この記事の要点
- 静岡労働局が公表した令和7年10月末現在の静岡県内の外国人労働者数は88,968人、外国人を雇用している事業所数は10,967所です。労働者数は全国で7番目、事業所数は全国で9番目にあたります。
- 国籍別ではブラジルが18,686人(21.0%)で最多ですが、前年比では0.9%の減少です。増えているのはミャンマー、インドネシア、ネパールで、いずれも前年比2割以上の増加です。
- 在留資格別では「身分に基づく在留資格」が44.2%を占め、この割合は全国で最も高くなっています。静岡の数字を全国平均と同じ前提で語ると外れます。
- 外国人労働者の35.1%は労働者派遣・請負事業を行う事業所に就労しています。自社で雇う話と、派遣・請負で受け入れる話を同じ表に混ぜないことが、資料づくりの最初の関門です。
- 生成AIは「どの数字を使うか」の判断には向きませんが、決めた数字を説明文や社内向けの資料に整える作業なら任せられます。
静岡県の外国人労働者数は88,968人(早見表)
まず県全体の数字を押さえます。以下は静岡労働局が公表した令和7年10月末現在の値です(静岡労働局「静岡県の『外国人雇用状況』の届出状況(令和7年10月末現在)」)。

県全体と全国の比較
| 項目 | 静岡県 | 全国 |
|---|---|---|
| 外国人労働者数 | 88,968人 | 2,571,037人 |
| 外国人を雇用している事業所数 | 10,967所 | 371,215所 |
| 全国順位(労働者数) | 7番目 | - |
| 全国順位(事業所数) | 9番目 | - |
労働者数は前年比で7,408人(9.1%)の増加、事業所数は732所(7.2%)の増加です。どちらも平成19年に届出が義務化されて以降で最も多い数字になりました。労働者数は13年連続の増加で、11年連続の最高値更新です。
全国の集計値は厚生労働省が令和8年1月30日に公表しています(厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」(令和8年1月30日))。
この数字が「いつのものか」を必ず書く
外国人雇用状況の届出は、事業主が外国人を雇い入れたとき・離職したときにハローワークへ提出するものです。集計は毎年10月末時点で切られ、公表はその翌年1月末ごろになります。つまり、いま手に入る最新値は常に「前年10月末現在」です。
資料に書くときは「令和7年10月末現在」「静岡労働局公表」の2点を数字の横に添えてください。年をまたいだ会議で古い数字が独り歩きするのを防げます。
届出の対象にならない人もいる
届出の対象は事業主に雇用される外国人労働者で、特別永住者と在留資格「外交」「公用」の人は除かれます。したがって88,968人は「静岡県に住んでいる外国人の数」ではなく「静岡県内で雇われて働いている外国人の数」です。県内の外国人住民数とは別の統計なので、資料の中で入れ替えないようにします。
国籍別の内訳|最多はブラジル、伸びているのは別の国
静岡県の外国人労働者を国籍別に見ると、上位の顔ぶれは全国と大きく違います。

人数が多い上位の国
| 国籍 | 人数 | 構成比 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| ブラジル | 18,686人 | 21.0% | 0.9%減 |
| ベトナム | 17,224人 | 19.4% | 8.1%増 |
| フィリピン | 15,462人 | 17.4% | 4.6%増 |
| インドネシア | 7,950人 | 8.9% | 29.2%増 |
| ネパール | 5,957人 | 6.7% | 28.5%増 |
| 中国(香港、マカオを含む) | 5,836人 | 6.6% | - |
| ミャンマー | 4,963人 | 5.6% | 32.9%増 |
全国ではベトナムが最多ですが、静岡県ではブラジルが最も多く、次いでベトナム、フィリピンの順です。日系人の定住が長く続いてきた県の事情がそのまま数字に出ています。
増加率で見ると上位が入れ替わる
前年比の増加率が高いのはミャンマー(32.9%増、1,230人増)、インドネシア(29.2%増、1,795人増)、ネパール(28.5%増)です。最多のブラジルは前年比0.9%の減少でした。
「人数が多い国」と「これから増える国」は別だということです。社内の多言語対応をどの言語から用意するかを決めるときは、この2つの表を並べて見る必要があります。いま人数が多い言語だけを整えると、2〜3年後に同じ作業をやり直すことになります。
在留資格別の内訳|静岡は「身分に基づく在留資格」の割合が全国1位
在留資格別の内訳は、静岡県の数字がいちばん全国と離れるところです。

