この記事の要点
2026年9月1日から、中央線等がない生活道路の法定速度が時速30キロに引き下げられました。標識のない住宅街の細い道が対象で、社用車や配送車が毎日通る道の多くが含まれます。9月21日から30日は秋の全国交通安全運動で、9月30日は交通事故死ゼロを目指す日です。この10日間は、社内の交通安全の仕組みを点検するのに使いやすい区切りになります。あわせて、安全運転管理者を選任している事業所では、アルコール検知器を使った酒気帯び確認と1年間の記録保存が続いているかを確かめてください。静岡県には自転車条例があり、事業者は従業員への自転車の安全適正利用の教育に努めることとされています。通勤や外回りに自転車を使わせている会社は、こちらも運動期間の点検対象です。社内の周知文や教育資料の下書きは生成AIで作れますが、速度の数字と施行日は一次情報で確認してから配ってください。
生活道路の法定速度が9月1日から30キロになった
令和8年秋の全国交通安全運動推進要綱には、「道路交通法施行令の一部を改正する政令(令和6年政令第248号)により、令和8年9月1日から生活道路における法定速度が30キロメートル毎時に引き下げられる」と書かれています。

対象は中央線等がない道路
同じ要綱は、この改正を「中央線等がない生活道路の法定速度を引き下げるという国民生活に大きく関わるもの」と説明しています。センターラインが引かれていない細い道が対象です。
ここを取り違えると社内の説明が間違います。すべての道が30キロになったわけではありません。速度標識が立っている道は、これまでどおり標識の速度が優先されます。中央線がある道路も対象外です。変わったのは、標識も中央線もない道で、これまで時速60キロだった法定速度が30キロになった、という点です。
住宅街の抜け道、工業団地の裏手の道、農地のあいだの道。静岡県内の営業車や配送車が短縮ルートとして日常的に使っている道の多くが、この区分に当たります。
なぜ運動の重点に入ったか
要綱は、この改正について「国民に対する十分な広報啓発が必要である」とし、あわせて「『生活道路は人が優先』という意識を国民に浸透させることで歩行者の安全を確保する必要がある」と述べています。
背景として、交通事故死者数全体を状態別で見ると歩行中の割合が最も高く、そのなかでも高齢者の割合が約7割を占めること、歩行中児童の死者・重傷者は登下校中の割合が全体の約4割を占めることが挙げられています。生活道路は、通学路と生活の道が重なる場所です。
社内に伝える一文を先に決める
改正から2週間が経ち、運動期間が始まる前に、社内で共有する説明を一つに固めてください。ドライバーごとに理解が違うと、現場で判断がぶれます。
伝える内容は3行で足ります。中央線も速度標識もない道は9月1日から30キロが上限であること、標識がある道は標識に従うこと、判断に迷ったら遅い方に合わせること。この3行を朝礼で読み上げ、掲示し、車内に貼る。それだけで運動期間の初動としては十分です。
9月21日から30日は秋の全国交通安全運動
推進要綱は令和8年7月1日に中央交通安全対策会議 交通対策本部で決定されています。運動期間は令和8年9月21日(月)から30日(水)までの10日間、交通事故死ゼロを目指す日は令和8年9月30日(水)です。

全国重点は3つ
要綱の全国重点は次のとおりです。
- 〈歩行者〉歩行者の安全確保と反射材用品の着用促進
- 〈自動車〉夕暮れ時の早めのライト点灯と飲酒運転や「ながらスマホ」の根絶
- 〈自転車〉自転車・特定小型原動機付自転車の交通ルールの理解・遵守の徹底
2番目の趣旨として、要綱は「日の入り時刻が急激に早まる秋口以降は前述のとおり、夕暮れ時から夜間にかけて重大事故が多発する傾向にあり、その多くが歩行者事故である」と説明しています。飲酒運転による死亡・重傷事故は令和5年以降、年間400件を超えて下げ止まっていること、スマートフォン等を使用しながら自動車を走行させる「ながらスマホ」が要因となった死亡・重傷事故は令和2年以降、年々増加していることも記載されています。
事業所にとっての10日間
10日間で新しい制度を導入する必要はありません。この期間にできるのは、すでにある仕組みが動いているかを確かめることです。
点検の対象は、朝の酒気帯び確認が毎日記録されているか、運転日誌が空欄のまま溜まっていないか、車両の点検が期限どおりに行われているか、ドライバーの免許証の有効期限を把握しているか、といった点です。どれも新しく作るものではなく、形骸化していないかを見る作業になります。
