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静岡県の工場立地件数の早見表|累計と単年で違う順位の読み方

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静岡県の工場立地件数の早見表|累計と単年で違う順位の読み方

この記事の要点

静岡県の「工場立地件数」には、長い期間の累計と、1年ごとの件数の2つがあります。県は、2000年から2025年の累計工場立地件数が1,708件で全国1位だと公表しています(静岡県「多様な産業集積」(2026年6月24日更新))。一方、経済産業省の工場立地動向調査で2025年の1年分を見ると、静岡県は39件・38haで、件数が静岡県より多いのは岐阜県(72件)、愛知県(55件)、兵庫県(51件)、茨城県(49件)、埼玉県(47件)の5県です(経済産業省「2025年(1月~12月)工場立地動向調査の結果について」(2026年6月15日))。会社案内や社内資料に「全国1位」と書くときは、累計の数字だと明記します。

この記事では、この統計が何を数えているか、累計と単年の早見表、順位が違う理由、全国の傾向、県の企業立地補助金の手続きと相談先、統計表を生成AIで扱うときの分担をまとめます。

工場立地動向調査は何を数えている統計か

「工場の数」と書かれていても、数えているのは工場が完成した数でも、操業を始めた数でもありません。最初にここを押さえると、数字の読み違いが減ります。

図: 製造業、電気業、ガス業、熱供給業の事業者が、1,000㎡以上の用地を取得(借地を含む)すると立地件数に数えられる。研究所は別集計
図解1|立地件数に数えられる条件

1,000㎡以上の用地を取得した事業者を数える

工場立地動向調査は、工場立地法第2条に基づく調査です。対象業種は製造業、電気業(水力・地熱・太陽光発電所を除く)、ガス業、熱供給業で、工場・研究所を建設する目的で、その年(1月~12月)に1,000㎡以上の用地を取得(借地を含む)した事業者を対象にしています(経済産業省「2025年(1月~12月)工場立地動向調査の結果について」)。

つまり立地件数は「その年に用地を取得した件数」です。建物が建つのは翌年以降になることもあり、件数が多い年に、すぐ雇用や出荷が増えるとは限りません。

研究所は別集計、秘匿のXと***

研究所は「研究所の立地状況」として別に集計し、ほかの集計には含みません。2025年の研究所の立地件数は全国で19件でした。

2025年の調査は、調査票の対象件数1,073件のうち企業から回答があったのが366件(回収率34.1%)で、回答がなかったもののうち行政が持つ情報で工場敷地面積などを把握できた389件を加えて、集計率は70.3%です。都道府県別の表には、回答した事業者が特定されるおそれがある数値を伏せた「X」があります。2025年の表では、立地件数が0件の徳島県と沖縄県の面積の欄が「***」です。

表の表示 意味 扱い方
X 統計法に基づく秘匿 推計で埋めない。合計を出すときは「Xを除く」と書く
*** 2025年の表では、立地件数が0件の県の面積の欄 0haと読み替えず、表のとおり転記する

静岡県の工場立地件数の早見表

累計と単年は、出典も期間も違います。表を分けて見ます。

累計は2000年から2025年で1,708件

順位 都道府県 2000年~2025年の累計工場立地件数
1位 静岡県 1,708件
2位 愛知県 1,561件
3位 兵庫県 1,523件
4位 群馬県 1,488件
5位 茨城県 1,481件

出典:静岡県「多様な産業集積」(2026年6月24日更新)

県はこの数字について「静岡県は長年にわたり多くの製造業の皆様から選ばれてきました」と説明しています。

単年は2023年47件、2024年46件、2025年39件

年 全国の立地件数 静岡県の立地件数 静岡県の立地面積 件数が静岡県より多かった都道府県
2023年 799件 47件 71ha 茨城県(75件)、愛知県(62件)
2024年 854件 46件 47ha 茨城県(73件)、愛知県(67件)、岐阜県(49件)、兵庫県(47件)。奈良県も46件で同数
2025年 736件 39件 38ha 岐阜県(72件)、愛知県(55件)、兵庫県(51件)、茨城県(49件)、埼玉県(47件)

出典:経済産業省「2023年 工場立地動向調査 概要資料」、経済産業省「2024年(1月~12月)工場立地動向調査の結果について」(2025年5月30日)、経済産業省「2025年(1月~12月)工場立地動向調査の結果について」(2026年6月15日)

