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静岡県の70歳就業確保の早見表|高年齢者雇用状況の読み方

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静岡県の70歳就業確保の早見表|高年齢者雇用状況の読み方

この記事の要点

静岡労働局が令和7年12月19日に公表した「高年齢者雇用状況等報告」(令和7年6月1日現在)によると、静岡県で70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は34.9%で、前年から2.3ポイント増えました。65歳までの高年齢者雇用確保措置は99.8%の企業が実施済みで、65歳以上を定年とする企業(定年制の廃止を含む)は31.8%です(静岡労働局「令和7年『高年齢者雇用状況等報告』の集計結果」(令和7年12月19日))。集計の対象は、常時雇用する労働者が21人以上の県内企業7,016社です。この記事では、規模別・措置別・定年年齢別の数字を早見表にし、静岡県の就業構造基本調査の結果で60歳以上の働き方を確かめたうえで、制度の見直しを書類にするときの生成AIの分担と、県内の無料の相談先をまとめます。

高年齢者雇用状況等報告は何を数えた数字か

早見表を読む前に、この報告が「何を」「いつ時点で」「どの会社から」集めた数字なのかを押さえておきます。ここを取り違えると、自社と比べるときに意味がずれます。

下の段に65歳までの高年齢者雇用確保措置(義務)として定年制の廃止・定年の引上げ・継続雇用制度の導入、上の段に70歳までの高年齢者就業確保措置(努力義務)として創業支援等措置を加えた2段の図
65歳までの義務と70歳までの努力義務

6月1日現在の状況を21人以上の企業が報告する

静岡労働局の集計は、常時雇用する労働者が21人以上の企業7,016社からの報告に基づき、令和7年6月1日時点の企業の実施状況をまとめたものです。内訳は、中小企業(21〜300人規模)が6,624社、大企業(301人以上規模)が392社でした。報告書用紙を送った企業は7,605社です。20人以下の会社はこの集計に入っていないので、小さな会社が自社と比べるときは「21〜30人」の行を見るのが近い使い方になります。

65歳までは義務、70歳までは努力義務

高年齢者雇用安定法は、65歳までの安定した雇用を確保するため、「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じることを事業主に義務付けています。

70歳までについては、同じ3つの雇用による措置に加えて、「業務委託契約を締結する制度の導入」「社会貢献事業に従事できる制度の導入」という雇用以外の措置(創業支援等措置)も選べます。こちらは事業主の努力義務です。報告書は、措置を実施していない企業に対して、労働局とハローワークが指導や助言をしていくとしています。

なお、継続雇用制度の対象者を労使協定の基準で限定できる経過措置は令和7年3月31日で終わり、令和7年度からは「希望者全員」の65歳までの雇用確保が全面的に義務になっています。

静岡県の70歳就業確保の早見表

まず、報告書の「集計結果の主なポイント」を1つの表にまとめます。[ ]の中は前年(令和6年6月1日現在)との差です。

報告した企業全体に対する割合を中心に、定年制の廃止4.0%、定年の引上げ(70歳以上の定年)2.4%、継続雇用制度の導入(上限70歳以上)28.5%、創業支援等措置の導入0.1%を放射状に置いた図
70歳までの就業確保措置の中身(報告した企業全体に対する割合)
項目 静岡県の値 前年との差
65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業 99.8% 変動なし
70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業 34.9% 2.3ポイント増加
65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む) 31.8% 2.0ポイント増加

出典:静岡労働局「令和7年『高年齢者雇用状況等報告』の集計結果」

規模別に見ると小さな会社のほうが実施率が高い

70歳までの就業確保措置の実施率を規模別に並べると、次のとおりです(同報告書の表4-1)。

企業規模 令和7年 令和6年
21人以上 総計 34.9% 32.6%
21〜300人 35.3% 33.1%
21〜30人 36.0% 34.3%
31〜300人 35.0% 32.6%
301人以上 27.3% 25.1%

301人以上の大企業は27.3%で、中小企業の35.3%より低い値です。「70歳まで働ける会社は大企業から広がる」と思い込んでいると、取引先や同業の中小企業の動きを読み違えます。採用や定着の場面で比べられる相手は、規模の近い県内の会社です。

実施済みの中身は継続雇用制度が大半

実施済みの2,447社を措置の中身で分けると、報告した企業全体に対する割合は次のとおりです(同報告書の表4-2)。

措置の中身 企業数 報告した企業全体に対する割合
定年制の廃止 280社 4.0%
定年の引上げ(70歳以上の定年) 166社 2.4%
継続雇用制度の導入(上限70歳以上) 1,998社 28.5%
創業支援等措置の導入 3社 0.1%
未実施 4,569社 65.1%