期間の終わりに9月30日の交通事故死ゼロを目指す日が置かれているので、この日を締切にして点検を終える段取りが組みやすくなっています。
県や市町の実施内容は別に確認する
全国運動に合わせて、静岡県や県内市町も実施要綱を作り、街頭キャンペーンや交通安全教室を行います。静岡県くらし交通安全課の「静岡県の取り組み」のページに、四季の運動の要綱とポスターが置かれています。2026年9月13日時点でこのページに掲載されているのは令和7年度分(更新日2025年12月26日)なので、今年度の県内の実施内容は同ページの更新か、事業所がある市町のページで確認してください。
静岡県の職場が上乗せで見る2つ
全国共通の話に加えて、静岡県には県内の事業者に関わる決まりと窓口があります。

自転車条例で事業者に教育の役割がある
静岡県は静岡県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を、平成31年3月26日公布、平成31年4月1日施行で制定しています。
県の説明では、県民の役割(第3条〜第8条関係)として「保護者・学校及び事業者は看護する未成年、児童・学生または従業員への自転車の安全適正利用の教育に努めましょう」とされています。事業者が名指しで入っています。
通勤に自転車を使っている従業員、駅から事業所まで自転車で移動する社員、近距離の配達に自転車を使っている店舗。どれも対象です。県は「静岡県は自転車の利用者が多く、特に朝、通学時の中学生・高校生の自転車事故が非常に多くなっています」とも書いています。通学の自転車が多い時間帯に社用車を走らせている会社は、車と自転車の両側から見る必要があります。
自転車保険は加入義務
条例では、自転車損害賠償保険の加入義務(第11条〜第13条関係)として「自転車事故の備えと、被害者の救済を図るため、自転車利用者(未成年者の場合は保護者)は、自転車保険に加入しなければなりません」と定められています。保険加入義務化と児童・中学生の通学時のヘルメット着用義務化は2019年10月1日施行です。
県は「すでに、自転車保険などの特約で保険に加入されている場合があります。まずは加入している保険、共済などの契約内容を確認しましょう」と案内しています。会社として業務で自転車を使わせているなら、その車両と乗る人が補償の対象になっているかを一度確認してください。個人加入の火災保険や自動車保険の特約でカバーされていることもあります。
県の相談窓口
事故が起きたあとの相談先も押さえておきます。静岡県交通事故相談所は、静岡市駿河区南町14-1の中部県民生活センター内にあり、電話は054-202-6000です。相談は無料・秘密厳守で、一般相談は毎週月曜から金曜(祝祭日を除く)の午前9時から正午、午後1時から午後4時まで。弁護士が立ち会う法律相談は第1木曜日(第1木曜日が祝日の場合は翌週の木曜日)の午後1時から午後3時までです。
この連絡先を事故対応マニュアルに書いておくと、実際に起きたときに探す時間がなくなります。
安全運転管理者の業務を10日間で点検する
社用車を一定台数以上使っている事業所には、安全運転管理者を選任する義務があります。運動期間は、この業務が回っているかを確かめる機会になります。

選任が必要になる台数
警察庁の安全運転管理者制度の概要(PDF)によると、選任が必要なのは、乗車定員が11人以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上使用する事業所です。大型自動二輪車と普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算します。台数が20台以上40台未満の場合は副安全運転管理者を1人、40台以上の場合は20台を増すごとに1人の副安全運転管理者の選任が必要です。
選任は自動車の使用の本拠(事業所等)ごとに行います。本社でまとめて1人ではありません。営業所や工場が県内に分かれている会社は、拠点ごとに数えてください。なお、運行管理者等を置く自動車運送事業者、第二種貨物利用運送事業者、自家用有償旅客運送事業者の事業所は対象外です。
アルコール検知器の記録は1年保存
警察庁の安全運転管理者の業務の拡充等のページでは、安全運転管理者に対し、アルコール検知器を用いて運転者の酒気帯びの有無の確認を行うこと、その内容を記録して1年間保存すること、アルコール検知器を常時有効に保持することを義務付ける規定が設けられ、令和5年12月1日から施行されたことが示されています。