同じ表から数えると、静岡県の件数は2023年が3番目、2024年が奈良県と並んで5番目、2025年が6番目です。経済産業省の資料は都道府県の順位を付けていないので、順位を書くときは「経済産業省の都道府県別の表から数えた順位」と添えます。

全国は2025年に736件、前年から118件減った

経済産業省によると、2025年の全国の立地件数は736件で、前年と比べて118件(13.8%)減りました。立地面積は1,196haで、前年と比べて786ha(39.7%)減っています。近年の立地件数は800件~900件前後で推移していたとされ、2025年はその水準を下回りました(経済産業省「2025年工場立地動向調査の結果について」)。静岡県も46件から39件へ減っていて、全国の減少と同じ向きです。

累計1位と単年の順位が違う理由

「静岡県は工場立地件数が全国1位」と「2025年は6番目」は、どちらも公表資料のとおりで、矛盾していません。見ている期間が違うだけです。

図: 累計は2000年から2025年の1,708件で全国1位。単年は2025年の39件で、その年の用地取得の件数
図解2|累計と単年は見ている期間が違う

累計は26年分の積み上げ、単年はその年の用地取得

累計は2000年から2025年までの26年分を足した数です。毎年上位に入り続けた県ほど累計が大きくなるので、1年ごとの順位が多少動いても、累計の順位は変わりにくい性質があります。単年の件数は、その年の用地取得の件数です。用地を取得する時期は各社の投資計画で決まるため、年によって上下します。

社内資料では、目的に合わせて使い分けます。県内の立地環境の実績を示したいなら累計、足元の投資の動きを見たいなら直近の単年と前年との差です。

件数と面積は別の物差し

2025年の静岡県は39件・38haでした。件数が近い栃木県は37件・89haで、件数がほぼ同じでも面積は大きく違います。小さめの用地の取得が多い年は、件数の順位に比べて面積の順位が低く出ます。「立地が多い」と書くときは、件数の話か面積の話かを書き分けます。

「東海」と「関東経済産業局管内」の2つのくくり

経済産業省の資料では、静岡県が2つのくくりに入っています。地域別の集計では、静岡県は愛知県・岐阜県・三重県と同じ「東海」です。一方、経済産業局ごとの集計では、静岡県は関東経済産業局の管内に入ります。

2025年の地域別の集計では、立地件数は東海と四国の2地域で前年より増えました。ただし静岡県は46件から39件へ減っています。「東海は増えた」を「静岡県も増えた」と読まないよう、県の数字は都道府県別の表で確かめます。関東経済産業局管内の2025年の立地件数は271件、立地面積は381haで、立地地点の選定理由は「本社・他の自社工場への近接性」「高速道路を利用できる」「地価」が多く、団地内立地割合は34%でした(経済産業省「2025年工場立地動向調査の結果について」)。

全国の立地の傾向を自社の検討に当てはめる

県内で次の工場や倉庫兼工場を探す会社にとって、全国の傾向は「ほかの会社が何を重く見ているか」の参考になります。

図: 立地地点の選定理由は本社・他の自社工場への近接性と地価。県内立地は6割程度、工業団地は3割程度、高速ICから5km以内が半数以上
図解3|全国の工場立地で重く見られている点(2025年)

選定理由は「本社・他の自社工場への近接性」と「地価」

2025年の全国の立地地点の選定理由は、「本社・他の自社工場への近接性」が最も多く、次が「地価」でした。県内の輸送機器サプライヤーが増産のために工場を足す場合も、まず既存の工場からの距離と、用地の価格が比較の軸になります。

県内立地は6割程度、工業団地は3割程度

本社がある都道府県の中に工場を立地する「県内立地」は6割程度、工業団地に立地する件数は3割程度です。工業団地内と団地外を比べると、2025年は団地内のほうが平均立地面積が大きく、団地外の1.8倍程度でした。

高速ICから5km以内が半数以上

工場立地は高速インターチェンジ(高速IC)に近い場所で行われる傾向があり、立地件数の半数以上が高速ICから5km以内の立地です(経済産業省「2025年工場立地動向調査の結果について」)。候補地を比べる表には、地価と既存拠点からの距離に加えて、最寄りの高速ICまでの距離の欄を作っておくと、全国の傾向と同じ物差しで比べられます。