実施済みの会社の多くは、定年はそのままにして、継続雇用制度の上限年齢を70歳以上にしています。業務委託契約や社会貢献事業といった創業支援等措置は3社にとどまります。報告書は小数点第2位以下を四捨五入しているため、内訳を足しても合計と一致しない場合があると注記しています。

定年年齢の分布を読む

70歳までの措置を考える前提として、県内企業の定年が何歳なのかを確かめます。数字はいずれも静岡労働局「令和7年『高年齢者雇用状況等報告』の集計結果」の表5と表6によるものです。

60歳定年65.1%、65歳定年24.5%、定年制の廃止4.0%、70歳以上定年2.4%の4区分を、横一列の箱に割合のタグを添えて並べた図
県内企業の定年の状況(主な4区分)
定年の状況 企業数 割合
定年制の廃止 280社 4.0%
60歳 4,569社 65.1%
61歳〜64歳 214社 3.1%
65歳 1,717社 24.5%
66〜69歳 70社 1.0%
70歳以上 166社 2.4%

出典:静岡労働局「令和7年『高年齢者雇用状況等報告』の集計結果」(表5)

6割以上はまだ60歳定年

定年を60歳とする企業は65.1%で、前年から2.1ポイント減りました。65歳定年は24.5%で、前年から1.8ポイント増えています。65歳までの雇用確保措置の内訳でも、「継続雇用制度の導入」が68.1%(2.0ポイント減少)、「定年の引上げ」が27.9%(1.9ポイント増加)でした(同報告書)。60歳定年と継続雇用の組み合わせが今も主流で、少しずつ定年そのものを引き上げる会社が増えている、という読み方になります。

65歳以上定年は21〜30人の会社で37.6%

65歳以上定年企業(定年制の廃止を含む)の割合は、21〜30人で37.6%、31〜300人で30.5%、301人以上で20.4%でした(同報告書)。ここでも規模の小さな会社のほうが高い値です。

継続雇用制度で65歳までの雇用を確保している会社4,770社のうち、継続雇用先が「自社のみ」の会社は94.9%でした。301人以上では78.2%で、子会社や関連会社を継続雇用先に含める会社が一定数あります(同報告書)。中小企業では、定年後も同じ職場で働き続ける形が基本だと考えてよさそうです。

全国・近隣県と比べる

報告書の表7には都道府県別の状況が載っています。

都道府県別の表

70歳までの就業確保措置の実施率を、静岡県と全国、近隣の県で並べます。

都道府県 報告した企業数 70歳までの就業確保措置実施済企業割合(令和7年) 令和6年
静岡 7,016社 34.9% 32.6%
全国計 237,739社 34.8% 31.9%
愛知 14,324社 35.5% 32.6%
神奈川 11,258社 32.2% 29.9%
山梨 1,552社 32.5% 30.0%
長野 4,107社 39.4% 36.2%
岐阜 4,022社 38.8% 35.9%

出典:静岡労働局「令和7年『高年齢者雇用状況等報告』の集計結果」(表7)

自社と比べるときの物差し

静岡県は全国計とほぼ同じ水準です。隣の愛知県は35.5%、長野県は39.4%、岐阜県は38.8%でした。県内の会社が「うちは遅れているのか」を判断するときは、県全体の34.9%と、規模別の行(21〜30人なら36.0%)の両方を物差しにします。

県の統計で見る60歳以上の働き方

労働局の報告は「会社に制度があるか」の数字です。実際に60歳以上の人がどんな形で働いているかは、静岡県デジタル戦略局統計調査課がまとめた「令和4年就業構造基本調査 静岡県の結果の概要」で確かめられます(静岡県「令和4年就業構造基本調査 静岡県の結果の概要」)。調査時点は令和4年10月1日で、労働局の報告より古い数字である点に注意してください。

男性雇用者の正規の職員・従業員が55〜59歳の81.0%から60〜64歳の41.1%へ、契約社員・嘱託が4.1%から29.1%へ変わることを左右で比べた図
男性雇用者の雇用形態(55〜59歳と60〜64歳)

