この記事の要点
静岡県の35市町で、住民税の所得割を納める人1人当たりの課税対象所得がもっとも高いのは長泉町の432.9万円、もっとも低いのは西伊豆町の255.2万円です。35市町の合計から計算した県平均は352.9万円で、全国の市区町村の合計から計算した387.5万円を下回ります。どれも総務省「令和7年度 市町村税課税状況等の調」(2026年7月31日掲載)の市町村別データから、この記事で計算した値です。
この記事では、35市町の早見表、年収や県民所得との違い、静岡市と浜松市の比べ方、事業での使い方、生成AIに任せる作業をまとめます。
早見表:静岡県35市町の1人当たり課税対象所得
この表の作り方
総務省の第11表(課税標準額段階別の所得割額等に関する調)の市町村別データから静岡県の35市町を取り出し、「課税対象所得」を「所得割の納税義務者数」で割りました(総務省「令和7年度 市町村税課税状況等の調」第11表 市町村別データ(Excel))。令和7年度の住民税は、主に令和6年中の所得をもとに課税されています。
万円の小数第1位までに四捨五入し、順位は四捨五入の前の値で付けました。右の列は、株式や土地・建物の譲渡などの分離課税の所得を除いた「総所得金額等」で同じ計算をした値と、その順位です。2026年10月7日に取得したデータを使った独自集計です。
35市町の早見表
| 順位 | 市町 | 1人当たり課税対象所得 | 所得割の納税義務者数 | 総所得金額等で見た1人当たり(順位) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 長泉町 | 432.9万円 | 22,941人 | 415.0万円(1位) |
| 2 | 三島市 | 381.6万円 | 53,930人 | 366.8万円(2位) |
| 3 | 熱海市 | 379.4万円 | 16,626人 | 323.7万円(15位) |
| 4 | 静岡市 | 376.6万円 | 346,702人 | 350.7万円(4位) |
| 5 | 浜松市 | 370.1万円 | 406,294人 | 353.4万円(3位) |
| 6 | 清水町 | 355.9万円 | 16,511人 | 345.3万円(5位) |
| 7 | 磐田市 | 351.8万円 | 87,611人 | 330.7万円(12位) |
| 8 | 裾野市 | 351.7万円 | 25,619人 | 342.9万円(6位) |
| 9 | 御殿場市 | 351.3万円 | 46,776人 | 341.5万円(7位) |
| 10 | 沼津市 | 348.8万円 | 95,524人 | 334.2万円(10位) |
| 11 | 富士市 | 346.7万円 | 129,267人 | 338.2万円(8位) |
| 12 | 湖西市 | 346.1万円 | 31,087人 | 335.9万円(9位) |
| 13 | 藤枝市 | 343.2万円 | 71,675人 | 333.2万円(11位) |
| 14 | 掛川市 | 336.6万円 | 60,447人 | 327.9万円(13位) |
| 15 | 袋井市 | 332.7万円 | 46,242人 | 323.5万円(16位) |
| 16 | 富士宮市 | 332.1万円 | 66,443人 | 318.0万円(17位) |
| 17 | 小山町 | 331.7万円 | 9,204人 | 326.2万円(14位) |
| 18 | 函南町 | 329.2万円 | 18,246人 | 311.3万円(20位) |
| 19 | 焼津市 | 324.2万円 | 70,421人 | 316.2万円(18位) |
| 20 | 島田市 | 320.3万円 | 48,409人 | 313.9万円(19位) |
| 21 | 伊豆の国市 | 316.7万円 | 23,182人 | 310.4万円(21位) |
| 22 | 菊川市 | 312.7万円 | 24,807人 | 308.4万円(22位) |
| 23 | 吉田町 | 310.1万円 | 15,840人 | 305.3万円(24位) |
| 24 | 御前崎市 | 310.1万円 | 15,759人 | 305.4万円(23位) |
| 25 | 牧之原市 | 308.7万円 | 21,577人 | 295.6万円(26位) |
| 26 | 森町 | 308.5万円 | 8,543人 | 298.8万円(25位) |
| 27 | 伊東市 | 301.4万円 | 30,270人 | 283.0万円(28位) |
| 28 | 下田市 | 295.2万円 | 8,983人 | 287.4万円(27位) |
| 29 | 伊豆市 | 282.5万円 | 13,771人 | 273.0万円(30位) |
| 30 | 河津町 | 282.1万円 | 2,875人 | 278.8万円(29位) |
| 31 | 東伊豆町 | 269.3万円 | 5,155人 | 257.9万円(33位) |
| 32 | 川根本町 | 266.2万円 | 2,580人 | 263.4万円(31位) |
| 33 | 松崎町 | 266.1万円 | 2,371人 | 262.9万円(32位) |
| 34 | 南伊豆町 | 259.9万円 | 3,068人 | 254.9万円(34位) |
| 35 | 西伊豆町 | 255.2万円 | 2,805人 | 252.7万円(35位) |
県全体(35市町の合計)は、所得割の納税義務者が185万1,561人、課税対象所得が約6兆5,346億円で、1人当たり352.9万円です。
課税対象所得とは何か(年収・県民所得との違い)
順位を見る前に、何を何で割った数字なのかを確かめます。ここを取り違えると、社内資料で「平均年収」と書いてしまう誤りが起きます。