候補地の比較表の列 全国の傾向(2025年) 自社で調べる値
既存の本社・工場からの距離 選定理由で最も多い 候補地ごとの道路距離と所要時間
地価 選定理由で2番目に多い 候補地の売買・賃借の条件
高速ICまでの距離 立地件数の半数以上が5km以内 最寄りの高速ICまでの距離
工業団地か 立地件数の3割程度が工業団地 団地か単独用地か、分譲・賃貸の条件

静岡県の立地支援と相談先

県内に立地する場合は、県と市町の補助金があります。手続きの最初の一歩が用地取得や発注より前にあるので、検討の早い段階で確認します。

図: 事業着手届、企業等概要調書(前年度8月20日まで)、事前打合せ(業務開始日の2~3ヶ月前から)、申請書類、業務開始日の順に進む
図解4|県の企業立地補助金の手続きの順番

県の企業立地補助金は2種類

県の「企業立地補助金」のよくある質問では、主な補助金として「新規産業立地事業費補助金」と「地域産業立地事業費補助金」を案内しています。新規産業立地事業費補助金は県の企業立地推進課が窓口です。地域産業立地事業費補助金は市町と連携して助成する補助金で、補助率、限度額、対象経費などが市町ごとに異なるため、立地を検討している市町に問い合わせます。指定都市(静岡市、浜松市)内に立地を検討している場合は、県の企業立地推進課にもあわせて連絡します(静岡県「企業立地補助金」(よくある質問・2026年8月3日更新))。

県の企業立地ガイドには、このほか「県内立地工場等事業継続事業費補助金」「県内立地工場等事業継続強化事業費補助金」「物流業立地事業費補助金」も並んでいます。国の補助金と併用する場合、国の補助金の対象となる建物や機械設備等の経費は県の補助対象外で、補助対象経費が異なれば併用できるとされています。補助率と限度額は令和8年1月1日施行の制度改正で見直され、用地取得か事業着手(建物契約または機械発注)のいずれか早い日が令和8年1月1日以降の場合に、見直し後の補助率・限度額が適用されます。

最初の手続きは事業着手届と企業等概要調書

用地取得か事業着手(建物契約または機械発注)のいずれか早い日が令和8年1月1日以降の場合、手続きは次の順番です。

  1. 用地取得か事業着手のいずれか早い日の前までに「事業着手届」を出す
  2. 申請予定年度の前年度8月20日までに「企業等概要調書」を出し、交付対象事業としてエントリーする
  3. 業務開始日の2~3ヶ月前から事前打合せを行い、「申請の手引き」に書かれた書類を出す
  4. 申請書類は業務開始日までに出す

業務開始日は、実際の操業開始日に関わらず、事業期間内で設定する任意の日付です。用地取得か事業着手のいずれか早い日以後は、速やかにハローワークで県内全事業所の「事業所台帳異動状況照会(ヘッダー2)」を取得します。企業等概要調書は予算措置を行う資料なので、出したあとに投資額が大きく増減した場合は随時相談します。

相談先

用件 相談先 連絡先
新規産業立地事業費補助金、県の立地支援全般 静岡県 経済産業部商工業局 企業立地推進課 〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6・054-221-3262
地域産業立地事業費補助金 立地を検討している市町の窓口 静岡県「県内市町(リンク集)」
静岡市・浜松市での立地 市の窓口と、県の企業立地推進課の両方 同上

県内のイノベーション拠点と産業の集まり方

県は、西部で「次世代モビリティ」や「フォトンバレー」、中部で「静岡ウェルネス」や「MaOI」、東部で「ふじのくにCNF」や「ファルマバレー」といった、地域に根ざした分野のイノベーション拠点をつくっていると説明しています(静岡県「多様な産業集積」)。製造品出荷額の内訳は輸送用機械のシェアが高い一方、その他の産業も多く集まっていて、県はこれを「バランスの取れた産業構造」としています。

県内の業種ごとの書類仕事の減らし方は、静岡の自動車・二輪部品×生成AI|文書業務6つの実践、医療機器メーカーの生成AI活用7業務|静岡県東部、製紙業の生成AI活用7選|富士の現場文書を効率化で扱っています。

統計表を生成AIで扱うときの分担

工場立地動向調査の統計表は、経済産業省のページでExcelファイル(2025年は全57表)として公開されています(経済産業省「工場立地動向調査 調査の結果」)。表を社内資料にまとめる作業は生成AIで速くなりますが、どの数字を使うかは人が決めます。

図: 生成AIに任せるのは表の整形、前年差の計算式、社内説明文の下書き。人が決めるのは数字の採用、順位の断定、秘匿値の扱い
図解5|生成AIに任せる作業と人が決めること