男性は60歳を境に正規の割合が半分になる

男性雇用者の雇用形態別の割合(同概要の表3)を、55〜59歳、60〜64歳、65歳以上で並べます。

男性雇用者 会社などの役員 正規の職員・従業員 パート アルバイト 契約社員・嘱託
55〜59歳 8.9% 81.0% 2.5% 1.5% 4.1%
60〜64歳 12.0% 41.1% 10.2% 3.5% 29.1%
65歳以上 20.9% 19.0% 20.7% 14.5% 17.8%

出典:静岡県「令和4年就業構造基本調査 静岡県の結果の概要」(表3)

55〜59歳で81.0%だった「正規の職員・従業員」は、60〜64歳で41.1%になり、「契約社員・嘱託」が4.1%から29.1%に増えます。60歳定年のあとに嘱託などで継続雇用される働き方が、県の統計にもそのまま表れています。

女性はパートが中心、自営業主は65歳以上が43.2%

女性雇用者では、60〜64歳の49.2%、65歳以上の52.9%がパートでした。正規の職員・従業員は60〜64歳で26.7%、65歳以上で15.9%です。

また、県内の自営業主16万人のうち65歳以上が43.2%、家族従業者2万3千人のうち65歳以上が53.3%を占めます(同概要)。商店や町工場、農業では、70歳を過ぎても経営や現場を支えている人が多いことがわかります。有業率は男性が60歳以上で前回調査より0.8〜6.3ポイント、女性が60歳以上で0.8〜6.8ポイント上がっています。

自社の状況を書き出す記入表

県や全国の数字と比べる前に、自社の状況を1枚に書き出します。

記入する8項目

次の表は、社内の検討会や社会保険労務士への相談の前に埋めておくと話が早くなる項目です。

項目 自社の記入欄 確かめる資料
定年年齢   就業規則
継続雇用制度の上限年齢   就業規則・再雇用規程
継続雇用先(自社のみか)   再雇用規程
60歳以上の社員の人数   社員名簿
5年以内に60歳を迎える社員の人数   社員名簿
5年以内に65歳を迎える社員の人数   社員名簿
60歳以降の雇用形態と賃金の決め方   再雇用時の労働条件通知書
70歳までの措置で検討する案   社内の検討メモ

早見表と並べる

記入した表を、早見表の「21〜30人」「31〜300人」など自社に近い規模の行と並べると、自社が県内のどのあたりにいるかが見えます。人数の欄は、そのまま人員フロー(何年後に何人が定年や上限年齢を迎えるか)の下書きにも使えます。

生成AIに任せる書く仕事、任せない判断

制度を見直すと、就業規則の改定案、社員向けの説明文、面談の質問票など、書く仕事が一度に増えます。ここは生成AIで下書きを作ると負担が軽くなる部分です。一方で、定年年齢や上限年齢、賃金の決め方は会社が決めることで、生成AIに決めさせる部分ではありません。

記入表を作る、生成AIで下書き、社労士・労働局に確認、社内に説明の4段階を左から右へ矢印でつなぎ、生成AIで下書きの下に就業規則の改定案と社員向け説明文を添えた図
下書きから社内に出すまでの流れ

任せてよい下書き

  • 就業規則の現行条文と改定案を並べた比較表の下書き
  • 継続雇用制度の上限年齢を引き上げる場合の、社員向け説明文の下書き
  • 60歳を迎える社員との面談で使う質問票の案(働き方の希望、体力面の配慮、引き継ぎたい技能など)
  • ベテラン社員の作業を手順書に起こすときの構成案

技能の引き継ぎは、70歳までの就業確保とあわせて進めると効果が出やすい作業です。手順書の作り方はベテランの技能を手順書に残す生成AIの使い方で扱っています。

入力しない情報

社員個人の氏名、生年月日、健康状態、賃金、評価は、生成AIに入力しません。記入表の人数欄のように、個人が特定されない形に置き換えてから使います。社内で使ってよい生成AIの範囲を決めていない場合は、先に静岡の中小企業の生成AI利用ルールを決めておきます。

指示の例

あなたは中小企業の人事担当の補助です。
次の条件で、継続雇用制度の上限年齢を65歳から70歳に引き上げる場合の
社員向け説明文の下書きを作ってください。

・対象:60歳で定年を迎えたあと、継続雇用で働く社員
・伝えること:上限年齢の変更、変更する理由、申し出の方法、相談窓口
・書かないこと:賃金や労働条件の具体的な数字(社内で決定後に追記する)
・文体:です・ます調、A4一枚に収まる長さ