在留資格別の人数と割合
| 在留資格 | 人数 | 構成比 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 身分に基づく在留資格 | 39,296人 | 44.2% | 0.9%増 |
| 専門的・技術的分野の在留資格 | 20,230人 | 22.7% | 21.5%増 |
| 技能実習 | 18,211人 | 20.5% | 7.3%増 |
| 資格外活動 | 9,222人 | 10.4% | 22.0%増 |
| 特定活動 | 2,009人 | 2.3% | 40.1%増 |
「身分に基づく在留資格」には永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者が含まれます。静岡県ではこの区分が44.2%を占め、静岡労働局はこの割合が全国で最も高いと記しています。
実務上の意味は大きく、身分に基づく在留資格の人には就ける仕事の制限がありません。一方で「専門的・技術的分野の在留資格」や「技能実習」は、認められた活動の範囲が決まっています。在留資格ごとの区分は出入国在留管理庁の一覧で確認できます(出入国在留管理庁「在留資格一覧表」)。
特定技能は8,377人
平成31年4月に創設された在留資格「特定技能」で働く人は、静岡県内で8,377人でした(全国は286,225人)。特定技能は「専門的・技術的分野の在留資格」に含まれます。
なお、技能実習から特定技能へ移行しても、離職を伴わずに同じ事業主に引き続き雇用される場合は届出の提出義務がありません。特定技能の実数はこの統計より多い可能性がある、という前提で読む必要があります。静岡労働局の資料にもその留意点が書かれています。
産業別と事業所規模別|製造業が最多、3分の2は30人未満の事業所
外国人労働者数の産業別割合
労働者数で見ると「製造業」が36.7%で最も多く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が24.7%、「卸売業、小売業」が9.2%、「宿泊業、飲食サービス業」が7.9%です。

前年比の増加率がいちばん高かったのは「医療、福祉」の29.4%増、次いで「宿泊業、飲食サービス業」の18.8%増でした。製造業の県という印象とは別に、人手が足りない業種へ広がっていることが読み取れます。輸送用機械の現場については静岡の自動車・二輪部品の文書業務と生成AIの記事も合わせて見てください。
外国人を雇用している事業所の産業別割合
| 産業 | 事業所数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 製造業 | 2,940所 | 26.8% |
| 卸売業、小売業 | 1,816所 | 16.6% |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 1,532所 | 14.0% |
| 建設業 | 1,384所 | 12.6% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 933所 | 8.5% |
| 医療、福祉 | 677所 | 6.2% |
| 教育、学習支援業 | 253所 | 2.3% |
| 情報通信業 | 120所 | 1.1% |
事業所数の増加率が高かったのは「建設業」の12.0%増(148所増)、次いで「卸売業、小売業」の10.5%増(172所増)です。
事業所規模では30人未満が64.7%
事業所規模別では「30人未満」が7,092所で最も多く、事業所数全体の64.7%を占めます。この規模の事業所で働く外国人労働者は全体の35.9%です。「30~99人」は2,363所でした。
つまり静岡県で外国人を雇っているのは、まず小さな事業所です。専任の外国人雇用担当を置けない規模が多数派だという前提で、社内の説明資料や手順書を用意することになります。
派遣・請負が35.1%|自社の雇用か、受け入れかを混ぜない
静岡県の数字を読むうえで欠かせないのが、労働者派遣・請負の比率です。

