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静岡県景気動向指数の読み方|自社の景況メモを生成AIで

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静岡県景気動向指数の読み方|自社の景況メモを生成AIで

「来期の受注、どう見ておけばいいか」。経営会議でこの話になったとき、根拠として出てくるのはたいてい直近の引き合い件数と、営業担当の肌感です。悪くはないのですが、金融機関に事業計画を説明する場面や、設備投資の判断をする場面では、社外の人にも通じる材料が要ります。

静岡県は、県内の景気の方向を示す指数を毎月出しています。景気動向指数です。全国のニュースで流れる内閣府の景気動向指数とは別に、県が県内のデータから独自に算出しているもので、誰でも無料で見られます。

使われていないのは、PDFと表計算ファイルで置かれているだけで、「自社の話に引き直す」形になっていないからです。この記事では、最新の令和8年6月分を実際に読んだうえで、社内向けの景況メモに落とす手順と、その作業のどこまでを生成AIに任せてよいかを整理します。

この記事の要点

  • 静岡県景気動向指数は、県の統計活用課が毎月公表している。県内の鉱工業指数や毎月勤労統計調査などから算出される、県版の景気指標。
  • 令和8年6月分(2026年9月4日公表)のCI一致指数は117.8で、前月差は4.1ポイントの下降。3か月ぶりの下降だった。一方、3か月後方移動平均は119.4で0.60ポイント上昇し、6か月連続の上昇。
  • 基調判断は「改善を示している」。単月の下降と基調判断は別物として扱う。
  • 一致指数を押し下げたのは鉱工業消費財出荷指数(寄与度マイナス1.47)と鉱工業生産指数(総合)(同マイナス1.00)。プラスは輸入通関実績(清水港分)の0.45のみ。
  • 同じ月の県鉱工業指数でも、生産・出荷ともに輸送機械が低下している。県内の産業構成を踏まえると、自社が輸送機器系かどうかで読み方が変わる。
  • 生成AIに任せるのは「拾った数字を表と文章の形に整える」ところまで。どの指数を採用するか、自社の見通しにどう反映するかは自社で決める。

景気動向指数は県内の景気の方向を示す指標

県の統計活用課が毎月まとめている

静岡県景気動向指数は、県の企画部統計活用課が毎月公表している月報です。県の説明では、静岡県鉱工業指数、毎月勤労統計調査などから算出されるとされています。県内のデータを組み合わせて、県の景気の局面を1つの数字にまとめたもの、と考えてください。

静岡県景気動向指数の3本として、先行指数は景気に先立って動く指標、一致指数は景気とほぼ同時に動く指標、遅行指数は景気に遅れて動く指標であることを三段で示した図
先行・一致・遅行の3本の役割

公表ページには、月報のPDFのほかに「採用系列の前月差及び寄与度」「CI長期系列及び各指標の原数値」の表計算ファイルも並んでいます。数字を自分で並べ直したいときは、表計算ファイルのほうが早いです。

先行・一致・遅行の3本がある

景気動向指数は3本セットで出ます。

  • 先行指数:景気に先立って動く指標を集めたもの。新規求人数、新設住宅着工件数、新車登録・販売台数、企業倒産件数、東証株価指数などが採用系列。
  • 一致指数:景気とほぼ同時に動く指標。鉱工業生産指数、鉱工業消費財出荷指数、第3次産業活動指数、百貨店・スーパー販売額、有効求人数、輸入通関実績(清水港分)、人件費比率(製造業)が採用系列。
  • 遅行指数:景気に遅れて動く指標。

社内で1本だけ見るなら一致指数です。「今どうなっているか」を表すのが一致指数で、先行指数は数か月先の目安、遅行指数は後から確認する材料になります。

なお、指数の作り方にはCI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)の2種類があります。内閣府の景気動向指数の利用の手引では、CIは構成する指標の動きを合成することで景気変動の大きさやテンポ(量感)を、DIは構成する指標のうち改善している指標の割合を算出することで景気の各経済部門への波及の度合い(波及度)を測定することを主な目的とする、と説明されています。県が月報の要旨で扱っているのはCIです。

基準年は令和2年=100

指数の値は、令和2年を100とした水準です。117.8という数字は「令和2年と比べて17.8%高い水準」という意味ではなく、複数の指標を合成した指数の水準なので、水準そのものより前月差と方向を見るほうが実務では使えます。