年収ではなく所得
課税対象所得は、住民税の所得割の計算のもとになる所得の合計です。総務省の表では、「総所得金額等」に、土地・建物などの分離課税の譲渡所得、株式等の譲渡所得、上場株式等の配当所得、先物取引の雑所得を足した額になっています。
給与で暮らす人の場合、総所得金額等に入るのは、給与の額面から給与所得控除を引いた「給与所得」です。年金の所得も含まれます。年収そのものではないため、この記事の数字は、求人の年収や「平均年収」の数字より小さく出ます。
納税義務者1人当たりの数字
分母は所得割の納税義務者です。住民の数でも世帯の数でもありません。所得が少なく所得割がかからない人は分母に入らないため、住民1人当たりで見た所得より高めに出ます。平均の値なので、所得の高い人がいる市町ほど引き上げられます。
県民所得との違い
県の「1人当たり県民所得」は、県民経済計算で企業所得や財産所得も含めた県民所得を、総人口で割った数字です。定義も分母も違うので、この記事の数字と並べて比べることはしません。
税率の差ではなく所得の差
1人当たりの課税対象所得の差は、所得の差であって税率の差ではありません。県のまとめでは、令和7年4月1日現在、個人の市町村民税の均等割は35市町とも3,000円です。法人の市町村民税の法人税割は、三島市、富士宮市、焼津市、藤枝市の4市が6.0%と8.2%の2つの税率を定め、ほかの31市町は6.0%です(静岡県総務部市町行財政課「令和7年度 市町村税の状況」(PDF))。
静岡市と浜松市の比べ方
この節の数字は、総務省の統計「令和7年度 市町村税課税状況等の調」第11表(市町村民税)から当サイトが計算した値です。

静岡県の所得の数字は、2つの政令市を並べて読むと全体の形が見えます。2市で、県内の納税義務者の40.7%、課税対象所得の43.0%を占めます(総務省の表から計算)。
合計は浜松市、1人当たりは静岡市
| 項目 | 静岡市 | 浜松市 |
|---|---|---|
| 所得割の納税義務者数 | 346,702人 | 406,294人 |
| 課税対象所得 | 約1兆3,056億円 | 約1兆5,037億円 |
| 1人当たり課税対象所得 | 376.6万円(4位) | 370.1万円(5位) |
| 1人当たり総所得金額等 | 350.7万円(4位) | 353.4万円(3位) |
| 課税対象所得のうち分離課税の所得の割合 | 6.87% | 4.52% |
納税義務者の数と課税対象所得の合計は浜松市が大きく、1人当たりの課税対象所得は静岡市が上回ります。
分離課税の所得を除くと順位が入れ替わる
課税対象所得で比べると静岡市が浜松市を6.5万円上回りますが、分離課税の所得を除いた総所得金額等で比べると、浜松市が静岡市を2.7万円上回ります。静岡市は課税対象所得のうち6.87%が株式や土地・建物の譲渡などの分離課税の所得で、浜松市の4.52%より大きいためです。給与や事業、年金の所得の水準を比べたいときは、総所得金額等の列を使います。
上位と下位の市町の読み方
この節の順位と金額も、総務省の統計「令和7年度 市町村税課税状況等の調」第11表から計算した値で、早見表と同じものです。

35市町の順位は、上位と下位で読み方の注意点が違います。数字が大きく動く理由を、表の中で確かめられる範囲だけ書きます。
上位は長泉町と三島市
長泉町は432.9万円で、総所得金額等でも415.0万円で1位です。2位の三島市(381.6万円)も、総所得金額等で2位(366.8万円)です。分離課税の所得を除いても順位が変わらないため、給与や事業、年金などの所得の水準が高い2市町だと読めます。全国の市区町村の合計から計算した387.5万円を上回るのは、35市町のうち長泉町だけです。
熱海市は分離課税の所得で順位が上がる
熱海市は課税対象所得で3位(379.4万円)ですが、総所得金額等では15位(323.7万円)です。課税対象所得の14.69%が分離課税の所得で、35市町でいちばん大きい割合です。土地・建物や株式の譲渡の所得は年によって大きく変わるため、熱海市のように割合が大きい市町は、前の年度の数字と並べて確かめます。
下位は伊豆半島の4町と川根本町
下位の5つは、西伊豆町(255.2万円)、南伊豆町(259.9万円)、松崎町(266.1万円)、川根本町(266.2万円)、東伊豆町(269.3万円)です。1位の長泉町と35位の西伊豆町の差は1.7倍です。5町とも所得割の納税義務者が2,371人から5,155人と少ないため、少ない人数の所得の変化で数字が動きやすい点に注意します。年齢の構成や働き方などの理由は、この表だけでは分かりません。
全国の中の静岡県
全国と都道府県の値も、同じ総務省の統計の第11表(市町村民税)を合計して計算しています。
35市町の合計から計算した静岡県の1人当たり課税対象所得は352.9万円で、同じ表の全国の市区町村の合計から計算した387.5万円より34.6万円低い値です。都道府県ごとに同じ計算をすると、静岡県は47都道府県で14位でした。1位は東京都、2位は神奈川県、3位は愛知県です。県平均の352.9万円を上回る市町は、長泉町、三島市、熱海市、静岡市、浜松市、清水町の6つです。
事業で使う3つの場面
市町別の所得は、会社の企画や営業の資料でよく引用される数字です。使ってよい場面と、別の統計を使う場面を分けておきます。

