと、翌年の更新が楽になります。

最低限そろえたいのは、統計名・対象年・公表日・対象(日本人か、外国人を含むか)の4点です。たとえば「総務省統計局『住民基本台帳人口移動報告 2025年結果』(2026年2月3日公表)/日本人移動者」と脚注に置きます。これがあれば、翌年に数字を入れ替えるとき、どのページのどの表を見ればよいかが一目で分かります。
グラフを付ける場合も、軸の単位と対象年を図の中に入れておきます。社外に出す資料では、出典のページへのリンクをあわせて示すと、受け取った側が確認できます。
よくある質問
Q. 転出超過が全国最多だと、採用は無理ということですか。
A. そうは言えません。転出超過は住民票の移動の差を示した数字で、県内で働く人がいなくなったという意味ではありません。自社の通勤圏の数字と、応募が実際に来ている職種を分けて見る必要があります。
Q. 外国人材の動きはこの数字に入りますか。
A. 転出超過数として広く報じられる値は日本人移動者が対象です。外国人を含む集計は別に公表されているため、在留外国人の動きを見るときは対象の区分を確かめてから引用します。
Q. 市町ごとの数字はどこで手に入りますか。
A. 静岡県の推計人口(月報)で市町別に公表されています。当月20日14時の公表なので、月次の会議資料に組み込みやすい間隔です。
Q. 生成AIに統計の数字を調べさせてもよいですか。
A. 調べ物の入口として使うのは構いませんが、資料に載せる値は一次情報の画面で確認してください。統計名が似ている別の調査の値が混ざることがあります。
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