もう1つ押さえておきたいのが「逆サイクル」です。一致指数の採用系列のうち人件費比率(製造業)は逆サイクルで、指数の前月差がプラスになると一致指数への寄与はマイナスになります。この注記を知らずに表だけ見ると、符号の読み違いが起きます。

令和8年6月分で何が起きたか

県が2026年9月4日に公表した景気動向指数(令和8年6月分)の月報から、主な数字を確認します。

令和8年6月分のCI一致指数は117.8で前月差4.1ポイントの下降、3か月後方移動平均は119.4で6か月連続の上昇と、向きが分かれていることを左右に並べた図
単月の下降と、ならした後の上昇

一致指数は117.8、前月差4.1ポイントの下降

CI一致指数は117.8で、前月差は4.1ポイントの下降でした。3か月ぶりの下降です。前月の5月は121.9、4月は118.5でしたから、4月・5月と上げてきたところで反落した形になります。

一方、3か月後方移動平均は119.4で0.60ポイントの上昇、6か月連続の上昇です。7か月後方移動平均は117.5で0.31ポイントの上昇でした。単月は下がったが、ならしてみると上向きが続いている、という読み方になります。

基調判断は「改善を示している」

月報の要旨では、令和8年6月分の景気動向指数(CI一致指数)の基調判断は「改善を示している」と記されています。単月で4.1ポイント下げていても、判断が変わっていない点は押さえておいてください。

基調判断は、3か月後方移動平均などの動きをもとに機械的に決まります。1か月の上下で書き換わるものではありません。社内資料に「県の景気は悪化している」と書く前に、県が何と判断しているかを確認する。ここを飛ばすと、翌月の公表で説明が引っくり返ります。

先行指数・遅行指数も単月では下降

先行指数は127.8で、前月差0.5ポイントの下降。2か月連続の下降です。ただし3か月後方移動平均は0.20ポイント上昇し、5か月連続の上昇でした。

遅行指数は前月差0.4ポイントの下降で、2か月連続の下降。3か月後方移動平均は0.17ポイントの下降で、こちらは19か月ぶりの下降でした。19か月ぶり、という記述は月報の要旨にそのまま書かれています。長く続いた上昇が一度止まった月、ということです。

3本とも単月では下がった月でした。それでも移動平均は先行・一致がともに上向きを保っている。この食い違いをそのまま資料に書くのが、いちばん誠実な書き方です。

何が指数を押し下げたのか

マイナスの中心は鉱工業の2系列

月報の要旨には、一致指数の前月差に対する個別系列の寄与度が並んでいます。令和8年6月分の内訳は次のとおりです。

寄与度 採用系列 値
プラス 輸入通関実績(清水港分) 0.45
マイナス 鉱工業消費財出荷指数 -1.47
マイナス 鉱工業生産指数(総合) -1.00
マイナス 人件費比率(製造業)(逆サイクル) -0.83
マイナス 百貨店・スーパー販売額 -0.77
マイナス 第3次産業活動指数(総合) -0.23
マイナス 有効求人数(除学卒パート) -0.22

プラス寄与は輸入通関実績(清水港分)の1系列だけでした。マイナスの上位2つはいずれも鉱工業系で、合わせて2.47ポイント分の押し下げです。

「どこが効いたか」まで書くと会議が動く

指数が下がった、だけでは会議は動きません。下がった理由の内訳まで持っていくと、「うちに関係あるのはこの系列か」という話に進みます。

たとえば県内の小売・飲食であれば百貨店・スーパー販売額と第3次産業活動指数、輸送機器のサプライヤーであれば鉱工業生産指数と消費財出荷指数、採用を進めている会社であれば有効求人数、というように、自社に近い系列を1つか2つ選んで追いかけるほうが実務では役に立ちます。

清水港の輸入だけがプラスだった意味

唯一のプラスが清水港の輸入通関実績だった点は、県内向けに説明しやすい材料です。輸入は原材料や部品の入りを映しますから、生産が落ちた月でも仕入れ側は動いていた、という読み方ができます。

ただし単月の通関実績は、船の入港日の並びだけで大きく振れます。この1系列だけを取り出して「県内経済は持ち直している」と書くのは行き過ぎです。寄与度は内訳の説明に使い、結論は一致指数と基調判断で書いてください。