商圏と出店の下調べ
店や営業所の候補地を比べるとき、市町の所得の水準の目安になります。ただし人口の多さや増減、地価とは別の数字なので、国勢調査の人口(国勢調査2025の静岡県の数字|9月29日公表分の使い方)、人口の移動(静岡県の人口移動の読み方と早見表|採用計画を生成AIで下書き)、地価(静岡県の基準地価の読み方|地価調査2026の早見表)と並べて見ます。
賃金の水準は賃金の統計で見る
課税対象所得には年金や譲渡の所得も入るため、自社の賃金が地域で高いか低いかを判断する材料には向きません。賃金を比べるときは、毎月勤労統計などの賃金の統計を使います(静岡の賃金と残業を県平均と比べる|毎月勤労統計と生成AI)。
社内資料に引用するときの書き方
数字を引用するときは、出典・年度・定義を1行で添えます。たとえば「1人当たり課税対象所得(所得割の納税義務者1人当たり・令和7年度)。総務省『令和7年度 市町村税課税状況等の調』から当社で計算」と書きます。「平均年収」と書き換えると、読み手は額面の年収と受け取るため、誤解のもとになります。
生成AIに任せる作業、任せない判断
統計の仕事でも、手順の説明や文章の下書きは生成AIで速くなります。数字そのものと、理由の判断は任せません。

任せてよい作業
- 総務省のExcelから静岡県の行だけを取り出し、1人当たりの値を計算する手順と、Excelの数式を説明させる
- 計算した表を貼り、比べたい市町の社内メモの文章を下書きさせる
- 出典と定義の注記の文案を作らせる
任せない判断
- 数字の転記と計算そのもの。計算はExcelで行い、生成AIが書いた数字は元の表と1つずつ照合する
- 差の理由の断定。「高齢化のため」「大きな工場があるため」といった理由づけは、この表からは言えない
- 出店や賃金の判断そのもの
指示の例
あなたは静岡県の中小企業の企画担当を手伝うアシスタントです。 下の表は、総務省「令和7年度 市町村税課税状況等の調」から当社で計算した、所得割の納税義務者1人当たりの課税対象所得です。 (ここに比べたい市町の行を貼る) この表の数字だけを使って、市町を比べる社内メモを200字で書いてください。 「年収」「平均年収」という言葉は使わないでください。 差の理由は書かずに、「理由はこの表からは分からない」と書いてください。 最後に出典を1行で書いてください。
公開されている統計なので入力しても問題は小さいですが、自社の売上や出店の候補地を一緒に入れる場合は、入力してよい範囲を社内の生成AI利用ルールで先に決めておきます(静岡の中小企業の生成AI利用ルール|A4一枚で始める)。
まとめ
- 静岡県35市町の1人当たり課税対象所得(令和7年度)は、1位が長泉町の432.9万円、35位が西伊豆町の255.2万円です。
- 35市町の合計から計算した県平均は352.9万円で、全国の387.5万円を下回り、47都道府県で14位です。
- 課税対象所得は年収ではなく、分離課税の譲渡所得なども含む所得で、分母は所得割の納税義務者です。
- 静岡市と浜松市は、課税対象所得では静岡市、総所得金額等では浜松市が上になります。
- 熱海市のように分離課税の所得の割合が大きい市町は、前の年度の数字と並べて確かめます。
よくある質問
Q. 静岡県で1人当たりの所得がいちばん高い市町はどこですか。
A. 総務省「令和7年度 市町村税課税状況等の調」から計算した、所得割の納税義務者1人当たりの課税対象所得では、長泉町の432.9万円が1位です。2位は三島市の381.6万円、3位は熱海市の379.4万円です。
Q. 静岡県の平均はいくらですか。
A. 35市町の合計から計算すると352.9万円です。同じ表の全国の市区町村の合計から計算した値は387.5万円です。
Q. 課税対象所得は平均年収と同じですか。
A. 違います。給与の場合は給与所得控除を引いた後の所得で、年金や株式・土地の譲渡などの所得も含みます。分母も所得割の納税義務者で、働く人全員ではありません。
Q. 住民税が安い市町はありますか。
A. この記事の順位は所得の差で、税率の差ではありません。県のまとめ(令和7年4月1日現在)では、個人の市町村民税の均等割は35市町とも3,000円です。所得割の税率は、住んでいる市町のページで確かめてください。
Q. 静岡市と浜松市はどちらが高いですか。
A. 課税対象所得では静岡市(376.6万円)が浜松市(370.1万円)を上回り、分離課税の所得を除いた総所得金額等では浜松市(353.4万円)が静岡市(350.7万円)を上回ります。
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