生成AIに任せる作業と、人が決めること

生成AIに任せる 人が決める
表の整形(PDFやExcelから写した数字を、年と都道府県の表に並べ直す) 数字の採用(累計か単年か、どの年の表を使うか)
前年差の計算式(表計算ソフトに入れる式の下書き) 順位の断定(同数の県の扱い、「数えた順位」と書くか)
社内説明文の下書き(表を読んだ結果を3行にまとめる) 秘匿値の扱い(Xを推計で埋めない、合計の注記)

数字そのものは、経済産業省の概要資料と県のページから担当者が拾います。生成AIに「静岡県の工場立地件数を調べて」と頼むと、年や出典の違う数字が混ざることがあるためです。統計の全国順位を資料に使うときの注意は、静岡県の全国順位を資料に使う|100の指標と生成AIの分担にもまとめています。

入力しない情報

  • 公表していない工場の新設・増設の計画と投資額
  • 用地交渉の相手、候補地の所在地、提示された価格
  • 取引先の名前と、取引先の生産計画

指示の例

あなたは製造業の経営企画担当の補助です。
下に貼る数字だけを使って、社内会議用の表と説明文を作ってください。

・表は「年/全国の立地件数/静岡県の立地件数/静岡県の立地面積」の4列
・数字は貼った値をそのまま使い、丸めない。推計や補完をしない
・表の上に「出典:経済産業省 工場立地動向調査(各年の概要資料)」と1行入れる
・表の下に、前年からの増減を2文で書く
・「全国1位」という言葉は、累計(2000年~2025年)の数字の説明でだけ使う
・最後に「数字は担当者が概要資料と照合すること」と1行入れる

[2023年~2025年の全国と静岡県の立地件数・立地面積を貼る]
[県が公表した2000年~2025年の累計工場立地件数を貼る]

出てきた表は、概要資料の都道府県別の表と1つずつ照合してから使います。製造業全体の規模を示す数字が必要なときは、静岡県の製造品出荷額の早見表|どの調査の何年かを確かめるとあわせて使うと、立地の件数と出荷の規模を別々に説明できます。

まとめ

  • 県が公表する「全国1位」は、2000年から2025年の累計工場立地件数(1,708件)
  • 経済産業省の2025年の都道府県別の表では、静岡県は39件・38haで、件数は6番目(表から数えた順位)
  • 立地件数は、1,000㎡以上の用地を取得(借地を含む)した件数で、工場の完成数ではない
  • 静岡県は地域別の集計では「東海」、経済産業局の集計では「関東経済産業局管内」に入る。くくりの数字を県の数字と読み替えない
  • 県の企業立地補助金は、用地取得か事業着手の前に「事業着手届」が要る。前年度8月20日までに「企業等概要調書」でエントリーする

よくある質問

Q. 静岡県は工場立地件数で全国1位ですか。

A. 2000年から2025年の累計工場立地件数(1,708件)が全国1位だと、県が公表しています。2025年の1年分は39件で、経済産業省の都道府県別の表から数えると6番目です。どちらの数字かを書き分けてください。

Q. 工場立地件数は、新しく完成した工場の数ですか。

A. いいえ。工場・研究所を建設する目的で、その年に1,000㎡以上の用地を取得(借地を含む)した事業者の件数です。研究所は別に集計されます。

Q. 2026年の数字はいつ公表されますか。

A. 2024年の結果は2025年5月30日、2025年の結果は2026年6月15日に経済産業省が公表しました。2026年分の公表日は、2026年10月時点で公式に確認できていません。

Q. 県の企業立地補助金は、国の補助金と一緒に使えますか。

A. 県のよくある質問では、国の補助金の対象となる建物や機械設備等の経費は県の補助対象外で、補助対象経費が異なれば併用できるとしています。個別の案件は企業立地推進課に確かめてください。

Q. 「東海」の立地件数が増えたら、静岡県も増えたと考えてよいですか。

A. いいえ。2025年は東海の立地件数が前年より増えた一方、静岡県は46件から39件に減りました。県の数字は都道府県別の表で確かめます。

Q. 生成AIに統計の数字を調べてもらってもよいですか。

A. 避けてください。数字は経済産業省の概要資料と県のページから担当者が拾い、生成AIには貼った数字を表や文章の形に整える作業だけを頼みます。

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参考・出典