法律の解釈や、労働条件を決める判断は書かず、
確認が必要な箇所は【要確認】と書いてください。

下書きから社内に出すまでの流れ

作業は「記入表を作る」→「生成AIで下書き」→「社労士・労働局に確認」→「社内に説明」の順に進めます。生成AIの下書きは、法令の条文や最新の制度に合っているとは限りません。就業規則の改定や労働条件の変更は、社会保険労務士や下で紹介する相談先に確認してから社内に出します。

静岡県内の相談先

70歳までの就業確保措置の検討は、県内の公的な窓口に無料で相談できます。

高齢・障害・求職者雇用支援機構 静岡支部

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)は、70歳雇用推進プランナー・高年齢者雇用アドバイザーを都道府県支部を窓口として置いています。企業を訪問して、70歳までの継続雇用延長や定年引上げなどの制度改善提案と、継続雇用に必要な雇用環境の整備に関する相談・助言を無料で行っています(高齢・障害・求職者雇用支援機構「70歳雇用推進プランナー等による相談・援助」)。県内の窓口は静岡支部で、静岡市の案内ページでは所在地を静岡市駿河区登呂3-1-35(ポリテクセンター静岡内)としています。

静岡労働局とハローワーク

高年齢者雇用状況等報告の集計は静岡労働局職業安定部職業対策課が担当しています。報告書は、措置を実施していない企業に対して労働局とハローワークが指導や助言を行うとしており、制度の届け出や報告の書き方で迷ったときの確認先になります。

市の窓口

静岡市は「シニア世代の方への雇用支援」のページで、JEED静岡支部の案内、70歳雇用推進マニュアル・65歳超雇用推進事例集の案内、シニア向け就労サポート窓口「NEXTワークしずおか」(静岡市役所静岡庁舎2階)を紹介しています(静岡市「シニア世代の方への雇用支援」(更新日2026年5月8日))。同じページでは、60歳以上の人をハローワークなどの紹介で雇い入れる事業主向けの特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)も案内しています。支給には要件の審査があり、該当するかは窓口で確かめてください。浜松市など、ほかの市町の窓口は各市町の案内で確かめてください。

まとめ

  • 静岡県で70歳までの就業確保措置を実施済みの企業は34.9%(令和7年6月1日現在・21人以上の企業7,016社)。全国計は34.8%
  • 中小企業は35.3%、大企業は27.3%。21〜30人の会社では36.0%で、規模の小さな会社のほうが実施率が高い
  • 実施済みの中身は継続雇用制度の導入(上限70歳以上)が28.5%で大半。定年を60歳とする企業は65.1%
  • 県の統計では、男性の正規の割合は55〜59歳の81.0%から60〜64歳の41.1%に下がり、契約社員・嘱託が29.1%に増える
  • 改定案や説明文の下書きは生成AIに任せ、年齢や賃金の決定は会社が行い、JEED静岡支部などに無料で相談できる

よくある質問

Q. 70歳までの就業確保は義務ですか。

A. 65歳までの高年齢者雇用確保措置は義務ですが、70歳までの高年齢者就業確保措置は事業主の努力義務です。措置には、定年制の廃止、定年の引上げ、継続雇用制度の導入に加えて、業務委託契約や社会貢献事業に従事できる制度の導入(創業支援等措置)も含まれます。

Q. 静岡県の数字はいつ時点のものですか。

A. 静岡労働局が令和7年12月19日に公表した「高年齢者雇用状況等報告」の集計で、令和7年6月1日現在の状況です。常時雇用する労働者が21人以上の県内企業7,016社の報告に基づいています。

Q. 従業員20人以下の会社も比べられますか。

A. この集計は21人以上の企業の報告に基づくため、20人以下の会社の状況は数字に入っていません。比べる場合は、規模が最も近い「21〜30人」の行(70歳までの措置の実施率36.0%、65歳以上定年37.6%)を目安にします。

Q. 就業規則の改定案を生成AIに作らせてもよいですか。

A. 現行条文と改定案の比較表や、社員向け説明文の下書きには使えます。ただし、定年年齢や上限年齢、賃金の決め方は会社が決めることで、改定内容は社会保険労務士や公的な相談先に確認してから社内に出してください。社員個人の氏名や健康状態、賃金は入力しません。

Q. 県内で無料で相談できる先はありますか。

A. 高齢・障害・求職者雇用支援機構の静岡支部が窓口となり、70歳雇用推進プランナー・高年齢者雇用アドバイザーが制度改善提案や相談・助言を無料で行っています。

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参考・出典