点検する点は3つです。検知器が正しく動いているか(校正や有効期限の管理を含みます)、記録が毎日残っているか、その記録を1年間さかのぼって出せるか。運動期間の全国重点に飲酒運転の根絶が入っている年なので、ここは形だけの確認で済ませないでください。
業務の全体像と届出
制度の概要には、安全運転管理者の業務として、運転者の状況把握、安全運転確保のための運行計画の作成、長距離・夜間運転時の交代要員の配置、異常気象時等の安全確保の措置、点呼等による過労・病気その他正常な運転をすることができないおそれの有無の確認と必要な指示、運転者の酒気帯びの有無の確認、確認内容の記録・保存とアルコール検知器の常時有効保持、運転日誌の備え付けと記録、運転者に対する安全運転指導が挙げられています。
安全運転管理者等を選任したときは、選任した日から15日以内に都道府県公安委員会に届け出なければなりません。担当者が異動や退職で替わったまま届出をしていない事業所は、ここで整理してください。
静岡の業種別に危ない場面を書き出す
「安全運転に気をつけましょう」で終わる教育資料は読まれません。自社が実際に走っている道と時間帯に落とすと、話が具体的になります。
運送・配送
配送車は住宅街の細い道に入る回数が多く、今回の30キロの対象になる道を最もよく走ります。時間指定に追われる時間帯と、通学・下校の時間帯が重なる路線を、実際の配送ルートから洗い出してください。運行管理の書類を軽くする方法は静岡の運送・物流の生成AI活用にまとめています。
建設・設備
現場への往復に加えて、資材の積み下ろしで路上に停める場面があります。生活道路に停めた車の脇を歩行者や自転車が通る状況は、静岡市や浜松市の市街地の現場で日常的に起きます。現場ごとに「どこに停めるか」を先に決めておく方法は静岡の建設業の生成AI活用でも触れています。
工場と港湾まわり
富士市の製紙関連や焼津・沼津の水産加工では、構内のフォークリフトと構外の道路が近接します。構内の速度ルールと公道の法定速度を混同しないよう、両方を並べて教育資料に書いてください。水産加工の現場文書を整える手順は焼津・沼津の水産加工×生成AIにあります。
訪問系と営業車
介護や設備保守の訪問、営業の外回りは、初めて行く住所が多いのが特徴です。ナビの案内どおりに細い道へ入り、そこが30キロの対象だと気づかないまま走る場面が起きます。訪問先が住宅街に集中している職種ほど、今回の改正の影響を受けます。
生成AIに任せてよい仕事と任せない仕事
10日間の準備を短くするために、書く作業は生成AIに寄せられます。ただし線があります。

下書きに向くもの
朝礼で読む3分の原稿、掲示用のA4一枚、ドライバー向けのチェックリスト、家族向けの配布文。どれも下書きに向きます。頼むときは、根拠になる文を先に渡してください。
次の3点だけを根拠にして、朝礼で読む 90秒の原稿を作ってください。 ・2026年9月1日から、中央線も速度標識もない道は 法定速度が時速30キロになった ・9月21日から30日は秋の全国交通安全運動で、 9月30日は交通事故死ゼロを目指す日 ・当社は住宅街への配送があり、下校時間と重なる 上の3点に書かれていない数字や事例を足さないでください。 専門用語を使わず、聞いて分かる文にしてください。
チェックリストを作らせるときも、項目の元になる文を渡します。安全運転管理者の業務は警察庁のページに列挙されているので、その文をそのまま渡して「この業務の一覧を、毎日・毎月・年1回に分けたチェックリストにしてください。一覧にない項目を足さないでください」と頼む形が確実です。
渡さない情報
事故の当事者の氏名、健康診断の結果、免許の違反歴、ドライバー個人の勤務評価。これらは教育資料づくりに必要ありません。過去の事故を教材にする場合も、氏名と日付と場所を伏せ、状況だけを渡してください。
社内でどこまで渡してよいかの線は、静岡の中小企業の生成AI利用ルールの考え方がそのまま使えます。
数字と施行日は一次情報で確かめる
生成AIは、速度の数字や施行日を過去の制度と混ぜて答えることがあります。「生活道路 30キロ」は以前からゾーン30という別の取り組みがあり、そちらと今回の法定速度の引き下げは仕組みが違います。
配る前に、速度の数字、施行日、運動期間の日付の3つだけは内閣府と警察庁のページで突き合わせてください。この3つが合っていれば、資料の残りが多少ぎこちなくても実害は出ません。逆に、ここが間違った資料を全社に配ると、訂正の連絡でかえって手間が増えます。