静岡の産業構成に引き直して読む

同じ月の鉱工業指数でも輸送機械が低下している

一致指数を押し下げた鉱工業系の中身は、県の鉱工業指数を見ると具体的になります。県が2026年8月27日に提供した静岡県鉱工業指数(令和8年6月分速報)によると、令和8年6月の鉱工業生産指数(季節調整済・令和2年=100)は97.7で、前月比5.1%減と4か月ぶりに低下しました。前年同月比(原指数)は4.0%増で、2か月ぶりに前年を上回っています。

静岡県鉱工業指数の令和8年6月分速報で、生産指数は前月比5.1%減・前年同月比4.0%増、出荷指数は前月比5.7%減・前年同月比3.1%増であり、輸送機械が生産・出荷の両方で低下したことを示した表形式の図
鉱工業指数は前月比と前年同月比で向きが違う

出荷指数は96.4で、前月比5.7%減と3か月ぶりの低下。前年同月比は3.1%増で、7か月連続して前年を上回りました。

業種別では、生産は汎用・生産用・業務用機械、その他製品、鉄鋼業等が上昇する一方、輸送機械、食料品・たばこ、化学等が低下しています。出荷は非鉄金属、繊維、鉄鋼業等が上昇し、輸送機械、食料品・たばこ、電気機械等が低下しました(概況版)。

生産・出荷の両方で輸送機械が低下側に入っている、というのが6月の特徴です。

輸送機器のサプライヤーは県平均より自業種を見る

静岡県は自動車・二輪を中心とする輸送用機械が製造品出荷額の大きな部分を占め、浜松は二輪産業の発祥地です。県内には富士の製紙、浜松の楽器、焼津・沼津の水産加工といった集積も各地にあります。

つまり、県の一致指数が下がったとき、その下げの一部は輸送機械の動きそのものです。県内の輸送機器サプライヤーが「県の景気が下がった」とだけ社内に伝えると、自社の受注減と二重に数えることになりかねません。県平均の指数と、業種別の生産・出荷指数を分けて見てください。部品系の書類仕事をどこまで軽くできるかは自動車・二輪部品と生成AIにまとめています。

逆に、製紙のように6月の業種別記述に名前が出ていない業種であれば、県全体の指数はあくまで取引先の景況を測る材料として扱うほうが実態に近くなります。紙・パルプ側の文書業務の整理は製紙業の生成AI活用7選で扱っています。

静岡市と浜松市で見える景色が違う

同じ県内でも、静岡市側は第3次産業とプラモデル・食品、浜松市側は輸送用機械と楽器の比重が高く、景況の振れ方が揃いません。県全体の指数を「静岡県の景気」として社内に出すときは、自社の所在地と取引先の所在地のどちらに近い話なのかを1行添えておくと、誤読が減ります。

社内向けの景況メモを作る手順

拾う数字は6つで足りる

毎月やることを増やすと続きません。拾う数字は6つに絞ってください。

  1. CI一致指数の水準と前月差
  2. CI一致指数の3か月後方移動平均と前月差
  3. 基調判断の文言
  4. 先行指数の前月差
  5. 寄与度がプラスの系列とマイナス上位2系列
  6. 鉱工業指数の生産・出荷の前月比と、業種別の上昇・低下業種
景況メモづくりで生成AIに任せてよい工程として比較表の形に整える・文章の下書き・前提の但し書きが通り、自分で決める工程としてどの指数を主役にするか・受注見通しへの反映・設備投資や採用計画の判断が止まることを示した図
下書きに回す工程と自社で決める工程

この6つを1枚に並べれば、経営会議で使う景況メモとしては十分です。

生成AIに任せてよい工程

  • 拾った数字を比較表の形に整える
  • 前月・前々月と並べた3か月分の推移表を作る
  • 指数の動きを説明する文章の下書き
  • 「基準年は令和2年=100」「季節調整済」といった前提の但し書きの定型文
  • 社内向けに、専門用語を短く言い換えた説明の下書き

自分で決める工程

  • どの指数を会議の主役にするか(一致指数か、業種別の鉱工業指数か)
  • 自社の受注見通しにどう反映するか
  • 設備投資・採用計画の判断
  • 社外に出す資料に載せるかどうか

入れない情報

  • 取引先ごとの受注残や単価
  • 未公表の月次業績
  • 個人が特定できる人事情報

生成AIは県の指数の値を持っていません。「静岡県の景気動向指数を調べて」と頼むと、それらしい別の数字が返ってくることがあります。県のPDFから自分で拾った値を渡して、形を整えてもらう。順番はここを崩さないでください。総務・経理側での使い分けは経理・総務・人事の生成AI活用8業務と合わせて決めると早いです。