事業所は11.3%、労働者は35.1%
外国人労働者を雇用している事業所のうち、労働者派遣・請負事業を行っている事業所は1,234所で、事業所全体の11.3%です。前年比では24所(1.9%)の減少でした。一方、そうした事業所に就労している外国人労働者は31,193人で、外国人労働者全体の35.1%にあたります。前年比では613人(2.0%)の増加です。静岡労働局は、事業所・労働者ともにこの割合が全国で2番目に高いと記しています。
電気機械と輸送用機械はとくに高い
製造業の中では、労働者派遣・請負事業を行う事業所に就労する外国人労働者の割合が「電気機械器具製造業」で45.3%(1,279人)、「輸送用機械器具製造業」で37.8%(3,819人)と高くなっています。
自社の採用計画に使うときの注意
ここを区別しないと、自社の採用計画の資料が実態と合わなくなります。「静岡には外国人労働者が約8.9万人いる」と書いても、そのうち3分の1以上は派遣元・請負元に雇われている人です。自社が直接雇うことを検討しているなら、参照すべきはその外側の数字です。県内の求人環境そのものは静岡の有効求人倍率の読み方と合わせて見ると位置づけがはっきりします。
静岡市と浜松市で相談先が違う|県と市の窓口
静岡県は二つの政令指定都市を抱えており、外国人支援の窓口も県と市で分かれています。採用や受け入れで困ったとき、どこに連絡するかを先に決めておくと動きが速くなります。
県の窓口
県全体の窓口は、静岡県多文化共生総合相談センター「かめりあ」です。在留資格、労働、医療、福祉などの相談を多言語で受け付けており、外国人本人だけでなく、外国人を雇用する側・支援する側の日本人からの相談も対象としています(静岡県「外国人相談窓口:静岡県多文化共生総合相談センターかめりあ」)。
浜松市の窓口
浜松市には市の多文化共生センター(カナル・ハママツ)があり、市独自に相談と情報提供を行っています(浜松市「浜松市多文化共生センター/カナル・ハママツ」)。浜松は日系ブラジル人コミュニティの歴史が長く、市として独自の体制を持っています。静岡市に本社がある会社が浜松の工場の話を県の窓口だけで進めようとすると、市の施策を取りこぼすことがあります。逆も同じです。
社内資料には「県の窓口」「市の窓口」を別の行で書いておくのが無難です。
数字を資料に使うときの3点確認
この統計を補助金の申請書や採用計画の資料に引くとき、確認するのは次の3点です。
1つ目は基準日です。「令和7年10月末現在」と書きます。公表は令和8年1月30日なので、公表日と基準日が3か月ずれます。
2つ目は集計主体です。県全体の内訳は静岡労働局の資料、全国の値は厚生労働省の資料が出どころです。
3つ目は母集団です。届出対象は事業主に雇用される外国人労働者で、特別永住者と在留資格「外交」「公用」の人は含みません。外国人住民数とは別の数字です。
この3点を数字の横に書いておくと、翌年の更新作業が「基準日と値を差し替えるだけ」で終わります。県内の事業所の母数そのものを確かめたいときは静岡県の事業所数と従業者数の早見表が対応します。
生成AIに任せられるところ、任せられないところ
人がやる工程
どの統計を使うか、どの年次を引くか、母集団が自社の話と合っているかの判断は人がやります。生成AIに「静岡県の外国人労働者数は」と尋ねて出てきた数字をそのまま載せるのは避けてください。学習時点の古い値や、全国値と県値の取り違えが混ざります。数字は必ず静岡労働局の資料から取ります。

AIに任せる工程
数字を確定させたあとの作業は任せられます。具体的には、決めた数値を使った説明文の下書き、社内向け資料の要約、表の体裁の整え、同じ内容を読み手別に書き分ける作業です。
プロンプトには「次の数字だけを使う」「数字を足したり丸めたりしない」「出典の表記をそのまま残す」の3つを入れておきます。検索機能は切って、渡した数字の範囲で書かせるほうが事故が減ります。
多言語化は下書きまで
外国人スタッフ向けの掲示や説明文を多言語にする場合も、生成AIは下書きまでです。安全衛生、賃金、在留資格に関わる文書は、翻訳後に内容を確認できる人の確認を挟んでください。日本語のほうを先に平易にしておくと翻訳の精度が上がります。手順は外国人スタッフへの説明文書をやさしい日本語にする記事にまとめています。
よくある質問
Q. 静岡県の外国人労働者数はどこで確認できますか。
静岡労働局の「外国人雇用関係統計」のページに、年次ごとの届出状況の資料が並んでいます。最新は令和7年10月末現在の資料です。全国の集計は厚生労働省のページで公表されています。
Q. 88,968人は県内に住む外国人の数ですか。
違います。事業主に雇用され、外国人雇用状況の届出が出された人の数です。特別永住者と在留資格「外交」「公用」の人は対象外です。県内の外国人住民数は別の統計になります。
Q. 次の数字はいつ出ますか。
この統計は毎年10月末時点で集計され、翌年1月末ごろに公表されています。令和7年10月末現在の資料は令和8年1月30日に公表されました。
Q. 特定技能の人数はこの統計で全部わかりますか。
全部ではありません。技能実習から特定技能へ移行した人が、離職を伴わずに同じ事業主に引き続き雇用される場合は届出の義務がないためです。静岡労働局の資料にもこの留意点が書かれています。
Q. 自社で外国人を雇うときの相談先はどこですか。
県全体の相談は静岡県多文化共生総合相談センター「かめりあ」が窓口です。浜松市内の事業所は市の多文化共生センターも利用できます。雇用保険や届出の手続きそのものは、事業所を管轄するハローワークが窓口になります。
運営元 Uravation より自社に近い業務から着手先を選ぶ材料として、業務別の生成AI活用事例50例を無料で公開しています。 生成AI活用事例 業務別50選を受け取る(無料)