まとめ
2026年9月1日から、中央線等がない生活道路の法定速度が時速30キロに引き下げられました。標識がある道は標識が優先で、中央線がある道は対象外です。9月21日から30日は秋の全国交通安全運動で、全国重点は歩行者の安全確保と反射材、夕暮れ時の早めのライト点灯と飲酒運転・ながらスマホの根絶、自転車と特定小型原動機付自転車のルール遵守の3つ。9月30日が交通事故死ゼロを目指す日です。
静岡県内の事業所は、これに加えて静岡県自転車条例で事業者に従業員への教育が求められていること、自転車保険の加入義務があることを確認してください。安全運転管理者を選任している事業所は、アルコール検知器の状態、毎日の記録、1年分をさかのぼれるかの3点を点検します。周知文や教育資料の下書きは生成AIで短くできますが、速度の数字と施行日と運動期間の日付だけは、配る前に一次情報で確かめてください。
よくある質問
Q. 住宅街の道はすべて30キロになったのですか。
いいえ。変わったのは、速度標識がなく中央線等もない生活道路の法定速度です。速度標識が立っている道は標識の速度が、中央線がある道は従来どおりの法定速度が適用されます。判断に迷う道では遅い方に合わせるのが安全です。
Q. いつから施行されていますか。
令和8年秋の全国交通安全運動推進要綱には、道路交通法施行令の一部を改正する政令(令和6年政令第248号)により、令和8年9月1日から生活道路における法定速度が30キロメートル毎時に引き下げられると記載されています。運動期間の開始より前に施行済みです。
Q. 社用車が3台しかありませんが、安全運転管理者は必要ですか。
乗車定員11人以上の自動車が1台もなく、その他の自動車が5台未満であれば、選任義務の対象外です。ただし自動二輪車は1台を0.5台として計算するため、四輪と二輪を合わせて数えてください。選任義務がない場合でも、酒気帯びの確認や運転日誌を自主的に続けている事業所はあります。
Q. アルコールチェックの記録はどれくらい残しますか。
警察庁のページでは、確認内容を記録して1年間保存すること、アルコール検知器を常時有効に保持することが義務付けられ、令和5年12月1日から施行されたとされています。紙で残すか電子で残すかは問われませんが、1年前の分をすぐ出せる形にしておいてください。
Q. 通勤で自転車を使う社員に会社が何かする必要はありますか。
静岡県自転車条例では、県民の役割として事業者が従業員への自転車の安全適正利用の教育に努めることとされています。また自転車利用者には自転車保険の加入義務があります。会社としては、保険に入っているかの確認と、夜間のライト点灯や日常点検の呼びかけが現実的な範囲です。
Q. 教育資料を生成AIで作って配ってよいですか。
下書きに使うのは問題ありません。ただし速度の数字、施行日、運動期間の日付は、内閣府や警察庁のページで確認してから配ってください。生成AIは以前のゾーン30などの別の取り組みと混ぜて答えることがあります。事故の当事者名や個人の健康情報は渡さないでください。
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参考・出典
- 内閣府 中央交通安全対策会議 交通対策本部「令和8年秋の全国交通安全運動推進要綱」(令和8年7月1日決定。運動期間9月21日〜30日、交通事故死ゼロを目指す日9月30日、全国重点3項目、令和8年9月1日からの生活道路の法定速度30キロメートル毎時)
- 警察庁「安全運転管理者制度の概要(PDF)」(選任が必要な台数、副安全運転管理者、業務の一覧、選任から15日以内の届出)
- 警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」(アルコール検知器を用いた確認、記録の1年間保存、検知器の常時有効保持。令和5年12月1日施行)
- 静岡県くらし・環境部くらし交通安全課「静岡県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」(平成31年3月26日公布・平成31年4月1日施行。事業者による従業員への教育、自転車損害賠償保険の加入義務)
- 静岡県くらし・環境部くらし交通安全課「静岡県の取り組み」(四季の交通安全運動、県内の自転車事故の傾向。掲載は令和7年度分・2025年12月26日更新)
- 静岡県「静岡県交通事故相談所」(所在地・電話番号・相談日時)