頼み方の例

次の数字を、経営会議用の景況メモにしてください。表の上に「静岡県景気動向指数 令和8年6月分/基準年 令和2年=100」と1行入れてください。
CI一致指数 117.8(前月差マイナス4.1ポイント、3か月ぶりの下降)
3か月後方移動平均 119.4(前月差プラス0.60ポイント、6か月連続の上昇)
基調判断「改善を示している」
先行指数 127.8(前月差マイナス0.5ポイント、2か月連続の下降)
寄与度プラス:輸入通関実績(清水港分)0.45
寄与度マイナス上位:鉱工業消費財出荷指数 マイナス1.47/鉱工業生産指数(総合)マイナス1.00
表の下に、単月の下降と基調判断の関係を2文で説明してください。数字は足さないでください。

「数字は足さないでください」の一文を入れておくと、勝手に前年比や予測値が付いてくる事故がかなり減ります。

毎月の更新を20分で回す

手順は5つ

  1. 統計センターしずおかを開き、景気動向指数の最新月のページから月報PDFを保存する(5分)
  2. 要旨のページから、上に挙げた6つの数字を書き写す(5分)
  3. 鉱工業指数の最新月の概況版を開き、生産・出荷の前月比と業種別の記述を書き写す(3分)
  4. 生成AIに渡して、前月分のメモと同じ形式に整えてもらう(5分)
  5. 出てきた表の数字を、保存したPDFと1つずつ照合する(2分)

照合だけは省かない

最後の照合は省かないでください。桁の落ち、前月差と前月比の取り違え、寄与度の符号の反転は実際に起きます。渡した数字とそのまま一致しているかだけを確認すれば数分で終わります。

毎月の景況メモ更新の5手順として、月報PDFの保存5分、6つの数字の書き写し5分、鉱工業指数の概況版の書き写し3分、前月と同じ形式への整形5分、PDFとの照合2分を左から右へ並べた図
毎月くり返す5つの手順と所要時間

公表の間隔を予定に入れておく

景気動向指数は、おおむね2〜3か月遅れで公表されます。令和8年6月分の公表日は2026年9月4日でした。鉱工業指数の速報は少し早く、令和8年6月分速報が2026年8月27日の提供です。

月次の会議で使うなら、「直近に公表された月」を毎回使う前提にしておくのが現実的です。「先月の景気」を毎月の会議で扱おうとすると、まだ出ていない月を待つことになります。県の他のデータや相談窓口との組み合わせ方は静岡県のDX・AI支援窓口に整理しています。

よくある質問

Q. 内閣府の景気動向指数とは何が違いますか。
A. 算出している主体と対象範囲が違います。静岡県景気動向指数は県の企画部統計活用課が、県の鉱工業指数や毎月勤労統計調査などの県内データから算出しています。全国の動きと県内の動きが揃わない月もあるため、県内の取引を説明するなら県の指数のほうが通じます。

Q. CI一致指数が下がったら、景気は悪化したと書いてよいですか。
A. 単月の下降と基調判断は別です。令和8年6月分は前月差4.1ポイントの下降でしたが、基調判断は「改善を示している」でした。資料には、単月の数字と基調判断の両方を書いてください。

Q. 117.8という水準は高いのですか、低いのですか。
A. 基準年の令和2年を100とした指数です。水準そのものより、前月差と3か月後方移動平均の向きを見るほうが実務では使えます。長期の推移は、公表ページに置かれている「CI長期系列及び各指標の原数値」の表計算ファイルで確認できます。

Q. 寄与度のマイナスとプラスはどう読みますか。
A. その系列が指数を何ポイント押し下げた、押し上げたかを表します。合計すると前月差におおむね一致します。なお人件費比率(製造業)は逆サイクルのため、指数が上がると寄与はマイナスになります。

Q. 毎月の公表はいつ分かりますか。
A. 統計センターしずおかの新着情報に掲載されます。景気動向指数と鉱工業指数は別ページで公表されるため、両方をブックマークしておくと取りこぼしません。

Q. 生成AIに指数の解説を書かせてもよいですか。
A. 自分で拾った数字を渡したうえで、その範囲だけを説明させるなら問題ありません。数字そのものを調べさせる、将来の指数を予測させる、といった使い方は避けてください。出てきた文章は、最後に必ず月報の要旨と照合してください。

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参考・出典